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    住宅のずさんな基礎工事を回避する! チェックリスト・対処法を解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    住宅のずさんな基礎工事を回避する! チェックリスト・対処法を解説

    建物の基礎は、耐震性や耐久性に影響を与える重要な部分になります。

    ずさんな基礎工事がなされると建物が傾いたり、地震で倒壊するおそれがあるなど非常に危険な状況になる可能性があります。建物が完成してからでは、基礎工事の内容を確認することが難しいため、基礎工事の段階からしっかりとチェックしていくことが大切です。

    今回は、住宅のずさんな基礎工事を回避するために基礎工事で何をチェックするべきかと、ずさんな基礎工事が気になったときの対処法を、弁護士が解説します。

1、【チェックリスト】ずさんな基礎工事を回避するために

一般の方では、どのような視点から基礎工事をチェックすればよいかわからない方も多いでしょう。
以下では、基礎工事でチェックすべき項目を挙げて説明しますので、基礎工事をチェックする際の参考にしてみてください。

  1. (1)配筋

    基礎の鉄筋をどのように配置しているか(配筋)は、基礎コンクリートの強度や耐久性に関わる重要な部分になります。
    配筋検査は、施主でも図面とメジャーがあれば簡単に確認することができます。配筋でチェックすべき項目は、以下のとおりです。

    • 鉄筋の位置(適切な間隔で設置されているか)
    • かぶり厚さ(鉄筋を覆うコンクリートの厚さ)
    • 波打ち(曲がった鉄筋の有無の確認)
    • 鉄筋定着の長さ(鉄筋同士が重なっている部分の長さ)
    • 太さ(建築基準法上の直径を満たすか)
  2. (2)防湿コンクリート

    防湿コンクリートとは、建物の床下の地盤からの水蒸気の発生を防止し、床組の乾燥状態を確保するためのコンクリート層です。

    防湿コンクリートは、厚さ60mm以上とされていますので、所定の厚さが確保できているかを確認します。湿度を抑えるため、法律(住宅の品質確保の促進に関する法律。「品確法」と言われます。)ではこの防湿コンクリートを設置するか、次に説明する防湿シートの設置をするかといった、湿度を抑えるための対策を採ることが義務付けられています。

  3. (3)防湿シート

    防湿シートとは、建物の床下の地盤からの水蒸気の発生を防止し、床組の乾燥状態を確保するためのシートです。
    防湿シートでチェックすべき項目は、以下のとおりです。

    • 隙間の有無
    • 破れの有無
    • しわの有無


    ただし、一般的には防湿シートを施行した後に、捨てコンクリート(鉄筋コンクリートと異なり、地面をならしたりするためだけに使用されるコンクリート)で固定しますので、多少の破れ程度であれば大きな影響はないでしょう。

  4. (4)断熱材

    断熱工事には、住宅の1階部分の床下に断熱材を敷く「床断熱」と、その下の基礎コンクリートに直接断熱材を敷く「基礎断熱」があります。
    基礎断熱を採用している場合、断熱材の施工がずさんだと断熱性能に大きな影響が生じてしまいますから、これも基礎工事の重要なチェックポイントの一つになります。

    基礎工事における断熱材でチェックすべき項目は、以下のとおりです。

    • 断熱材の素材
    • 断熱材の厚さ
  5. (5)人通口

    人通口とは、住宅の完成後の定期メンテナンス等の際に、基礎の立ち上がり部分に人が通ることができるよう設けられた開口部をいいます。

    人通口を設けると、そこだけ基礎がなくなりますので、その部分が弱くなってしまいます。そのため、人通口の周辺は設計段階で補強筋などを組みこんでいくことになりますので、設計どおりに人通口が設けられているかが重要になります。

