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中国民事訴訟Q&A(その27) 

2017年03月21日
  • 訴訟・仲裁手続
中国民事訴訟Q&A(その27)

Q27:証拠はどのように認定されるのでしょうか。

中国律師からの回答

「最高人民法院の民事訴訟証拠に関する若干規定」等の関係規定によると、人民法院は、証拠により証明できる事件の事実を根拠とし、法に従い裁判をしなければなりません。
裁判官は、法定手続に従い、全面的かつ客観的に証拠を審査し、法律の規定を根拠とし、論理的な推理と日常生活の経験・規則を活用し、証拠力の有無及び程度に対し独自の判断をし、かつ判断の理由及び結果を公開しなければなりません。

証拠の認定
  • 裁判官は、事件の全ての証拠に対し、各証拠と事件の事実との関連程度、各証拠同士の関係等につき総合的に審査し、判断しなければなりません。
  • 訴訟において、当事者が和解の合意のために行った妥協における事件の事実に対する承諾は、その後の訴訟において当事者に不利な証拠としてはなりません。
  • 他人の合法的な権益を厳重に侵害する方法、法律の禁止性規定に違反する方法、または公序良俗に反する方法により作成・取得した証拠は、事件の事実を認定する根拠としてはなりません。
  • 証拠の証明力を判断できないことにより、争いがあった事実につき認定することが難しい場合、人民法院は、立証責任の分配に従い判決をしなければなりません。
  • 訴訟において、当事者が起訴状、答弁状、陳述及びその委託代理人の代理意見で認めた不利な事実及び証拠について、人民法院はこれを認めます。
  • 一方当事者が証拠を保有しているにもかかわらず正当な理由なく提示を拒否したことを証明する証拠があり、相手当事者が当該証拠の内容が証拠保有者にとって不利な内容であることを主張した場合、当該主張の成立を推定することができます。
  • 人民法院は、判決文において、証拠認定の理由を明らかにしなければなりません。

ちなみに、当事者がその主張に対し、本人の陳述のみで、他の関連証拠を提出できない場合、人民法院はその主張を支持しませんが、相手当事者が認めた場合は除きます。

注意点

人民法院は、同一の事実に対するいくつかの証拠の証明力につき、
①国の機関、社会団体が職権により作成した公文書証の証明力が一般的に他の書証より大きい
②物証、保存資料、鑑定の結論、検証記録または公証・登記を経た書証の証明力が一般的に他の書証、視聴覚資料及び証人の証言より大きい
③原始の証拠の証明力が一般的に伝聞の証拠より大きい
④直接の証拠の証明力が一般的に間接の証拠より大きい
⑤証人が提供したその親族または密接な関係を有する当事者に有利な証言の証明力が一般的に他の証人の証言より大きい、
という原則に従って、証拠の証明力の程度を認定します。

重要関係司法解釈

「最高人民法院の『中華人民共和国民事訴訟法』の適用に関する解釈」(2015年2月4日施行、法釈[2015]5号)第4章 (証拠)
「最高人民法院の民事訴訟証拠に関する若干規定」(2001年4月1日施行、法釈[2001]33号)

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