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    2022年02月10日
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    2022年02月10日
    手抜き工事を訴えたい! 損害賠償を請求することはできる?
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    手抜き工事を訴えたい! 損害賠償を請求することはできる?

    せっかくマイホームを購入・新築したのに、手抜き工事による欠陥住宅であることが発覚した場合、買い主や施主としては大きな憤りを感じることでしょう。

    手抜き工事は、買い主や施主が精神的にショックを受けるのはもちろんのこと、生活する中で危険が生じるおそれもあるため、速やかに是正される必要があります。是正が不可能な場合にも、損害賠償請求などが可能なケースがありますので、弁護士に相談したうえで適切に対処することが大切です。

    この記事では、注文住宅や建売住宅の手抜き工事が発覚した場合の対処法について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、新築住宅の手抜き工事とは? 代表的なパターン

新築住宅の手抜き工事には、実にさまざまなパターンが存在しますが、代表的なケースについてみていきましょう。
なお、手抜き工事というと、故意に(わざと)手を抜いた工事を真っ先にイメージされると思いますが、ここでは故意に手を抜いた工事だけではなく、うっかりして間違った工事をしてしまったり、施工すべき個数を間違えてしまったなど、過失によるものも含むこととします。

● 壁・床・土間などの亀裂
地盤沈下や、構造材の施工や品質に問題がある等を原因として、壁・床・土間などに亀裂が生じることがあります。

● 雨漏り
屋根スレートのヒビ割れや瓦のズレなどを原因として、天井に隙間が生じ、雨漏りが発生することがあります。

● 床の傾き
地盤が不均一に沈下(不動沈下)したり、設計ミスや施工不良などが原因で、床の傾きが生じることがあります。居住者の生命・安全に多大な影響を与えるものであり、重大な結果を引き起こしかねない手抜き工事のひとつと言えるでしょう。

● 電気や水道の不具合
電気工事や水道工事の不備により、漏電・漏水などが発生する場合があります。漏電は火事に、漏水は浸水につながり得るため、速やかな補修が必要です。

● 構造耐力の不足
建築士による構造計算ミスや、現場での施工管理の不備などにより、建物の構造耐力が不足することがあります。耐震性等について深刻な影響が生じるうえ、補修自体が困難なケースが多く、極めて重大な結果を引き起こしかねない手抜き工事と言えます。

2、手抜き工事を訴えることはできる?

購入した新築住宅や建ててもらった新築住宅について手抜き工事が発覚した場合、売り主や施工業者に対してどのような責任追及ができるのでしょうか。

  1. (1)手抜き工事に対する責任追及の法的根拠

    手抜き工事について責任追及を行う際の法的根拠は、「契約不適合責任」(民法第562条、第563条、第559条)と「不法行為」(民法第709条)の2つです。

    【契約不適合】
    「契約不適合責任」とは、売買契約や請負契約の目的物につき、種類・品質・数量に関して契約の内容と適合しないものが存在する場合に、売り主や施工業者が負う法的責任をいいます。
    新築住宅の買い主や施主は、次のいずれかの方法により、契約不適合責任を追及することができます。

    <契約不適合責任を追及する4つの方法>
    ① 履行の追完請求(民法第562条第1項、第559条)
    手抜き工事によって生じた欠陥を補修し、完全な状態となった建物を引き渡すように請求できます。

    ② 代金減額請求(民法第563条第1項、第559条)
    手抜き工事によって生じた欠陥の程度に応じて、売買代金・請負代金の減額を請求できます。代金減額請求を行うには、原則として事前に履行の追完請求を行うことが必要です。但し、履行の追完が不能な場合(修補が不能な場合)や、売り主・施工業者が履行の追完を拒絶する意思を明確にした場合などには、例外として直ちに代金減額請求を行うことができます。

    ③ 損害賠償請求(民法第564条、第559条、第415条第1項)
    手抜き工事によって生じた欠陥が原因で、買い主や施主が何らかの損害を被った場合には、損害賠償を請求できます。

    ④ 契約の解除(民法第564条、第541条本文、第559条)
    手抜き工事によって生じた欠陥の修補を請求しても履行がなされない場合などは、売買契約や請負契約を解除することができます。但し、欠陥が軽微である場合は解除できません。軽微であるかどうかは、契約及び取引上の社会通念に照らして判断されるところ、個別の案件ごとに具体的に検討が必要となるでしょう。


    【不法行為】
    「不法行為」とは、故意または過失により、他人に対して違法に損害を加えた場合に成立します。

    手抜き工事によって新築住宅に欠陥が生じ、建物としての基本的な安全性を損なった状態の建物となってしまっており、故意または過失が認められた場合には、買い主や施主は、施工業者に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行うことも可能です。ただし、契約不適合責任と不法行為に基づく損害賠償が重複する場合でも、二重に損害賠償が受けられるわけではありません

  2. (2)手抜き工事の責任追及には期間制限があることに注意

    契約不適合責任に基づく各種請求権(履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除)と、不法行為に基づく損害賠償請求権には、権利行使に期間制限が設けられています。売り主や施工業者の責任を追及する場合には、期間制限に注意して、早めの対応を心がけましょう。

    ● 契約不適合責任に基づく各種請求権の除斥期間(民法第566条、第637条)
    買い主・施主は、不適合を知った時から1年以内に、売り主・施工業者に不適合の事実を通知する必要があります。1年以内に通知をしさえすれば、1年経過後に各種請求権(履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、解除)を行使しても構いません


