ベトナム基礎知識
国土・気候
ベトナムへは、日本から南西へ約4,000キロ、6時間強のフライトで行くことができます。国土の広さは約33万キロメートル(日本は38万平方キロメートル弱)と、日本全土の面積から九州の面積分を引いたくらいとイメージできま す。ベトナムというと、「東南アジアの常夏の国」という印象があるかもしれませんが、首都ハノイのある北部では四季があり、テト(ベトナム旧正月)の頃は気温が10℃前後まで下がることがあります。商都ホーチミンのある南部は常夏で、乾季と雨季があります。
人口・年齢
人口は9千万人を超えました。緩やかな産児制限(公務員を対象とした「二人っ子政策」)はありますが、 毎年100万人弱増え続けていて、いずれは日本の人口と逆転すると言われています。東南アジアの国の 中では、インドネシア(約2億5千万人)、フィリピン(約9千5百万人)に次ぐ、第3位の人口規模となっています。
全人口の平均年齢は29.2歳と若く、街を歩いていると結婚式をよく見かけますし、職場では必ずといっていい割合で妊婦がいます。日本の全人口の平均年齢は46.1歳ですから、ベトナムが若い世代の国であることがよくわかります。
産業、社会
主力の産業は、なんといっても農業です。食料自給率は160%、コメやカシューナッツ、コーヒーの輸出では世界で1,2位を争っています。しかし、ベトナム政府は、農業の生産性を高めることを目指しながら、同時に「2020年までの工業化、近代化」も目指していて、農村から工業団地、都市部に出てきて仕事をする人が増えています。
ベトナムの国名は、「ベトナム社会主義共和国」です。ベトナム共産党が事実上一党独裁体制で統治しています。とはいえ、1986年から始まったドイモイ(刷新)政策以降、市場経済システムを導入していて、「社会主義市場経済」というユニークな体制をとっています。
日本から初めてベトナムに来た人は、まずはバイクの量に圧倒されるでしょう。9千万人強の総人口に対して、バイクの数は4千万台と言われ、約2.2人に1台の割合でバイクを持っていることになります。他方、ここ数年で自家用車の数も確実に増えており、現在は200万台の自動車が普及しています。ベトナム最初の地下鉄はホーチミン市で2020年に完成する予定です。都市交通も着々と整備が進められています。
日本との関わり
ベトナムでは、現地の人から「日本のお蔭でこの道ができた」「日本のお蔭でこの橋ができた」と話しかけられることがあります。実際、日本はベトナムにとって、ODA(政府開発援助)による最大の経済援助国です。
ベトナムに駐在する日本人は1万人を超え、徐々に増えています。そして、日本に住んでいるベトナム人の数は、2014年末時で約6万5千人、前年比138%と大幅に増えています。勤勉で器用といわれるベトナム人が技能実習生として来日しているほか、留学生も増えていて、国別の留学生数では地理的に近い中国、韓国、台湾という東アジア3ヶ国・地域からの留学生を除けば、ベトナムからの留学生が一番多くなっています。
ベトナムの法律の基礎の基礎
投資に関する法制度の概要
ベトナムとの間でビジネスをする場合、取引や投資のしかたによって、注意するべき項目がさまざまあります。貿易取引をする場合、港で「手続きを円滑にするための手数料」といった不透明な費目が発生することがありますし、株式の保有といった間接投資では、外国投資家の株式保有比率制限に注意する必要があります。
現地に拠点を作って事業を行う直接投資では、基本となる法律である投資法(共通投資法)、企業法(統一企業法)に則って進めることになります。これらの法律は、2015年7月から改正法が施行されますので、最新の法制度とその運用状況を知っておく必要があります。また、外資に対する規制についてはWTOコミットメントに注意しなければなりませんし、逆に投資優遇施策については最も有利な優遇を受けられるように最新の動向を把握しておきたいところです。このほか、会計・税務や、労働に関する法制、不動産に関する法制などでは、端々に社会主義国特有の制度があり、注意が必要です。
投資法、企業法、WTOコミットメント
外国の投資家がベトナムでビジネスを行うには、投資法(共通投資法)の規定にしたがって投資登録証明書(投資ライセンス)を取得しなければなりません。投資法では、100%外資の現地法人設立、外資とベトナム現地企業との合弁会社設立、M&A、駐在員事務所の開設など、さまざまな投資形態が規定されています。
ベトナムに拠点を作る際に、まずネックになるのがこの投資ライセンスの取得です。外国投資家は、投資ライセンスに記載された事業しかベトナム国内で行うことができませんので、事業内容を明確にしてライセンスを取得する必要があります。