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    2023年11月16日
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    新築住宅の基礎にひび割れが! 補修を求めるべきケースと対応方法
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    新築住宅の基礎にひび割れが! 補修を求めるべきケースと対応方法

    住宅の基礎は、建物を支えるための重要な土台になります。そのため、基礎にひび割れ(クラック)を見つけたら、不安になるのは当然といえるでしょう。

    ただし、ひと口に基礎のひび割れといっても、緊急性が低いヘアークラックと呼ばれるひび割れから、すぐに対応しなければ深刻な事態に発展する構造的なひび割れまでさまざまです。また、経年劣化によるひび割れでなく、新築住宅なのにひび割れが入っていた場合、迅速に確認・調査し、必要に応じて施工業者に補修を求める必要があるでしょう。

    今回は、基礎にひび割れが起きる5つの原因、新築の基礎部分にひび割れが生じた場合にすべき3つのこと、施工業者に補修を求める手順などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、基礎のコンクリートがひび割れる5つの原因

基礎のコンクリートがひび割れる原因には、以下のようなことが考えられます。

  1. (1)地震

    コンクリートの基礎は、真上からくる縦の力には非常に強い性質がありますが、横からの力には弱い性質があります。したがって、地震による揺れで、基礎が横に引っ張られた場合には、基礎にひび割れが生じることがあります。コンクリートのひび割れは(3)で後述する「乾燥収縮」によるものが多く、幅が0.3ミリ以下と非常に細くなります。地震によるひび割れは、0.4ミリ以上と比較的大きいため、構造上の問題になる可能性があります。

  2. (2)不同沈下

    基礎の打設前に地盤調査を行い、軟弱地盤である場合には、地盤改良などを行うのが一般的です。しかし、地盤調査が不十分であったり、地盤改良の方法が不適切であったりすると、地盤の弱い部分が沈下することで、建物が傾いて不均一に沈下するという不同沈下が生じることがあります。不同沈下が生じると、基礎への荷重が偏ることになり、ひび割れが生じる原因となります。

  3. (3)乾燥収縮

    大気が乾燥状態にあると、打設したコンクリートの中の水分が少しずつ蒸発していき、コンクリートの体積が減少することにより、収縮が生じます。これを「乾燥収縮」といいます。
    基礎のひび割れの原因としては、この乾燥収縮が最も多く、小さなひび割れであれば構造上の影響は少ないといえます。乾燥収縮は、コンクリートの特性上、築浅の住宅や新築住宅にも起きやすい現象です。

  4. (4)施工不良

    コンクリート打設時の締固め不足や材料分離によって、「ジャンカ」(コンクリートの一部にコンクリートの成分である粗骨材が多く集まってできた空間の多い部分)が生じることがあります。また、コンクリートを2層以上に分けて打設する場合には、打設時間によっては上層と下層が一体にならず、「コールドジョイント」という不連続な面が生じることがあります。このようなコンクリート打設時の施工不良があると、構造的な弱点が生じ、ひび割れの発生原因となります。

  5. (5)経年劣化

    コンクリートは強アルカリ性の性質を有していますので、この状態が維持されている限り、基礎コンクリートの中の鉄筋がさびることはありません。しかし、経年劣化により、徐々にコンクリートのアルカリ度が低下していくと、コンクリート内の鉄筋にさびが生じてしまいます。鉄筋がさびると鉄筋の膨張力により、基礎のひび割れが生じます。

2、新築住宅にひびが入っていたらすべき3つのこと

新築なのに基礎にひびが入っていた場合には、以下のような対応を検討しましょう。

  1. (1)ひび割れの大きさ(ヘアークラック)や数を確認

    まずは、基礎に発生しているひび割れの大きさや数を確認するようにしましょう。

    ひび割れの幅が0.3ミリ未満、深さが4~5ミリ未満のものについては、「ヘアークラック」と呼ばれ、有害性は低いといえます。しかし、ひび割れの幅が0.3ミリ以上、深さが4~5ミリ以上であれば「構造クラック」と呼ばれ、基礎の耐久性が低下するおそれがあることから早急な対応が必要になります

    なお、新築の基礎にひび割れが生じたとしても、すべてが構造上危険なひび割れというわけではありません。コンクリートは建設から1年前後かけて固まっていくため、その過程で細いクラックが発生することは一般的な現象といえます。

  2. (2)地盤に問題がないかを確認

    基礎のひび割れは、軟弱地盤が原因で発生することもありますので、地盤に問題がないかの確認も必要です。新築住宅であれば、基礎工事の前に、地盤調査が行われているはずですので、施工業者に連絡をして、地盤調査の結果を教えてもらうようにしましょう。また、地盤に問題がなくとも、施工時に地盤に問題がある場合には、基礎の補修だけでなく、地盤の改良も必要になりますので、修繕工事が大規模なものになる可能性もあります。