    人通口でチェックすべき項目は、以下のとおりです。

    • 人通口の位置
    • 人通口の大きさ
  6. (6)ホールダウン金物

    ホールダウン金物は、引き寄せ金物ともいい、基礎、土台、柱の接合部に取り付けてこれらを一つにつなぎ、地震や台風などの衝撃で柱が土台から抜けないようにする役割があります。
    ホールダウン金物でチェックすべき項目は、以下のとおりです。

    • 位置
    • ひずみの有無
  7. (7)アンカーボルト

    アンカーボルトとは、基礎と土台をつなぎ、地震や台風などの衝撃で土台が基礎から抜けないようにする役割があります。ホールダウン金物との違いとしては、アンカーボルトの方が小さい分、ホールダウン金物よりも多く設置され、土台と基礎の接合を強める働きを持ちます。
    アンカーボルトでチェックすべき項目は、以下のとおりです。

    • アンカーボルトの本数
    • アンカーボルトの位置
    • アンカーボルトのひずみの有無

2、基礎工事の欠陥事例

以下では、ずさんな基礎工事でよくある欠陥事例を紹介します。

  1. (1)鉄筋の長さが足りない

    基礎工事で利用される鉄筋は、1本の長尺の鉄筋を使うのではなく、何本もの鉄筋を継ぎ足して施工するのが一般的です。鉄筋を重ねる際には、鉄筋の種類や使用するコンクリートの強度などにより重ねる長さが決められています。

    ずさんな基礎工事では、鉄筋を継ぎ足している部分の長さが足りず、基礎コンクリートの強度や耐久性が得られないことがあります

  2. (2)コンクリートの「かぶり厚さ」が足りない

    コンクリートのかぶり厚さとは、コンクリート内部に埋められた鉄筋からコンクリート表面までの距離をいいます。十分なかぶり厚さが確保された基礎は、コンクリート内のアルカリ性により鉄筋がさびるのを防ぐ効果が得られます。

    しかし、ずさんな基礎工事によりコンクリートのかぶり厚さが足りないと、コンクリートに生じたヒビから雨水が侵入し、鉄筋がさび、耐久性の低下につながります

  3. (3)人通口がない

    人通口は、建物完成後に床下の点検をするために必要になる部分ですので、基礎工事では、人が通れる程度の開口部を設けることが必要です。人通口は、設計段階から強度を計算して配筋の方法などが決められますので、設計図どおりに人通口が設けられていなければなりません。

    しかし、ずさんな基礎工事だと設計図に記載されている人通口が実際には確保されていないことがあります。基礎が完成してから人通口を設けることもできないことはないですが、せっかく作った基礎を破壊しなければならないため、適切な強度が得られない可能性があります。

  4. (4)アンカーボルトのずれ・高さ不足

    アンカーボルトは基礎と土台をつなぐものであるため、図面上適切な位置および長さで施工されなければなりません。

    しかし、ずさんな基礎工事だとアンカーボルトのずれや高さ不足により、土台との接合ができないケースもあります。基礎の配筋時に発覚すれば修正することも可能ですが、コンクリートを流し込んだ後では、修正は不可能ですので重大な欠陥となります。

3、ずさんな基礎工事が気になったときの対処法

基礎工事をチェックしている際に、ずさんな基礎工事が気になったときは、以下のような対処法を検討しましょう。

  1. (1)まずは証拠写真を撮る

    基礎工事は、予定されたスケジュールに従ってどんどん進んでいきますので、定期的に現場に赴き、ずさんな基礎工事が気になったときは、その部分の証拠写真を撮影しておきましょう。

    コンクリートが流し込まれた後では、配筋に不備があるかどうかを外観上明らかにすることができませんので、施工中にしっかりと証拠に残しておくことが大切です。今後、施工会社の責任を追及する際の重要な証拠になる可能性もありますので、気になるところはさまざまな角度から撮影しておくとよいでしょう。

