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    新築住宅が欠陥だらけだった! 検討すべき対応と欠陥発生理由を解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    新築住宅が欠陥だらけだった! 検討すべき対応と欠陥発生理由を解説

    「せっかく新築住宅を購入したのに、引き渡しを受けたら欠陥だらけだった」……そんなときは、施工業者に対する責任追及を検討しましょう。

    施工業者には、新築住宅について自らの施工の不備によって欠陥がある場合、その欠陥を補修するなどの対応を行う義務があります。もし施工業者の対応が不十分な場合や、対応そのものを拒否された場合には、お早めに弁護士へご相談ください。

    今回は、新築住宅が欠陥だらけだった場合に検討すべき対応や施工業者への責任追及方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、新築住宅の欠陥事例|欠陥が発生する理由とは

「新築住宅」とは、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)第2条第2項において、以下、3つの要件を満たすものと定義されています。

① 新たに建設された住宅※であること
※住宅:人の居住の用に供する家屋または家屋の部分(居住用以外の家屋との共用部分を含む。同条第1項)
② まだ人の居住の用に供したことがないこと
③ 建設工事の完了の日から起算して1年が経過していないこと


新築住宅の欠陥は、その大半が設計ミス・施工不良によるものです。
まずは新築住宅に発生しがちな欠陥トラブルの例や、新築住宅の欠陥が発生する主な理由を見ていきましょう。

  1. (1)新築住宅の欠陥事例

    新築住宅では、以下に挙げるような欠陥トラブルがしばしば発生しています。


    ① 壁のひび割れ
    モルタル施工の不良などによって、早い段階で壁がひび割れてしまうことがあります。

    ② 雨漏り
    屋根・天井部分やその周辺の施工不良などによって、雨漏りが発生することがあります。

    ③ 断熱性・気密性不足
    断熱材不足や窓の施工不良などによって、室内の断熱性・気密性が悪く、夏に暑すぎる、冬に寒すぎるという事態が生じることがあります。

    ④ 床の傾斜
    構造躯体や下地材の施工不良などによって、床が傾いてしまうことがあります。なお、品確法に基づき定められた「日本住宅性能表示基準」では、6/1000以上の傾きが基準違反とされています。
    参考:「日本住宅性能表示基準」(国土交通省)

    ⑤ 建具の破損
    乱暴な施工などによって、建具の一部が最初から破損してしまっていることがあります。

    ⑥ 耐震性不足
    設計時の構造計算ミスや、設計と施工の食い違いなどによって耐震性が不足した結果、地震が起こった際に、通常の水準を超えて住宅が破損・倒壊してしまうことがあります。


    新築住宅であっても、上記のような事例のほかにもさまざまな欠陥が発生することがあります。

  2. (2)新築住宅に欠陥が発生する主な理由

    新築住宅に発生する欠陥は、主に施工業者側による、以下のような不手際が原因です。


    • 設計に不備がある
    • 施工技術が不足している
    • 費用をカットするために手抜き工事をしている
    • 契約上の定めよりも劣悪な部材を使用している
    • 施工がすべて大工任せになっており、現場管理がきちんと行われていない
    など


    建築主事または指定確認検査機関による完了検査を通過していても、床下・天井裏など、チェックが手薄な部分もあるため、欠陥が見落とされている可能性は否定できません。

    なお、建物の設計はハウスメーカーや工務店などが独自に行うこともあれば、他の建築事務所等に外部委託する場合もあるため、施主と直接の契約関係にない設計事務所等の設計ミス等により欠陥が生じることもあります。

    このような直接契約関係にない相手が原因で欠陥が生じている場合でも、まずは建築を直接依頼したハウスメーカーや工務店を相手方として責任追及をすることになりますが、場合によっては、設計ミス等をした相手に対しても責任追及をすることができる可能性があります

