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中国で子会社を設立する方法|形態選択の方針・手続きなどを解説 

2023年08月17日
  • 中国法務(進出・展開・撤退)
中国で子会社を設立する方法|形態選択の方針・手続きなどを解説

中国で子会社を設立する方法には、主に中外合資企業(合弁)、外商独資企業、代表処(駐在員事務所)などがあります。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、設立場所の地域性なども考慮しつつ、適切な形態を選択しましょう。

今回は中国で子会社を設立する方法につき、選択の方針や手続きなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、中国で子会社を設立する主な方法

中国で子会社を設立する主な方法は、以下の3つです。
  • ① 中外合資企業(合弁)
    →外国資本と中国資本の共同出資による中国企業で、有限会社の形態をとります。
  • ② 外商独資企業
    →中国法によって設立された、外国資本100%の企業(外資企業)です。
  • ③ 代表処(駐在員事務所)
    →外国法人の出張所のような位置づけで、独立した法人ではありません。

2、中国における子会社形態の選択方針

中国で子会社を新設する際に、中外合資企業(合弁)・外商独資企業・代表処(駐在員事務所)のいずれを選択すべきかについて、方針の目安を紹介します。
(1)中外合資企業(合弁)を選択すべき場合
中外合資企業(合弁)の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット デメリット
・中国側出資者によるサポートを受けられる(現地のオペレーション、政府対応など)
・中国側出資者の調達ルート、販売ルート、人員、設備、不動産などを利用できる
・初期投資が比較的小さく済む
・中国側出資者が実権を握り、日本側出資者が排除されるおそれがある
・中国側出資者を通じた情報漏洩等のリスクがある
・コンプライアンス違反が生じやすい
・中国側出資者との間でトラブルになった際に、判決の強制執行ができない可能性がある

敏速に中国市場へ進出したい場合には、中国側出資者のリソースを活用できる中外合資企業(合弁)は大きなメリットがあります。
その一方で、現地のオペレーションや中国側出資者との関係性などについて、緻密なマネジメントが必要となる点に注意が必要です。
(2)外商独資企業を選択すべき場合
外商独資企業の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット デメリット
・自社の100%出資により設立する場合は、支配権を巡る出資者間の争いが生じない
・日本企業のみが出資すれば、情報セキュリティやコンプライアンス対策を日本並みに講じやすい
・中国側出資者がいないため、現地の調達ルート、販売ルート、人員、設備、不動産などの確保が大変
・初期投資が多額になりやすい

中国側出資者のリソースを活用できない分、中国市場進出の敏速性では、外商独資企業は中外合資企業(合弁)に劣るケースが多いです。
その一方で、支配権争いのリスクや情報セキュリティ・コンプライアンスなどの観点では、外商独資企業の方に分があります。地に足を着けた中国進出を目指したい場合は、外商独資企業による子会社設立が有力な選択肢となるでしょう。
(3)代表処(駐在員事務所)を選択すべき場合
代表処(駐在員事務所)の主なメリット・デメリットは、以下のとおりです。
メリット デメリット
・比較的簡単な手続きで中国に進出できる ・営利性の活動(商談や契約締結など)を行うことができない

代表処が行うことができるのは、以下の活動に限られています(外国企業常駐代表機構登記管理条例第14条第1項)。
  • ① 外国企業の製品またはサービスに係る市場調査、展示、宣伝活動
  • ② 外国企業の製品販売、サービス提供、国内買付、国内投資に係る連絡活動


中国では広告宣伝活動のみを行い、実際の取引は日本の本社が行うのであれば、設立手続きが比較的簡単な代表処(駐在員事務所)が有力な選択肢です。
これに対して、本格的に中国進出を図りたい場合には、機能・権限が大きく制限された代表処(駐在員事務所)ではなく、中外合資企業(合弁)や外商独資企業を選択すべきでしょう。

なお、代表処(駐在員事務所)は営利性の活動を認められていない(=経営性分公司ではない)ため、中国における企業所得税・増値税等の対象外であるのが原則です。
ただし、本社機構の性質や活動状況によっては、中国において課税される場合がある点にご留意ください。
参考:「駐在員事務所課税の新たな動きについて」(JETRO)

3、中国において子会社を設立する際の手続き

中外合資企業(合弁)・外商独資企業・代表処(駐在員事務所)を設立する際には、それぞれ以下の手続きが必要となります。
  • ① 中外合資企業(合弁)の設立手続き
    出資者間で合弁契約を締結したうえで、中国当局の市場管理部門に設立登記申請を行います。工商登記が完了し、営業許可証が取得できたら、中国における操業を開始できます。
  • ② 外商独資企業の設立手続き
    中外合資企業(合弁)と同じく、中国当局の市場管理部門に設立登記申請を行い、工商登記の完了と営業許可証の取得を待って操業を開始します。
    出資者が複数の場合でも、中外合資企業(合弁)とは異なり、合弁契約の締結は必須とされていません(実務上は合弁契約を締結するケースが多いです)。
  • ② 代表処(駐在員事務所)の設立手続き
    関連部門(一般的には商務部門)の認可、工商登記やその他の関係部門での登記等を経て、権限の範囲内で中国における活動ができるようになります。

4、中国で子会社を設立する際には弁護士に相談を

中国において子会社を設立する際には、設立の場所や形態について、それぞれのメリット・デメリットを比較検討したうえで、想定する事業に合ったものを選択すべきです。また、実際に子会社を設立するに当たっては、中国法の規定に則って手続きを踏まなければなりません。

設立場所・形態の選択や設立手続きなどについては、弁護士のアドバイスとサポートが大いに役立ちます。中国での子会社設立を検討している企業は、事前に弁護士へご相談ください。

ベリーベスト法律事務所は、相談者のニーズを十分考慮したうえでメリットやデメリットを丁寧に分析し、中国における拠点の適切な設立場所・形態を具体的にご提案いたします。実際の設立手続きも弁護士のサポートにより、効率的に進めることができます。

さらに、中国における拠点の設立だけではなく、設立後の顧問弁護士サービスまで一貫してご提供可能です。新たに中国進出をご検討中の企業は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

5、まとめ

中国において事業拠点を設ける際には、設立の場所や形態をよく吟味しなければなりません。実際の設立手続きについても中国法の知識が必要不可欠なので、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所は、中国法に詳しい弁護士(中国律師を含む)と中国法務の専門グループを擁しており、幅広い業務分野について、日本企業の中国拠点設立を強力にバックアップいたします。
中国最大の法律事務所ととも提携しているため、中国の法規制・税務・現地情報などについて、実務に即したアドバイスが可能です。

ベリーベスト法律事務所は、法務・ビジネスの両面から、日本企業の中国進出をサポートいたします。中国市場への展開を目指す日本企業は、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご相談ください。
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