リフォーム工事に欠陥がある場合、リフォーム工事業者の「契約不適合責任(旧:瑕疵(かし)担保責任)」を追及できる場合があります。
契約不適合責任が発生する場合、損害賠償に限らず、欠陥の修補・代金の減額・契約の解除といった別の手段で損害を回復することも可能です。適宜弁護士にご相談のうえで、ご自身のご状況に合わせた対応をご検討ください。
今回は、リフォーム工事に欠陥があった場合にリフォーム会社の責任を追及する方法などを、ベリーベスト法律事務所所属の弁護士が解説します。
リフォーム工事に欠陥があった場合には、施工業者の「契約不適合責任」を追及できる可能性があります。
「契約不適合責任」とは、請負契約の目的物について、種類・品質・数量のいずれかに契約内容との不適合があった場合に、請負人(施工業者)が注文者(施主)に対して負担する法的責任を意味します(民法第562条以下、第559条)。
現行民法上、契約不適合責任は債務不履行責任の一種と位置付けられています。
リフォーム工事に不備があった場合、特段の事情がない限り、目的物の品質等に契約内容との食い違いがあると考えられます。
したがってこの場合、施主は施工業者に契約不適合責任を追及することが可能です。
契約不適合責任は、目的物の種類・品質・数量が、契約内容と食い違っている場合に発生します。
契約不適合責任が発生する場合の具体例は、以下のとおりです。
リフォーム後の建物に施主の期待とは異なる部分があったとしても、そのすべてが契約不適合責任を構成するとは限りません。
たとえば以下に挙げる場合には、施工業者の契約不適合責任は成立しないと考えられます。
もっとも、どの程度の欠陥が契約内容の不適合にあたるかは、施工業者の報酬額、工期、建物の種類・性質、工事の場所等を総合的に考慮して判断されます。判断が難しい場合も多いと思いますので、建築士などの建築の専門家に意見を求めることも有益です。
リフォーム工事について、施工業者の契約不適合責任が認められる場合、施主は損害賠償請求を含めて、以下の4つの方法により損害の回復を図ることができます。
リフォーム工事の完了後、建物の引き渡しを受けてから欠陥の存在が判明した場合、以下の手順によって、弁護士と協力しながら施工業者の責任を追及しましょう。
弁護士に施工業者の責任追及を相談するに当たっては、不適合や損害の内容が明らかになる資料を事前に準備しておくとスムーズです。
たとえば欠陥のある箇所を撮影したり、請負契約書や見積書などの書類を整理して準備したりすることが考えられます。
その他にも、弁護士から準備すべきものについて指示を受けた場合には、必要な事前準備を行いましょう。
弁護士への法律相談では、欠陥の状況や施主としての希望などを踏まえて、施工業者の責任をどのような方法で追及すべきかを検討します。
前述のとおり、契約不適合責任の追及方法は4つあり、それぞれ要件や必要な手続きなどが異なります。
施主としての希望を最大限実現できる方法を、弁護士と話し合いながら選択しましょう。
施工業者に対する責任追及の方針が決まったら、実際に施工業者に連絡をとって和解交渉を開始します。
施工業者に施主側の主張を受け入れさせるためには、契約の内容と欠陥箇所の状況を照らし合わせ、法的な根拠に基づいて契約不適合責任の成立を示すことが大切です。
弁護士と相談しながら、効果的な主張構成を検討しましょう。
施主と施工業者の間で主張が大きく懸け離れている場合には、和解交渉の成立は期待できません。
もし施工業者との和解交渉が不調に終わった場合には、民事調停・建築ADR・訴訟などを通じて解決を図ることになります。
これらの手続きには、周到な準備と対応が必要です。
時間的・精神的な負担を軽減するためにも、弁護士と協力しながら対応することをおすすめいたします。
リフォーム工事に関する欠陥は、建物の引き渡し後に限らず、工事途中でも発覚する場合があります。
工事途中で発覚したトラブルに関する対応は、まず、きちんと直して、契約の内容に適合する施行をしてもらうよう要求することになります。
それでも直そうとしない場合には、契約を解除するということもありうるでしょう。ただし、この場合に気をつけなければならないのは、「出来高」の取り扱いです。
工事の途中でも、施工業者に債務不履行があり、契約どおりの履行を求めても履行されず、これではとても契約の目的を達することができないというのであれば、解除を考えなければならないこともあります。
しかし、たとえ施工業者の債務不履行が原因で、工事の完成前に解除になったとしても、既履行の部分について施工業者の報酬が算定でき、かつ、既履行部分が施主に利益となるときには、既履行部分については解除できず、施主は「出来高」(既履行部分)に応じた報酬を払わなければなりません。「出来高」とは物理的な工事完了部分を金銭評価したものになります。
工事途中でリフォーム工事の欠陥が発覚した場合にも、まずは契約どおりの履行を求める(場合によっては解除する)のですが、欠陥が是正されず引渡に至ってしまった場合には、施工業者の契約不適合責任を4つの方法で追及するということになります。
弁護士と相談しながら法的検討を行い、施主にとってもっとも良い形でトラブルを解決できる方法を模索しましょう。
リフォーム工事の欠陥による債務不履行責任に基づき、施主が請負契約を解除する場合には、「出来高」の精算が発生する可能性がある点に注意が必要です。
「出来高」とは、物理的な工事完了部分を金銭評価したものをいいます。
欠陥のあるリフォーム工事であっても、注文者である施主が何らかの利益を受けている場合には、その部分は仕事の完成とみなされ、施主は受けた利益の割合に応じた請負代金を施工業者に支払わなければなりません(民法第634条)。
請負契約の解除を行う場合は、出来高の精算がどの程度の金額発生しそうかについて、事前に分析しておくべきでしょう。出来高の精算方法については色々考え方がありますので、建築の専門家に見てもらう必要があることが多いでしょう。
リフォーム工事の欠陥について、施主が施工業者の契約不適合責任を追及する場合、期間制限に注意する必要があります。
請負契約に基づく契約不適合責任を追及するには、原則として、注文者(施主)が建物に不適合があることを知った時から1年以内に、請負人(施工業者)に対する通知を行う必要があります(民法第637条第1項)。
ただし引き渡し時において、施工業者が不適合を知り、または重大な過失により知らなかった場合には、上記の期間制限は適用されません(民法第637条第2項)。
なお、上記の契約不適合責任の期間制限は、請負契約上の特約によって変更できます。
たとえば、責任期間を3年間に延長したり、反対に3か月に短縮したりすることも可能です。民法上では施主が契約不適合を知ったときから起算されていますが、特約では施工業者が施主に引き渡しをしたときから起算するとされている場合などもあります。
ただし、施主が消費者(事業者ではない個人)の場合、以下の内容の特約については、消費者契約法の強行規定に違反して無効となります。
リフォーム工事に欠陥が見つかった場合、施主はリフォーム店の契約不適合責任を追及できます。
契約不適合責任の追及方法は4つあるので、損害賠償請求に限らず、弁護士に相談しながら適切な方法をご選択ください。
ベリーベスト法律事務所は、リフォーム工事のトラブルに関して、施主の方からのご相談を随時受け付けております。
リフォーム後に引き渡しを受けた建物に欠陥が見つかった場合は、ベリーベスト法律事務所へ、ご連絡ください。