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2、新築住宅の欠陥によって生じ得るトラブルと裁判例

新築住宅の欠陥は、実際に住む方の生活に大きな影響を及ぼします。施工業者がスムーズに対応してくれないケースもあるので、その際にはお早めに弁護士までご相談ください。

  1. (1)新築住宅の欠陥によって生じ得るトラブル

    新築住宅に欠陥がある場合、以下のようなトラブルが発生する可能性があります。


    • 雨漏りが原因で屋内に雨が浸入し、壁や床などが腐食する
    • 床の傾きによって健康被害が生じる
    • 断熱性や気密性の不足により、部屋ごとに大きな温度差が生じてヒートショック(血圧の乱高下による心筋梗塞等の健康被害)が発生する
    • 耐震性の不足により、地震の際に建物が倒壊する
    など


    このように、欠陥を放置しておくことで、さらなる被害が及ぶ可能性もあるため、欠陥に気付いた場合はそのままにしないようにしましょう。

  2. (2)新築住宅の欠陥が問題となった最高裁判例

    最高裁平成19年7月6日判決の事案では、新築の9階建て共同住宅・店舗について、梁(はり)や壁のひび割れ、鉄筋の露出、耐力不足など多数の施工不備が見つかり、施主から当該建物を買い受けた所有者が設計・施工業者等に対して瑕疵修補費用相当の損害賠償等を請求しました。

    最高裁は、当該建物を買い受けた所有者とは直接の契約関係にはないものの、設計・工事監理業者、施工業者いずれについても、不法行為に基づき損害賠償責任を認めました

    直接の契約関係にはないにもかかわらず損害賠償責任を肯定した根拠として、最高裁は、「直接の契約関係にないとしても、建物としての基本的な安全性が欠けることのないように配慮すべき注意義務を負うこと」を指摘しています。

    正当な賠償を受けるために検討すべき対応については、次章から説明いたします。

3、欠陥だらけの新築住宅だったときに検討すべき対応

引き渡しを受けた新築住宅が欠陥だらけだった場合は、前述のとおり、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。施主は専門業者に調査を依頼したうえで、施工業者等に対して責任追及を行いましょう。

  1. (1)専門業者に対して調査を依頼する

    施工業者等への責任追及の前提として、まずは専門業者に対して、欠陥に関する調査を依頼しましょう。

    ご自身で専門業者を探して依頼する方法はもちろんのこと、弁護士にご依頼すれば、ホームインスペクション(建物状況調査)を行う信頼できる専門業者を紹介してもらえることがあります。

  2. (2)引き渡し前|やり直しを求めるor引き渡しを受けて契約不適合責任追及

    引き渡し前に欠陥が発覚した場合、施主は、そのまま引き渡しを受けて契約不適合責任を追及していくか、引き渡しを延ばしても工事をやり直すかどうかを決めることになります。

    欠陥によっては、相当大がかりな補修工事が必要になることもあります。そうなると、引き渡しを受けてから補修を請求するとしても、また仮住まいをしなければならないということもあり、引き渡し・入居を延ばしても、引渡し前に補修工事をしてもらうほうが合理的な場合もあります。このような場合には、引き渡しが伸びたことにより発生した損害(賃貸物件の賃料など)について、請負代金から差し引くなどの交渉をしっかり行って、引き渡しを延ばしてもらうなどで対応することが考えられます。

    とりあえず欠陥のあるままで引き渡しを受けることを選択した場合も、引き渡し後に欠陥が判明した場合と同様に契約不適合責任を追及することができます

  3. (3)引き渡し後|契約不適合責任・品確法上の瑕疵担保責任を追及する

    引き渡し後に新築住宅の欠陥が判明した場合、施主は施工業者の「契約不適合責任」を追及できます(民法第559条、第562条以下)。

    契約不適合責任に基づく責任追及の方法は、以下の4つです。


    ① 履行の追完請求
    施工業者側の費用負担にて、欠陥箇所の修補などを請求できます。

    ② 代金減額請求
    欠陥の修補を拒否された場合や、修補が不可能な場合などには、欠陥の内容や程度に応じて請負代金の減額を請求できます。

    ③ 損害賠償請求
    欠陥によって被った損害の賠償を請求できます。

    ④ 契約の解除
    欠陥の修補を拒否され、または修補が不可能などの事情があり、かつ欠陥の程度が軽微でない場合には、新築住宅の請負契約や売買契約を解除して、代金の返還を請求できます。


