コラム Columns

中国弁護士(律師)コラム Column

中国人が日本で会社設立する際のポイント|在留資格・手続き・注意点 

2023年10月03日
  • 中国法務(進出・展開・撤退)
中国人が日本で会社設立する際のポイント|在留資格・手続き・注意点

中国人が日本で会社を設立する場合、経営・管理などの在留資格を取得しなければなりません。また、日本の会社法などに従った手続きが必要なので、日本法弁護士のサポートを受けましょう。

本記事では、中国人が日本で会社設立する際のポイントをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、中国人が日本で会社設立をする際には、在留資格が必要

中国人が日本で会社を設立するためには、一定の在留資格を取得する必要があります。就労制限のない在留資格を取得できない方は、「経営・管理」の在留資格を取得しましょう。
(1)日本で会社設立ができる在留資格の種類
外国人が日本で会社を設立する際には、以下のいずれかの在留資格を取得する必要があります。

① 就労制限のない在留資格
原則として、日本において制限なく活動できる在留資格です。
・永住者
・定住者
・日本人の配偶者等
・永住者の配偶者等

② 経営・管理
日本において貿易その他の事業を行い、または当該事業の管理に従事する活動ができる在留資格です。


就労制限のない在留資格は取得要件が厳しいため、基本的には経営・管理の在留資格の取得を目指すのがよいでしょう。
(2)経営・管理ビザの取得要件
経営・管理の在留資格を取得するためには、申請人が以下の要件をすべて満たす必要があります。

① 申請に係る事業を営むための事業所が日本国内に存在すること。ただし、当該事業が開始されていない場合は、当該事業を営むための事業所として使用する施設が日本国内で確保されていること。

② 当該事業の規模が次のいずれかに該当していること。
(a)その経営または管理に従事する者以外に、日本国内に居住する2人以上の常勤の職員(外交・公用・教授・芸術・宗教・報道の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
(b)資本金の額または出資の総額が500万円以上であること。
(c)(a)または(b)に準ずる規模であると認められるものであること。

③ 申請人が事業の管理に従事する場合は、事業の経営または管理について3年以上の経験(大学院において経営または管理に係る科目を専攻した期間を含む。)を有し、かつ、日本人が従事する場合に受け取る報酬と同等以上の報酬を受けること。

2、中国人が日本で会社設立をする際の手続き

日本で会社を設立する際には、以下の手続きを踏む必要があります。
①定款の作成
②定款認証(株式会社の場合)
③出資の払い込み
④設立登記
⑤税務署等への届け出

それぞれ確認していきましょう。
(1)定款の作成
「定款」とは、会社における最上位の社内規定です。日本で会社を設立する際には、必ず定款を作成しなければなりません。

定款に記載すべき事項は、以下のとおりです。

① 絶対的記載事項
必ず定めなければならない事項です。
・目的
・商号
・本店の所在地
・設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
・発起人の氏名または名称および住所

② 相対的記載事項
定款に記載しなければ効力を生じない事項です。
・現物出資
・会社成立後の財産引き受け
・発起人の報酬
・会社が負担する設立費用(会社に損害を与えるおそれのないものを除く)
・株式譲渡制限に関する事項
・取締役の任期等
・単元株式に関する事項
・基準日に関する事項
・取締役会の書面決議に関する事項
など

③ 任意的記載事項
上記のほか、会社に適用されるルールを適宜定めることができます。
(例)事業年度、役員の人数など
(2)定款認証(株式会社の場合)
株式会社を設立する場合は、作成した定款について公証人の認証を受ける必要があります。

定款認証は、各地の公証役場で受けられます。認証手数料は、資本金額100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、300万円以上の場合は5万円です。

なお、持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)を設立する場合には、定款認証は不要です。
(3)出資の払い込み
会社の設立登記に先立って、出資を払い込む必要があります。まだ会社口座はないので、発起人個人の銀行口座に資本金を振り込みます。