    • ※上記の期間制限は、契約により変更することが可能です。
    • ※ただし、宅地建物取引業者が売り主、買い主が宅地建物取引業者でない者である売買契約の場合は、民法第566条で定められている1年よりも買い主に不利となる特約をすることはできません。(宅地建物取引業法第40条)。
      また、新築住宅の売買契約や請負契約を締結する場合、構造耐力上主要な部分・雨水の浸入を防止する部分については、売り主・請負人は10年間は担保責任を負うこととされており、これを契約により短縮することはできません。(住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条、第95条)。

    これらの除斥期間内に通知を行っておくことで、請求権は保存され、消滅時効期間内であれば請求権を行使することができます。請求権の消滅時効期間は、権利者が権利を行使することができることを知ったときから5年間、権利を行使することができるときから10年間です

    ● 不法行為の消滅時効(民法第724条)
    不法行為に基づく損害賠償請求権は、次のうち、いずれか早く経過する期間の満了により時効となります。

    • ① 損害および加害者を知った時から3年
      ※被害者の生命や身体が害された場合には、損害および加害者を知った時から5年です(民法第724条の2)。
    • ② 不法行為の時から20年

3、手抜き工事の責任追及の相手方は?

新築住宅の場合、販売業者と施工業者が異なるケースがありますが、誰に対して手抜き工事の責任を追及すれば良いのでしょうか。

責任追及の相手方は、契約不適合責任か不法行為責任か、また注文住宅か建売住宅かによっても異なります。そのため、誰に対して請求すべきかわからない場合には、弁護士にご確認ください。

  1. (1)契約不適合責任|契約の相手方に対して追及する

    契約不適合責任は、契約を締結している相手方のみが責任追及の対象となります。

    ● 注文住宅の場合
    請負契約を締結しているハウスメーカーや工務店

    ● 建売住宅の場合
    売買契約を締結している売り主
  2. (2)不法行為責任|契約関係になくても追及可能

    一方、不法行為責任については、契約関係にあるか否かにかかわらず、建物としての基本的な安全性を損なう手抜き工事について故意または過失があると認められる主体に対して追及することが可能です。

    ● 注文住宅の場合
    ハウスメーカーや工務店(別の業者が施工を担当している場合には、その業者も)

    ● 建売住宅の場合
    設計や施工を行っている売り主や施工業者(建築に関わっていない売り主が責任を負うかについては争いがあります)

4、手抜き工事が発覚した場合の対処法・注意点

新築住宅の手抜き工事が発覚した場合は、弁護士へ相談のうえ、速やかに施工業者や売り主の責任追及を行いましょう。

  1. (1)弁護士に相談したほうが良い?

    前述したように、手抜き工事の責任を追及するためには、どういう法的根拠で追及するかといった法的知識が欠かせず、個人で対応することは非常に難しいでしょう。その点、弁護士に依頼することで、施工業者や売り主の責任追及をスムーズに進めることが期待できます。

    施工業者や売り主が請求に応じず、訴訟などの法的手段に訴える状況に発展した場合でも、弁護士に依頼していれば、状況に応じたサポートを受けることが可能です。

  2. (2)工事途中で契約を解除することはできる?

    工事途中であれば、施工業者には工事を完成させる義務があり、手抜き工事による欠陥の補修が可能であれば、施主としてもまずは施工業者に補修を求めることになるので、まず完全な履行をするよう請求していくことになります。
    補修が可能であり、かつ施工業者が補修に応じたのであれば、請負契約を解除することはできません。また、解除する必要性もないでしょう。

    その一方で、補修が行われなかったり、補修が不可能な場合や、施工業者が補修を拒否した場合であって、かつ欠陥の内容が軽微ではないときは、工事の途中でも請負契約を解除することができます(民法第541条、第542条)。

  3. (3)追加の補修費用を支払う必要はある?

    手抜き工事による欠陥の補修を行うに当たって、施工業者や売り主が追加費用を請求してくるケースがあります。

    しかし、手抜き工事による欠陥の責任は、あくまでも施工業者や売り主にあるので、施主や買い主が追加費用を負担する合理的な理由はありません。法律上も、契約不適合責任に基づく補修(履行の追完)にかかる費用は、施工業者(請負人)・売り主の側が負担すべきものとされています。

    もしハウスメーカーや工務店、建売住宅の売り主などから、補修にかかる費用の負担を求められたとしても、それは法律に基づかない要求ですので、受け入れる必要はありません。
    万が一、しつこく追加費用の負担を求められた場合には、弁護士を通して交渉することをおすすめします。

5、まとめ

新築住宅の手抜き工事が発覚した場合、施工業者や売り主に対して、契約不適合責任または不法行為責任を追及することが考えられます。また、欠陥が補修不可能で重大なものであった場合には、請負契約や売買契約を解除できる可能性があるでしょう。

しかし、これらの請求を行うのは簡単ではないことに加え、施工業者や売り主から誠意ある対応を望めない場合も少なくありません。そのため、弁護士に相談したうえで対応を検討することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、手抜き工事の被害に遭った方のために、施工業者や売り主に対する責任追及をサポートします。新築住宅やリフォーム工事の欠陥にお悩みの施主の方は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題快活に取り組みます。
建築トラブルにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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