新築物件(新築住宅)の引き渡しに伴ってトラブルが発生した場合、施工業者の契約不適合責任等を追及できる可能性があります。
ただし、契約不適合責任の追及には多くの注意点があるため、まずは弁護士にご相談ください。
本コラムでは、新築物件(新築住宅)の引き渡しに伴うよくあるトラブルや、契約不適合責任の追及方法・注意点などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
新築物件が施工業者から施主に引き渡される際には、さまざまなトラブルが発生することがあります。もし引き渡しに伴いトラブルが起こってしまったら、すぐに弁護士へご相談ください。
新築物件の「引き渡し」とは、施工業者から施主に対して、物件の所有権および占有を移転することです。請負契約の目的物(建物)の所有権については、主要な材料を供給した者が取得していると考えられており、一般的には施工業者が材料を手配して購入し、施工を行うわけなので、引渡し前の建物の所有権は施工業者にあるのが通常です。占有についても、ほとんどの場合には、工事をするために鍵を施工業者が保有して管理していますので、鍵を引き渡すことによって、建物の所有権と占有が施主に移転するということになります。
一般的に、新築物件の引き渡し日にはいくつかの手続きが行われます。
これらの手続きによって、新築物件の所有権と占有が施工業者から施主へと完全に移り、施主は新築物件を利用できるようになります。
新築物件の引き渡しの際は、建物自体の不具合が発見されたり、それまでのスケジュールの遅延をどうするかなどといった問題に直面することがあります。
このようなトラブルが発生した場合には、施工業者の契約不適合責任等を追及するなどの対応が考えられるため、弁護士にご相談ください。
新築物件に関するトラブルへの対処法は、引き渡しの前後で異なります。
家の引き渡し前にトラブルが発生した場合は、是正を求めるのが基本的な対応です。
引き渡し前に行う検査の段階で物件の状態を隅々までチェックし、不備があれば引き渡し前に是正を求めましょう。施工業者側が是正を拒否する場合には、弁護士を代理人に立てて対応することもできます。
引き渡し後に建物の不具合が発見された場合は、施工業者の契約不適合責任を追及することが必要です。3章で詳しく後述しますが、状況に応じて履行の追完請求・代金減額請求・損害賠償請求・契約の解除が認められます。
契約不適合責任を追及するにあたっては、契約と異なっていることを立証し得る証拠を確保することが重要です。確定した契約内容のわかるもの(契約書や見積書、図面等)は確認・保管し、その契約内容と異なっている箇所や、新築住宅であれば当然施工されているべきなのに施工がなされていない箇所、施工水準を満たさない雑な工事が行われている箇所を写真や動画で撮影したり、ホームインスペクション(住宅診断)によって不具合状況を調査したりして、証拠保全を図りましょう。
新築物件の施工に不備がある場合、施主は施工業者の契約不適合責任を追及することができる場合があります。
契約不適合責任とは、引き渡された目的物が種類・品質・数量に関して契約内容と適合しない場合に、売主が買主に対して負う法的責任と同じものを、請負人が注文者に対して負う法的責任です(民法第562条以下、第559条)。
契約に従って工事を完成することは、請負人の契約上の義務となります。したがって、注文者に対して引き渡した目的物が契約内容と適合していないとすれば、請負人の債務不履行です。
民法では、請負人の債務不履行責任を具体化する形で契約不適合責任を定め、注文者に4つの追及方法を認めています。
注文者である施主は、請負人である施工業者の契約不適合責任を追及する際、状況に応じて以下の4つの方法を用いることが可能です。
新築工事の不備につき、施主が施工業者の契約不適合責任を追及する場合には、以下の5つの点にご注意ください。
新築工事について何らかの助成金などを利用できるとしても、利用可能な助成金や住宅ローン控除などについては、施工業者は施主に説明する義務を負いません。
したがって、施工業者から助成金等に関する説明がなかったとしても、その助成金等を利用できなかったことに対しては、契約の目的物の契約不適合がないので契約不適合責任はもちろん、施工業者の債務不履行責任を追及することはできない点に注意が必要です。
契約不適合の存在については、それを主張する施主側に立証する責任があります。細かいキズや汚れは、引き渡し後に施主が使用するなかでついたものかもしれず、新築工事の実施に起因するものだと立証することは困難です。
そのため、施工箇所の細かいキズや汚れなどは、引き渡し後に指摘しても、施工業者は補修などの対応を行ってくれない可能性が高いといえます。必ず内覧会などの段階で入念に確認し、キズや汚れがあれば、担当者に補修を求めましょう。
新築工事の請負契約において、〇〇で良いと定められていれば、その内容は施主が了解済みとして取り扱われ、契約不適合責任の対象外となるのが一般的です。
工事請負契約を締結する際には、そうした内容があるかどうかよく確認し、疑念に思うところがある場合には修正を求めましょう。施工業者には専門家として説明すべき責任もありますが、言った・言わないの問題になってしまうこともありますから、どのような説明を受けてこう決めたのかについて、議事録等に残しておくなどが適切な場合もあります。
建築用の資材を施工業者ではなく、施主側が調達して提供することを「施主支給」といいます。
施主支給がなされた場合、施主の提供した材料の性質、または施主の与えた指図により生じた不具合を理由とする契約不適合責任の追及は、原則として認められません。ただし、施工業者が材料・指図の不適当であることを知りながら告げなかった場合は、例外的に契約不適合責任が認められます(民法第636条、第559条)。
「自分で調達した方が安いから」と施主支給を希望する施主の方もいらっしゃいますが、契約不適合責任を追及できなくなるリスクがあることにご留意ください。
新築物件に関する契約不適合責任の追及については、難しい法的な論点がたくさんあります。施工業者側から強硬に反論される可能性もあるため、施主ご本人だけで対応することは推奨できません。
弁護士にご相談いただければ、状況に応じた適切な主張構成を検討し、施工不備等によって施主に生じた損害を回復できるようにサポートいたします。
新築工事について、施工業者の契約不適合責任を追及したい場合には、お早めに弁護士までご相談ください。
新築住宅の引き渡し前後でトラブルが発生した場合には、契約不適合責任等を追及できるか否かなど、法的な観点から検討して対応すべきです。施主として受けた損害をできる限り回復するためには、弁護士へのご相談をおすすめいたします。
ベリーベスト法律事務所は、住宅建築に関するトラブルのご相談を随時受け付けております。注文住宅・建売住宅・中古住宅を問わず、あらゆる物件のトラブルについてご対応可能です。
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