一戸建てを新築したにもかかわらず、施工不良が発見された場合、新たな生活に向けた希望が台無しになってしまいます。
施工不良によって施主に生じた損害は、施工業者に対して賠償を請求することが可能です。早期に弁護士に相談し、施工業者に対して然るべき対応を求めましょう。
この記事では、新築住宅の施工不良につき、施工業者に損害賠償を請求する方法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
施工不良とは、建物の仕様・設備などに不備があることを全般的に意味しています。法的には施工瑕疵とも呼びます。主に、以下の3つのパターンが考えられるため、確認していきましょう。
新築住宅の売買契約や請負契約では、施主と施工業者の間で、完成する建物の仕様や性能等について綿密な打ち合わせが行われ、その結果が契約に反映されます。
完成した建物の仕様や性能等内容が、契約に定められた内容に達していない場合、施工業者は施工不良の責任を負うことになります。
たとえば、
といったケースが、このパターンの施工不良に該当します。
建物を建てるときには、当然、法令に適合する建物を建てるということが目的となっています。建物の耐震性や防火・耐火の性能が法令に違反しているようなものであった場合には、住んでいる人の安全が脅かされてしまいます。このような施工不良は、早期に是正が必要です。
たとえば、
といったケースが、このパターンの施工不良に該当します。
建物の建築にあたっては、通常、一定の施工水準を満たすことが要求されます。余りにも汚い塗装で、社会通念上とうてい許容できないというものであれば、施工業者が責任を負うべき施工不良ということができます。
たとえば、
といったケースが、このパターンの施工不良に該当します。
上記以外にも、契約や法律、施工水準、さらに居住者の安全性や健康面に照らして、建物に何らかの問題がある場合には、施工不良に当たると評価すべきでしょう。
新築住宅に何らかの施工不良が発生した場合、施工業者は施主に対して、契約不適合責任を負担します。不法行為の要件を充たす場合には、不法行為責任を負担する場合もあります。
「契約不適合責任」とは、売買契約や請負契約において、引き渡された目的物の種類・品質・数量が契約内容に適合していない場合に、売主(施工業者)側が負担する責任をいいます(民法第559条、第562条以下)。令和2年4月1日に施行された改正民法により、以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていたものが整理され、「契約不適合責任」が定められました。
契約不適合責任は、契約違反に関する責任一般を意味する「債務不履行責任」の一種と解されています。
施主は施工業者に対して、以下の方法で契約不適合責任を追及することができます。
なお、あらかじめ契約で取り決めたはずの工事を一部行なわないまま、建物を引き渡されたという場合もあるでしょう。
この状態は、施工不良ではなく未施工と呼びます。この場合も施工業者の責任を問うことが可能です。
反対に、最初の契約では工事することになっていたが、さまざまな理由により一部工事をしないと後で合意に至った場合もあるでしょう。これを減工事といいます。施主と施工業者で契約内容に行き違いがある場合、施工業者側から「減工事だった」と反論される可能性もあります。
もし裁判になり、減工事であると認められれば、その減工事の分だけ、損害賠償額が少なくなることもあります。
施工不良について、施主は施工業者の不法行為責任(民法第709条)を追及することも可能です。
不法行為責任は、故意または過失により、相手に対して違法に損害を与えた場合に成立します。施工者の不法行為責任として、最高裁判所では、「建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵」のある場合に不法行為責任が認められています。
不法行為責任を追及する方法は、損害賠償請求のみであり、契約不適合責任に比べると、施主側の選択肢が狭くなっています。また、施工業者の故意または過失を、施主の側で主張立証する必要があります。
その一方で、消滅時効や除斥期間について、契約不適合責任とは異なるところがあるので、請求の時期によっては不法行為責任の追及しか行えないこともあります。
施工不良が発覚した場合に、施工業者を免責する特約が設けられることがあります。
しかし、このような免責特約は、各種法令に照らして無効となる可能性があるので、施工業者から免責を主張された場合は弁護士にご相談ください。
新築住宅の以下の箇所に施工不良が存在する場合、施工業者(又はその売主)は施主(又はその買主)に対して、引渡から10年間の瑕疵担保責任(≒契約不適合責任)を負います(住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第94条第1項、第95条第1項)。
品確法に基づく瑕疵担保責任は、免責・軽減不可とされているため(同法第94条第2項、第95条第2項)、施工業者の免責規定は無効です。
品確法の適用対象ではない不適合については、民法の契約不適合責任のルールに従います。
民法の契約不適合責任は、特約による排除が可能とされている任意規定です。
ただし、宅建業者が売主となる新築住宅の売買契約については、最低限引渡しから2年間は、売主が契約不適合責任を負う必要があります(宅地建物取引業法第40条)。
施主が一般消費者である個人の場合には、以下のいずれかに該当する免責規定が無効となります(消費者契約法第8条、第8条の2、第10条)。
新築住宅の施工不良が発見された場合、以下の方法によって、施工業者に対して損害賠償等を請求しましょう。
いずれの手続きについても、早期に弁護士にご相談いただくことで、適正かつ円滑に損害賠償等を請求することが可能です。
新築住宅の施工不良を発見した場合は、お早めに弁護士までご相談ください。
なお、弁護士と相談する場合には、
などの証拠があると、施工不良であるかどうか判断しやすくなります。
弁護士は、こうした資料と、実際に発生した瑕疵、法令に違反している場合には建築基準関係法令なども確認して、お客さまのケースでの最適な解決方法をご提案します。
新築住宅の施工不良については、施工業者側の契約不適合責任や、場合によっては不法行為責任を追及できます。
施工業者の免責規定は無効となる可能性がありますので、弁護士にご相談のうえで、損害賠償請求の方針などを検討しましょう。
ベリーベスト法律事務所では、注文住宅・分譲住宅の施工不良に関するご相談を随時受け付けております。
施工業者側の責任を適切に追及するため、建築士とも連携のうえで、さまざまな手段を尽くして施主の皆様をサポートいたします。
新築住宅の施工不良トラブルにお悩みの方は、お早めにベリーベスト法律事務所にご相談ください。