資本金の振り込みが完了した後、以下の手順で書類を作成しましょう。この書類は、登記申請の際に必要となります。

① 払込明細のコピーを作成する
② 代表者名義で払込証明書を作成する
③ 払込証明書に払込明細のコピーを綴じ込む
(4)設立登記
会社は、本店の所在地において設立の登記をすることによって、会社として成立します(会社法第49条、第579条)。

会社の設立登記を受け付けているのは、法務局または地方法務局です。会社の本店所在地を管轄する法務局・地方法務局を探して、設立登記申請を行いましょう。

設立登記申請時には、以下の書類が必要です。また、会社の機関設計等によっては、その他の書類も必要になることがあります。

・登記申請書
・登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
・登記すべき事項
・定款
・取締役の就任承諾書
・発起人および取締役の印鑑証明書(ない場合は代用書類)
・払込証明書
・印鑑(改印)届出書


登記手続きは、司法書士などに依頼するのが便利です。ベリーベスト法律事務所にご相談いただければ、グループ内の司法書士に登記手続きをご依頼いただけます。
(5)税務署等への届け出
新たに会社を設立した場合は、以下の各種届け出・申請を行います。

① 税務署に対する届け出・申請
(必須)
・法人設立届出書
・給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書

(任意)
・法人税の青色申告承認申請書
・源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

② 都道府県税事務所・市町村に対する届け出
・法人設立・設置届出書

③ 健康保険・厚生年金保険に関する届け出
・新規適用届
・被保険者資格取得届

④ 労働基準監督署への届け出・申告
・保険関係成立届
・概算保険料申告書

⑤ ハローワークへの届け出
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届


ベリーベスト法律事務所では、税理士や社会保険労務士などと連携して、上記の届け出等の手続きをサポートしております。

3、中国人が日本で会社設立をする際の注意点

中国人が日本で会社を設立する際には、特に以下の2点にご注意ください。

① 印鑑証明書の代用書類が必要|サイン証明書・宣誓供述書
② 代表者が海外在住の場合は、銀行口座の審査に通りにくい
(1)印鑑証明書の代用書類が必要|サイン証明書・宣誓供述書
日本で会社の設立登記を申請する際には、原則として印鑑証明書の提出が必要です。

しかし、日本に住所を有しない外国人の方は、印鑑登録ができないため、印鑑証明書を準備することができません。その場合は、サイン証明書や宣誓供述書などの代用書類が必要になります。

どのような代用書類が必要かを法務局に確認した上で、早めに書類を手配しましょう。
(2)代表者が海外在住の場合は、銀行口座の審査に通りにくい
会社の代表者が日本国内に在住している場合、日本国内の銀行の口座開設審査に通りにくい傾向にあります。

銀行口座が開設できなければ、日本における事業に何らかの支障が出るおそれがあります。会社設立後、複数の銀行に開設を申し込むなどして、できる限り早めに会社口座を開設しましょう。

4、中国人の日本における会社設立は弁護士に相談を

中国人が日本で会社を設立する際には、日本の法律に従った手続きを行う必要があります。

独特な手続きに戸惑う部分が多いかもしれませんが、弁護士に相談すれば安心です。司法書士・税理士・社会保険労務士などの専門家と連携して、スムーズに会社を設立できるようにサポートいたします。

日本での会社設立を目指している中国人の方は、お早めに弁護士へご相談ください。

5、まとめ

中国人が日本で会社を設立する際には、会社設立が可能な在留資格を取得した上で、会社法に沿った設立手続きを行う必要があります。また、会社設立後には税務署への届け出なども必要です。

これらの手続きは、弁護士その他の専門家にサポートを依頼すれば、スムーズに進めることができます。

ベリーベスト法律事務所は、中国人の方向けに、日本国内における会社設立のサポートを行っています。経営管理ビザ申請についてもサポート可能です。
日本市場への進出をご検討中の中国人の方は、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
無料通話:
日本語・中国語でお問い合わせいただけます
0120-260-093
平日 9:30-21:00 / 土日祝 10:00-17:00(日本時間)
TOPへ