  3. (3)ホームインスペクターに調査を依頼

    ホームインスペクターとは、住宅の欠陥の有無や劣化状態をチェックし、補修の要否、補修方法などを判断する専門家です。基礎にひび割れがあったとしても、素人ではひび割れの原因や補修の要否などを適切に判断することが難しいため、専門家であるホームインスペクターに調査を依頼するのがおすすめです。

3、施工業者へ補修を求める手順

新築住宅に放置すべきではない基礎のひび割れがあった場合には、施工業者に対して、補修を求めていきます。以下では、施工業者に補修を求める手順について説明します。

  1. (1)施工業者へ補修を求められるケース・求められないケース

    構造上の問題のない軽微なひび割れについては、あくまでも美観上の問題となりますので、施工業者に補修を求めることができないこともあります。ただし美観上のひび割れであっても、一定期間は施工業者が補修をしてくれるケースもあります。まずは住宅保証の内容を確認し、補修が可能か交渉してみましょう。

    なお、前述した「構造クラック」のひび割れについては、施工業者に対して補修を求めることができます。そのまま放置していると建物の強度や耐久性に影響が生じてしまいますので、早急に対応しましょう。

  2. (2)引渡し前の対応

    基礎のひび割れを発見したのが、建物の引渡し前であれば、ひび割れの補修を終えるまでは、建物の引渡しを受けないようにしましょう。

    施工業者によっては、「ひび割れについては、引渡し後にきちんと対応するからとりあえず引渡しのサインをしてもらいたい」などと言って、引渡しに応じるよう求めてくることもあります。しかし、引渡しに応じてしまうと、補修工事がうやむやにされてしまい、責任をもって補修に応じてくれない可能性もありますので、絶対にサインをしてはいけません

    なお、基礎のひび割れが施工業者の施工不良によって生じたのであれば、引渡しが遅延したことにより発生する、仮住まいの家賃などは施工業者に対して請求できる可能性もあります。

  3. (3)引渡し後の対応

    基礎のひび割れを発見したのが、建物の引渡し後であった場合には、ひび割れの原因によって対応が異なってきます。
    ひび割れが施工業者の施工不良が原因で生じた場合には、施工業者に連絡をして、ひび割れの補修を求めていきます。基礎にひび割れが生じた建物では契約内容に適合しないものといえますので、契約不適合責任としての修補請求権が根拠になります。

    他方、地震などの天災が原因で基礎のひび割れが生じた場合には、施工業者に補修を求めることはできません。ただし、施主が地震保険や火災保険に加入している場合には、保険を適用して基礎のひび割れの補修ができる可能性があります。そのため、施工業者に責任のないひび割れについては、保険会社に連絡するとよいでしょう。

4、施工業者ともめそうなときは弁護士に相談を

ひび割れなどの気になる箇所を見つけても、施工業者とスムーズに交渉するのは難しいものです。もめる可能性が高いときは、弁護士に相談することをおすすめします。

  1. (1)施工業者と対等な交渉で責任を追及

    新築住宅の基礎にひび割れが生じた場合には、施工業者に対して、補修を求めていくことになります。しかし、ひび割れの程度によっては、施工業者が責任を否定したり、補修の必要のないひび割れだと主張したりして補修に応じてくれないこともあります。

    また、施主と施工業者では、知識や経験に圧倒的な差があるため、施工業者から専門用語を交えて説明をされてしまうと、反論できず受け入れてしまうこともあります。

    このような事態を回避するには、施工業者との交渉に実績がある弁護士に任せるのがおすすめです。実績がある弁護士であれば、施工業者と対等な立場で交渉をすることができるため、責任の追及や適切な主張をすることが可能です。

  2. (2)調停や訴訟などの手続きにも速やかに移行

    施工業者との話し合いで解決できない場合には、調停や訴訟といった法的手続きが必要になります。ただし、一般的な民事訴訟に比べて、建築訴訟は構造や地盤調査なども含めた専門性の高い分野ですので、知識や経験のない場合、適切に手続きを進めることは困難です。

    実績ある弁護士に依頼すれば、納得できる解決が得られる可能性が高くなります。
    ベリーベスト法律事務所では、建築トラブルの解決実績がある弁護士が迅速かつ適切に対応にあたります。また必要に応じて一級建築士と連携も可能です。おひとりで悩まず、まずは弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

5、まとめ

新築住宅であっても基礎にひび割れが生じることがあります。ひび割れの原因やひび割れの程度によっては、建物の構造上の強度や耐久性に影響が生じることもありますので、しっかりと調査を行い、適切な対応をとることが重要です。

ベリーベスト法律事務所では、新築の建売、注文住宅はもちろん、中古物件やリフォームの施工トラブルまで幅広く建築紛争を取り扱っています。建築の施工トラブルでお悩みの際は、まずは当事務所までご相談ください。建築訴訟専門チームが一級建築士と連携しながらトラブルの早期解決に臨みます。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築トラブルにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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