  2. (2)第三者に意見を聞く

    ずさんな基礎工事が欠陥にあたるかどうかは、建築に関する知識や経験の乏しい施主には正確に判断することはできないといえます。

    基礎工事がずさんだと感じたときは、自分だけで判断するのではなく、専門的な知識や経験を有する第三者の意見を聞くことが重要です。

  3. (3)施工業者・ハウスメーカーへ問い合わせる

    基礎工事の実施について責任を負うのは、建物建築を請け負った施工業者・ハウスメーカーですので、基礎工事がずさんだと感じたときは、施工業者・ハウスメーカーに問い合わせてみるとよいでしょう。

    基礎工事の初期段階であれば、ずさんな基礎工事の修正ややり直しに応じてくれる可能性もあります。ただし、悪質な施工業者・ハウスメーカーだと、施主に知識がないことをいいことに、適当な言い訳をしてそのまま工事を進めるケースもありますので注意が必要です。
    施工業者・ハウスメーカーの対応に不信感を抱いたときは、やはり速やかに第三者に相談した方がよいでしょう。

4、基礎工事のトラブルで困ったときの相談先

ずさんな基礎工事が行われているなど基礎工事のトラブルで困ったときは、以下の相談先に相談してみるとよいでしょう。

  1. (1)住まいるダイヤル

    住まいるダイヤルとは、住まいに関する困りごとを相談することができる国土交通大臣指定の電話相談窓口です。

    住まいるダイヤルでは、住宅に関する知識を備えた一級建築士が無料で相談に対応しますので、専門的なアドバイスを受けることができます。

    ただし、住まいるダイヤルは、電話相談ですので、ご自身の住宅の基礎工事の内容がどのような具体的欠陥にあたるかまでは判断してもらうことはできません。

  2. (2)ホームインスペクター

    ホームインスペクターとは、建物の劣化状況・不具合事象の有無をチェックし、メンテナンスすべき箇所、是正すべき箇所などを中立的な立場でアドバイスしてくれる専門家です。中古住宅だけでなく新築住宅や建築途中でも、施工不良や欠陥の有無をチェックしてくれます。

    そのため、基礎工事がずさんだと感じたときは、ホームインスペクターに依頼して調査してもらうことで、基礎工事に欠陥があるかどうかを判断することができます。
    ただし、調査の結果、基礎に欠陥があったとしても、ホームインスペクターが施工業者と交渉してくれるわけではありません。

  3. (3)一級建築士

    一級建築士とは、国土交通大臣の免許を受け、建築物に関し、設計、工事監理などの業務を行う人のことをいいます。

    一級建築士は、ホームインスペクターと同様に、基礎工事の欠陥の有無を調査してくれますので、自分では欠陥の有無が判断できないときは、一級建築士に相談するとよいでしょう。

    ただし、一級建築士も施主に代わって施工業者と交渉してくれるわけではありませんので、施主自身で対応しなければなりません。

  4. (4)建築トラブルの実績がある弁護士

    施工業者との対応を依頼したい場合は、弁護士に相談するとよいでしょう。

    上述した他の相談先では、建築トラブルの解決に向けたアドバイスをしてくれますが、実際の対応は施主自身で行わなければなりません。しかし、知識や経験で劣る施主が施工業者と対等な立場で交渉を進めるのは困難といえます。

    弁護士であれば、施工業者の法的責任の有無を判断し、対等な立場で交渉を行うことができます。交渉が決裂したとしても、訴訟等の法的手続きによる解決を図ることもできますので、トラブル解決まで安心して任せることができるでしょう。

5、まとめ

基礎は、建物にとって重要な部分になりますので、ずさんな基礎工事がなされている場合には、施工業者に対して、修正ややり直しを求めていく必要があります。そのためには、建築分野に関する知識や経験が必要となりますので、まずは弁護士に相談するようにしましょう。
ベリーベスト法律事務所では、建築問題の解決実績を積んだ弁護士が建築トラブルの解決にあたります。
一級建築士も在籍しておりますので、基礎工事がずさんでお悩みの際は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築・建設に関するトラブルや訴訟問題でお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

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