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中国民事訴訟Q&A(その2) 

2014年12月09日
  • 訴訟・仲裁手続
中国民事訴訟Q&A(その2)

Q2:「調解」という手続をよく聞きますが、「調解」とはどのような手続でしょうか。

中国律師からの回答

「民訴法」第9条によると、人民法院が民事事件を審理する場合、当事者の自由意思及び適法な原則に基づき「調解」を行わなければなりせん。また、「調解」が成立しない場合、人民法院は速やかに判決をしなければなりません。すなわち、「民訴法」における「調解」とは、裁判所による和解の手続のことです。

「調解」先行原則
  • 当事者が人民法院に提訴した民事紛争が「調解」に適する場合、「調解」を先行します。ただし、当事者が「調解」を拒否する場合は除外されます(「民訴法」第122条(調解優先))。
  • 「調解」は起訴の段階、法廷審理前の準備段階、法廷調査、法廷弁論の段階、及び上訴の段階のみならず、再審の段階にも行われます。
  • 第二審の人民法院が作成した「調解書」(和解調書のこと)が送達された後、原審の人民法院の判決は取り消されたものと見なされます(「民訴法」第172条)。
  • 特別手続、督促手続、公示催促手続に適用する事件、婚姻等の身分関係確認の事件及びその他の事件性質により「調解」をすることができない事件につき、「調解」をしてはなりません。

当事者が「調解」によって合意ができた場合、人民法院は「調解書」を作成しなければなりません。「調解書」は、裁判官及び書記官が署名し、人民法院が押印し、両当事者に送達されます。「調解書」は両当事者が署名・受領した後、直ちに判決と同様の法的効力を有し(「民訴法」第97条)、「民訴法」上の執行手続が適用されます。

「調解」において合意できない場合、または「調解書」送達前に一方当事者が翻意した場合、人民法院は遅滞なく判決をしなければなりません(「民訴法」第99条)。実務上、人民法院は、後日当事者が翻意して「調解書」の受取を拒絶することを防ぐため、法廷で両当事者に送達することが多いです。

また、実務上、「調解書」を作成する必要のない合意については、法廷記録に記載し、両当事者、裁判官と書記官が署名または押印した後、直ちに法的効力が生じます。特に両当事者が「民訴法」の関係規定に従い和解合意書を作成し、署名または押印した後直ちに法的効力が生じると合意した場合、人民法院が当該和解合意書を審査し、確認した後、法廷記録に記載し又は別紙として添付しなければなりません。この場合、両当事者、裁判官と書記官が署名または押印した後、和解合意書は直ちに法的効力が生じます。後日当事者が翻意して「調解書」の受取を拒絶しても、和解合意書の法的効力に影響しませんので、注意する必要があります。

注意点

当事者は、既に発効した「調解書」について、「調解」が自由意思の原則に違反する場合、または「調解」の合意内容が違法であることを証明する証拠を提出して、再審を申し立てることができます。人民法院の審査により事実であることが判明した場合は、再審をしなければなりません。ただし、判決・裁定と異なり、「調解書」に対する人民検察院(検察庁のこと)による「抗訴」(検察庁による裁判監督手続のこと)については、「調解書」が国の利益、社会公共利益を損なう場合のみ適用されます。

重要関係司法解釈

「最高人民法院の『中華人民共和国民事訴訟法』の適用に関する解釈」(2015年2月4日施行、法釈[2015]5号)第6章(調解)
「最高人民法院の人民法院民事調解業務の若干問題に関する規定」(2004年11月1日施行、法釈[2004]12号)

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