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    2023年06月08日
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    2023年06月08日
    新築の引き渡しに伴ってトラブルが発生! 対処法や相談先について解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    新築の引き渡しに伴ってトラブルが発生! 対処法や相談先について解説

    新築物件(新築住宅)の引き渡しに伴ってトラブルが発生した場合、施工業者の契約不適合責任等を追及できる可能性があります。

    ただし、契約不適合責任の追及には多くの注意点があるため、まずは弁護士にご相談ください。

    本コラムでは、新築物件(新築住宅)の引き渡しに伴うよくあるトラブルや、契約不適合責任の追及方法・注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、新築物件の引き渡しとよくあるトラブル

新築物件が施工業者から施主に引き渡される際には、さまざまなトラブルが発生することがあります。もし引き渡しに伴いトラブルが起こってしまったら、すぐに弁護士へご相談ください。

  1. (1)新築物件の「引き渡し」とは

    新築物件の「引き渡し」とは、施工業者から施主に対して、物件の所有権および占有を移転することです。請負契約の目的物(建物)の所有権については、主要な材料を供給した者が取得していると考えられており、一般的には施工業者が材料を手配して購入し、施工を行うわけなので、引渡し前の建物の所有権は施工業者にあるのが通常です。占有についても、ほとんどの場合には、工事をするために鍵を施工業者が保有して管理していますので、鍵を引き渡すことによって、建物の所有権と占有が施主に移転するということになります。
    一般的に、新築物件の引き渡し日にはいくつかの手続きが行われます。


    <引き渡し日に行われる手続きの例>
    • 鍵の受け渡し
    • 必要書類の受け渡し
    • 登記手続き
    など


    これらの手続きによって、新築物件の所有権と占有が施工業者から施主へと完全に移り、施主は新築物件を利用できるようになります。

  2. (2)新築物件の引き渡し時に発生しがちなトラブル

    新築物件の引き渡しの際は、建物自体の不具合が発見されたり、それまでのスケジュールの遅延をどうするかなどといった問題に直面することがあります。


    <引き渡し時に発生し得るトラブル>
    • 内装にキズがついていた
    • 工事請負契約書における仕様と実際の仕上がりが異なっていた
    • 床が傾斜していた
    • 建具の施工に不備があった
    • 発注ミスや工事遅れによって引き渡しが遅延したが、遅延損害金を負担してくれない
    など


    このようなトラブルが発生した場合には、施工業者の契約不適合責任等を追及するなどの対応が考えられるため、弁護士にご相談ください。

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2、引き渡し前後における新築トラブルへの対処法

新築物件に関するトラブルへの対処法は、引き渡しの前後で異なります。

  1. (1)引き渡し前における対処法

    家の引き渡し前にトラブルが発生した場合は、是正を求めるのが基本的な対応です。

    引き渡し前に行う検査の段階で物件の状態を隅々までチェックし、不備があれば引き渡し前に是正を求めましょう。施工業者側が是正を拒否する場合には、弁護士を代理人に立てて対応することもできます。

  2. (2)引き渡し後における対処法

    引き渡し後に建物の不具合が発見された場合は、施工業者の契約不適合責任を追及することが必要です。3章で詳しく後述しますが、状況に応じて履行の追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約の解除が認められます。

    契約不適合責任を追及するにあたっては、契約と異なっていることを立証し得る証拠を確保することが重要です。確定した契約内容のわかるもの(契約書や見積書、図面等)は確認・保管し、その契約内容と異なっている箇所や、新築住宅であれば当然施工されているべきなのに施工がなされていない箇所、施工水準を満たさない雑な工事が行われている箇所を写真や動画で撮影したり、ホームインスペクション(住宅診断)によって不具合状況を調査したりして、証拠保全を図りましょう。

3、施工業者の契約不適合責任について

新築物件の施工に不備がある場合、施主は施工業者の契約不適合責任を追及することができる場合があります。

  1. (1)契約不適合責任とは

    契約不適合責任とは、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容と適合しない場合に、売主が買主に対して負う法的責任と同じものを、請負人が注文者に対して負う法的責任です(民法第562条以下、第559条)。

    契約に従って工事を完成することは、請負人の契約上の義務となります。したがって、注文者に対して引き渡した目的物が契約内容と適合していないとすれば、請負人の債務不履行です。

    民法では、請負人の債務不履行責任を具体化する形で契約不適合責任を定め、注文者に4つの追及方法を認めています。

  2. (2)契約不適合責任の追及方法

    注文者である施主は、請負人である施工業者の契約不適合責任を追及する際、状況に応じて以下の4つの方法を用いることが可能です。


    ① 履行の追完請求(民法第562条、第559条)
    引き渡された物件のうち契約に適合していない部分について、目的物の修補(施工のやり直し)を請求できます。ただし、請負人は、注文者に不相応な負担を課すものではないときは、注文者が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができます。
    なお、履行の追完が請負契約及び取引の社会通念に照らして不能である場合、注文者は履行の追完請求を行うことはできません(民法第412条の2)。また、契約不適合について注文者側に責めに帰すべき事由がある場合にも、追完請求は認められません。

