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中国民事訴訟Q&A(その22) 

2016年10月11日
  • 訴訟・仲裁手続
中国民事訴訟Q&A(その22)

Q22:「民訴法」上の証拠には、何が含まれますか。

中国律師からの回答

「民訴法」第63条によると、証拠は、調査・検証により真実であることを確かめたものでなければならず、この場合のみ事実認定の根拠となれます。証拠には、以下のものが含まれます。

「民訴法」上の証拠
  • 当事者の陳述
    当事者の一方的な説明であるため、人民法院は、当事者の陳述とその他の証拠と結合して、事実認定の根拠となれるか否かを審査し、確定しなければなりません。当事者が陳述を拒絶した場合、人民法院のその他の証拠に基づく事実認定に影響を及びません。
  • 書証及び物証
    書証については、原本を提出しなければなりません。物証については、原物を提出しなければなりません。原本または原物の提出が確かに困難である場合、複製品、写真、副本または抄本を提出することができます。実務上、複製品、写真、副本または抄本を提出する場合、関係機関の証明を付けるよう要求される場合が多いです。たとえば、関係機関の責任者の署名または捺印、及び関係機関の公印の捺印。
  • 視聴覚資料及び電子データ
    現代技術により偽造しやすいため、人民法院は、真偽を判別し、かつその他の証拠と結合して、事実認定の根拠となれるか否かを審査し、確定しなければなりません。
  • 証人の証言
    証人は証言する義務を有し、出廷して証言することが原則であります。健康上の原因、自然災害等の不可抗力等の人民法院が認めた正当な理由があり出廷できない場合、人民法院の許可を得て、書面による証言、視聴覚資料、または視聴覚伝送技術等の方式により証言することができます。実務上、人民法院の許可を得ずに作成した証人の書面による証言、視聴覚資料等につき、証人が出廷しない場合、事実認定の根拠として認められません。
  • 鑑定意見
    当事者は、事実認定に関する専門的問題につき人民法院に鑑定を申請することができます。当事者が鑑定を申請した場合、双方当事者が協議により資格を有する鑑定人を確定し、協議により合意できないときは、人民法院が指定します。実務上、当事者が鑑定を申請したが、人民法院は「専門的問題」として認めず、鑑定の必要性を否定した場合、当事者が自らの挙証のため、一方的に関係機関に委託して鑑定を行うときもあります。この場合、他方当事者が反論の証拠を有し、かつ再度鑑定を申請した場合、人民法院はこれを認るものとします。
  • 検証記録
    物証または現場を検証する場合、検証人は、当事者(またはその成年家族)、要請された参加者の立会で、検証の状況及び結果につき記録を作成し、検証人、当事者(またはその成年家族)、要請された参加者が署名し、または捺印しなければなりません。当事者(またはその成年家族)が立会を拒絶した場合も、検証の実施に影響を及びません。

ちなみに、「最高人民法院の民事訴訟証拠に関する若干規定」(2001年4月1日施行、法釈[2001]33号)において、当事者の立証、人民法院による証拠の調査及び収集、証拠申出期限及び証拠交換、証拠の質疑、審査認定等に関する詳細規定が定められております。

注意点

証人が出廷して証言義務を履行するために支出した交通、宿泊等の必要な費用及び仕事に遅れることによる損失は、敗訴した当事者が負担します。実務上、証人の仕事に遅れることによる損失につき、挙証しにくいため、補償されない場合が多いです。
また、当事者が証人の証言を申請した場合、当該当事者が証人の費用を立て替え払い、当事者が申請せず、人民法院が証人に通知した場合、人民法院が立て替え払いをします。

重要関係司法解釈

「最高人民法院の『民事訴訟法』の適用の若干問題に関する意見」(1992年7月14日施行、法発[92]22号)第3章(証拠)
「最高人民法院の民事訴訟証拠に関する若干規定」(2001年4月1日施行、法釈[2001]33号)

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