法人のお客様 Corporate

税務訴訟の特徴 Distinctive Features of Tax Litigation

税務訴訟に慣れている専門部で審理が行われる

税務訴訟に慣れている専門部で審理が行われる

税務訴訟の多くは東京地方裁判所に提訴されることが多いです。東京地方裁判所には、「行政部」と呼ばれる行政訴訟を専門に取り扱う部があり(大阪地方裁判所にも存在します)、東京地方裁判所および大阪地方裁判所へ提訴された税務訴訟はその「行政部」で審理されます。

税務訴訟に慣れている「行政部」の裁判官が審理することには、下記のメリットがあります。

  1. 最新の税務訴訟判決の傾向を押さえており、結果が予測しやすい
  2. 的確な訴訟指揮が期待でき、審理期間が無駄に長くなるようなことがない
  3. 国を敗訴させる判決を書いたことのある裁判官も多く、国側敗訴の判決を言い渡すことに、それほど抵抗感がない

主張・反論の回数が多い

主張・反論の回数が多い

税務訴訟は、裁判官が問題となっている税法についての十全な理解を持っているとは限らないということと、税法自体が複雑だということもあって、理論的な問題について議論が交わされることが多い傾向にあります。

裁判官も納税者および国のどちらもの意見を聴いてから判断するのが通例ですから、事実関係についての主張・反論が終わっても、税法の解釈などの理論面での主張・反論が戦わされることになり、その結果、審理が長引いてしまうということがあります。

そのほか、課税処分の取消しに関する紛争については、「総額主義」が採られていることから、あらゆる理由を用意する課税当局と課税処分の税額全体が果たして妥当であったのかどうかを争うことになります。

総額主義とは?

審理の対象になるのは税額の正しさである、という考え方です。その反対は「争点主義」といい、処分の理由の正しさが審理の対象であるという考え方をいいます。

ですので、納税者が「処分の理由がおかしい」と思って訴訟を提起しても、別の理由で税額は正しいということになれば、納税者が負けてしまうわけです。

そこで、納税者側としては「とりあえずは何でも主張できることは主張しておかなければならない」という心理が働きますので、主張・反論の回数が増えることになります。

文献引用や提出証拠が多くなりがち

文献引用や提出証拠が多くなりがち

理論的な問題について議論が交わされることにより、関連する文献や裁判例などが数多く裁判所に提出されます。

これらの証拠が積み上がりますと、裁判官も判決を書くのに相当の労力が必要となりますので、これも税務訴訟の審理期間が長引く要因となります。

学者の意見書の提出

学者の意見書の提出

税務訴訟では、文献に載っていない論点が現れることも多く、税法学者の先生に意見書をいただくことも珍しくありません。

意見書の作成には相応の時間がかかりますので、意見書を提出するまで審理を待ってもらう、という事態も起こります。

さらに、一方の学者の意見書に対して、反論のために別の学者の意見書を出すということになりますと、ますます時間がかかってしまうことになり、税務訴訟の審理が長期化することには、このような原因もあります。

原則として和解をしない

原則として和解をしない

行政訴訟では、政治的な判断があるような場合を別として、基本的に和解で終わるということはありません。
行政訴訟の中でも、税務訴訟では、ほとんど和解があり得ません。

もっとも、裁判所が和解の提案をすることが全くないわけではなく、当事務所の弁護士が関与した事件においても、裁判所が和解を試みたことがあります(CASE2参照。しかしながら、課税当局がこれに応じなかったため、結局、判決で決着しました。)。

訴訟が和解で終わらない場合には、基本的には裁判所が判決を言い渡すまで訴訟が終わりませんので、和解で終わることも多い一般の民事訴訟に比べると、審理期間が延びてしまいます。

ケースによっては証人尋問がない

ケースによっては証人尋問がない

税務訴訟の中でも、下記のようなケースでは証人尋問は行われません。

  1. 納税者と国の双方に争いがなく、税法や通達の解釈など、理論的な部分についてだけ争いがあるケース
  2. 証拠からどのような事実を認定するべきか(証拠の評価)だけが問題となるケース
0120-733-043
全国対応平日9:30~18:00
全国対応 / 平日9:30~18:00
0120-733-043
メールでのお問い合わせ
TOPへ