    ② 代金減額請求(民法第563条、第559条)
    契約不適合の程度に応じて、請負代金の減額を請求できます。なお、代金の減額は、以下の場合に限り請求可能です。
    • 履行の追完請求をしたにもかかわらず、相当の期間内に履行の追完がないとき
    • 履行の追完が不能であるとき
    • 請負人が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
    • 契約の特質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約目的を達成できない場合において、履行の追完がなされずその時期を経過したとき
    • そのほか、相当の期間を定めて履行の追完の催告をしても追完を受ける見込みがないことが明らかなとき

    ③ 損害賠償請求(民法第564条、第559条、第415条第1項)
    新築工事の契約不適合により、注文者が被った損害の賠償を請求できます。たとえば、施工不備が原因でケガをしたり、家具・設備が腐食したりした場合などが損害賠償の対象です。

    ④ 契約の解除(民法第564条、第559条、第541条、第542条)
    新築工事の請負契約を解除できます。ただし、以下の場合に限り、契約解除が可能です。
    <全部解除>
    • 履行追完の催告をしたにもかかわらず、相当の期間内に履行の追完がないとき(不適合が契約および取引上の社会通念に照らして軽微なときを除く)
    • 履行の追完が不能であるとき
    • 請負人が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき
    • 履行の追完の一部が不能、または請負人が追完の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約目的を達成できないとき
    • 契約の特質または当事者の意思表示により、特定の日時または一定の期間内に履行をしなければ契約目的を達成できない場合において、履行の追完がなされずその時期を経過したとき
    • そのほか、履行の追完がなされず、催告をしても契約目的を達成するのに足りる履行の追完を受ける見込みがないことが明らかなとき
    <一部解除>
    • 履行の追完の一部が不能であるとき
    • 請負人が履行の追完の一部を拒絶する意思を明確に表示したとき

4、契約不適合責任を追及する際の注意点

新築工事の不備につき、施主が施工業者の契約不適合責任を追及する場合には、以下の5つの点にご注意ください。

  • ① 助成金については説明義務がない
  • ② 細かいキズや汚れは引き渡し前に指摘すべき
  • ③ 契約の内容に要注意
  • ④ 施主支給については、原則として契約不適合責任が発生しない
  • ⑤ 個人で対応するのは難しい|弁護士にご相談を


  1. (1)助成金については説明義務がない

    新築工事について何らかの助成金などを利用できるとしても、利用可能な助成金や住宅ローン控除などについては、施工業者は施主に説明する義務を負いません。

    したがって、施工業者から助成金等に関する説明がなかったとしても、その助成金等を利用できなかったことに対しては、契約の目的物の契約不適合がないので契約不適合責任はもちろん、施工業者の債務不履行責任を追及することはできない点に注意が必要です

  2. (2)細かいキズや汚れは引き渡し前に指摘すべき

    契約不適合の存在については、それを主張する施主側に立証する責任があります。細かいキズや汚れは、引き渡し後に施主が使用するなかでついたものかもしれず、新築工事の実施に起因するものだと立証することは困難です。

    そのため、施工箇所の細かいキズや汚れなどは、引き渡し後に指摘しても、施工業者は補修などの対応を行ってくれない可能性が高いといえます。必ず内覧会などの段階で入念に確認し、キズや汚れがあれば、担当者に補修を求めましょう

  3. (3)契約の内容に要注意

    新築工事の請負契約において、〇〇で良いと定められていれば、その内容は施主が了解済みとして取り扱われ、契約不適合責任の対象外となるのが一般的です。

    工事請負契約を締結する際には、そうした内容があるかどうかよく確認し、疑念に思うところがある場合には修正を求めましょう。施工業者には専門家として説明すべき責任もありますが、言った・言わないの問題になってしまうこともありますから、どのような説明を受けてこう決めたのかについて、議事録等に残しておくなどが適切な場合もあります

  4. (4)施主支給については、原則として契約不適合責任が発生しない

    建築用の資材を施工業者ではなく、施主側が調達して提供することを「施主支給」といいます。

    施主支給がなされた場合、施主の提供した材料の性質、または施主の与えた指図により生じた不具合を理由とする契約不適合責任の追及は、原則として認められません。ただし、施工業者が材料・指図の不適当であることを知りながら告げなかった場合は、例外的に契約不適合責任が認められます(民法第636条、第559条)。

    「自分で調達した方が安いから」と施主支給を希望する施主の方もいらっしゃいますが、契約不適合責任を追及できなくなるリスクがあることにご留意ください。

  5. (5)個人で対応するのは難しい

    新築物件に関する契約不適合責任の追及については、難しい法的な論点がたくさんあります。施工業者側から強硬に反論される可能性もあるため、施主ご本人だけで対応することは推奨できません。

    弁護士にご相談いただければ、状況に応じた適切な主張構成を検討し、施工不備等によって施主に生じた損害を回復できるようにサポートいたします。

    新築工事について、施工業者の契約不適合責任を追及したい場合には、お早めに弁護士までご相談ください。

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5、まとめ

新築住宅の引き渡し前後でトラブルが発生した場合には、契約不適合責任等を追及できるか否かなど、法的な観点から検討して対応すべきです。施主として受けた損害をできる限り回復するためには、弁護士へのご相談をおすすめいたします。

ベリーベスト法律事務所は、住宅建築に関するトラブルのご相談を随時受け付けております。注文住宅・建売住宅・中古住宅を問わず、あらゆる物件のトラブルについてご対応可能です。

住宅の建築を巡って、ハウスメーカーや工務店と揉めてしまった場合は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築トラブルにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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