    また、通常の契約不適合責任とは別に、新築住宅の構造耐力上に主要な部分や雨水の浸入を防止する部分については、「品確法に基づく瑕疵担保責任」を追及することもできます(品確法第94条、第95条)。

    品確法に基づく瑕疵担保責任を追及する方法は、通常の契約不適合責任のときと同様です。
    ただし後述するように、施工業者の免責特約の有効性についての取り扱いが異なります。

  4. (4)施工業者を免責する特約の有効性について

    新築住宅の請負契約・売買契約では、施工業者等の契約不適合責任や、品確法に基づく瑕疵担保責任を免責する(欠陥に関する補修・代金減額といった責任を免れる)規定(免責特約)が定められていることがあります。

    しかし、施主の利益を保護する観点から、以下のとおり免責の内容が制限されています。


      <通常の契約不適合責任>
    • 施主が消費者の場合、施工業者の責任を全部免除する特約等は無効(消費者契約法第8条第1項第1号、第3号)
    • 施主が消費者の場合、施工業者の故意または重大な過失による責任を一部免除する特約等は無効(同条第2号、第4号)
    • 宅建業者が売主である場合、責任期間を引き渡しから2年未満とする免責特約は無効(宅地建物取引業法第40条)

    • <品確法に基づく瑕疵担保責任>
    • 構造耐力・雨水の侵入に影響がある瑕疵の場合、引き渡しから10年間は免責不可(品確法第94条、第95条)

4、施工業者に対する責任追及の手続き

施工業者の契約不適合責任や、品確法に基づく瑕疵担保責任は、以下の対応・手続きによって追及します。

① 証拠書類の収集・準備
事実と法的な根拠に基づいた請求を行うため、契約内容や欠陥の状況などについての証拠書類を集める必要があります。たとえば、以下のような書類です。
・ 契約書
・ 設計図書
・ 欠陥箇所の写真
・ ホームインスペクション(建物状況調査)の結果
・ 施工業者とのやり取りの内容
など

② 施工業者との和解交渉
施工業者に連絡を取り、欠陥箇所の修補などによる解決方法を話し合い、合意(和解)を目指します。
合意(和解)ができれば、トラブルを早期に解決することが可能です。
任意の交渉で和解にいたらなかった場合には、民事調停や建築工事紛争審査会の紛争解決手続きなどにおいて、話し合いを継続する場合もあります。

③ 訴訟
和解交渉が決裂した場合、裁判所に訴訟を提起して解決を目指します。
法律上の要件に沿って、契約内容や欠陥の状況などにつき証拠に基づく立証を行う必要があるため、弁護士への依頼が不可欠です。


いずれの対応・手続き対応についても、法的な専門知識が必要となるため、弁護士への相談が欠かせません。もし新築住宅の欠陥を発見した場合は、お早めに弁護士へご連絡ください。

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5、まとめ

新築住宅(マンション・建売住宅・注文住宅)が欠陥だらけだった場合、施主は施工業者の責任を追及することが可能です
適切な形で新築住宅の欠陥問題を解決するためには、早期に弁護士へご相談いただくことをおすすめいたします。

ベリーベスト法律事務所は、新築住宅の欠陥など、建築物に関するトラブルのご相談を建築訴訟専門チームの弁護士が受け付けております。
一級建築士との連携もしているため、購入した新築住宅に欠陥が見つかった場合や建築物のトラブルで対応に悩んでいる際には、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築トラブルにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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