中国民事訴訟Q&A(その24)
中国律師からの回答
「民訴法」第65条によると、当事者は、その主張について、適時に証拠を提出しなければなりません。人民法院は、当事者の主張及び事件の審理状況に基づき、当事者が提出すべき証拠及びその期限を指定します。
証拠提出期限
- 人民法院は、原則として、その裁量により、当事者の証拠提出期限を指定します。
- 人民法院は、事件の受理通知書及び応訴通知書を送達するとともに、当事者に対して証拠の提出通知書を送達しなければなりません。当該提出通知書には、立証責任の分配原則と要求、証拠の提出期限及び期限を過ぎて証拠を提出する場合の法律結果等が明記されています。
- 人民法院が証拠の提出期限を指定する場合、第一審普通手続の指定期間は15日を下回ってはならず、当事者が事件の受理通知書及び応訴通知書を受領した翌日から起算されます。実務上は、30日と指定される場合が多いです。
- 当事者は、指定期限内の証拠提出が困難である場合、期限満了前に人民法院に期限の延長を申請することができます。人民法院は、当事者の申請に基づき相応に延長期限を決定します(申請の理由が相当でない場合、認められません。)。
- 当事者が期限を過ぎて証拠を提出した場合、人民法院はその理由を説明するよう命じなければなりません。
- 理由説明を拒否し、または理由が相当でない場合、人民法院は、状況に応じて当該証拠を採用せず、または当該証拠を採用するが訓戒、過料に処すことができます。
実務上、当事者が指定された証拠提出期限までに証拠を提出しない場合(特に故意または重大過失の場合)、人民法院は、証拠提出の権利を放棄したものとみなし、当事者が期限を過ぎて提出した証拠について、相手当事者が同意したときを除き、証拠に対する質疑を行わない場合がよくありますので、注意する必要があります。
また、当事者が訴訟請求を追加もしくは変更し、または反訴を提起する場合、証拠の提出期限満了前に提起しなければなりません。なお、訴訟の過程において、人民法院が事件の事実認定に基づいて当事者に訴訟請求を変更できることを告知しなればならない場合に、当事者がこれにより訴訟請求を変更するときは、人民法院は新たに証拠提出期限を指定しなければなりません。
注意点
証拠の提出期限については、当事者の協議により合意することができ、この場合、人民法院の認可を経る必要があります。
重要関係司法解釈
「最高人民法院の『中華人民共和国民事訴訟法』の適用に関する解釈」(2015年2月4日施行、法釈[2015]5号)第4章 (証拠)
「最高人民法院の民事訴訟証拠に関する若干規定」(2001年4月1日施行、法釈[2001]33号)
「最高人民法院の『民事訴訟証拠に関する若干規定』における証拠提出期限に関する規定の適用についての通知」(2008年12月11日施行、法発[2008]42号)