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中国民事訴訟Q&A(その5) 

2015年01月23日
  • 訴訟・仲裁手続
中国民事訴訟Q&A(その5)

Q5:中国人民法院の各審級の管轄権範囲を教えてください。

中国律師からの回答

「民訴法」第2章第1節(第17条~第20条)及び関係司法解釈において、中国人民法院の各審級の管轄権範囲が規定されています。

審級管轄
  • 基層人民法院は、原則として、管轄区内の第一審の民商事事件を管轄します。
  • 中級人民法院は、1重大な渉外事件、2管轄区内の重大な影響を有する事件、3最高人民法院が確定した中級人民法院の管轄による事件(たとえば、特許紛争事件、海事・海商事件、「馳名商標」の認定に関する民事紛争事件)等の第一審の民商事事件を管轄します。
  • 高級人民法院は、管轄区内の重大な影響を有する第一審民商事事件を管轄します。
  • 最高人民法院は、全国的に重大な影響を有する民商事事件、及び最高人民法院が自ら審理する必要があると認めた民商事事件を管轄します。

ちなみに、最高人民法院は、地域経済状況、訴額、当事者の住所地等に基づいて、高級人民法院及び中級人民法院の第一審民商事事件の管轄基準を定めています。

たとえば、北京市、上海市、広東省、江蘇省、浙江省、という高度経済成長をした地域の高級人民法院は、1訴訟金額が2億人民元以上の第一審民商事事件、2訴訟金額が1億人民元以上で、かつ一方当事者の住所地が当該管轄区外である第一審民商事事件、または3訴訟金額が1億人民元以上の外国、香港、マカオ、台湾に関わる第一審民商事事件を管轄することができます。他方、青海省、寧夏回族自治区、チベット自治区等の地域の高級人民法院は、訴訟金額が2000万人民元以上の第一審民商事事件等を管轄しています。

なお、高級人民法院は、必要に応じて当該管轄区において最高人法院が定めた管轄基準より高い基準を制定することができます。実務上、特に北京市、上海市等の大都市の中級人民法院、基層人民法院は最高人法院が定めた管轄基準より高い基準で第一審民商事事件を管轄する場合がありますので、注意する必要があります。

注意点

特許紛争事件については、知的財産権法院、最高人民法院が確定した中級人民法院と基層法院が管轄し、海事・海商事件については、海事法院が管轄します。渉外民商事事件の訴訟管轄については、「最高人民法院の渉外民商事事件の訴訟管轄の若干問題に関する規定」(2002年3月1日施行、法釈[2002]5号)という司法解釈も適用されます。

重要関係司法解釈

「最高人民法院の『中華人民共和国民事訴訟法』の適用に関する解釈」(2015年2月4日施行、法釈[2015]5号)第1章(管轄)
「最高人民法院の渉外民商事事件の訴訟管轄の若干問題に関する規定」(2002年3月1日施行、法釈[2002]5号)
「最高人民法院の高級人民法院及び中級人民法院が管轄する第一審民商事事件の基準の調整に関する通知」(2008年2月3日施行、法発[2008]10号)
「最高人民法院の地方各級人民法院が管轄する第一審知的財産権民事事件の基準の調整に関する通知」(2010年2月1日施行、法発[2010]5号)

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