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    2023年10月19日
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    建築トラブルの相談先│瑕疵(かし)や施工ミスが発覚したらすべき対策
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    建築トラブルの相談先│瑕疵(かし)や施工ミスが発覚したらすべき対策

    購入した住宅などの建物について不具合を発見した場合、速やかに専門家へ相談することが大切です。

    建築トラブルについては、さまざまな相談先があります。その中でも、施工業者に対する請求を行いたい場合には、弁護士への相談がおすすめです。

    本コラムでは、建築トラブルの相談先や、建築トラブルを解決する手続きなどを弁護士が解説します。

1、よくある建築・住宅トラブルのケースと対策

建物の建設工事については、さまざまなトラブルが生じ得ます。

以下に挙げるのは、よく見られる建築トラブルの一例です。もしこれらの建築トラブルに遭遇したら、法的な観点から適切に対応しましょう。



  1. (1)新築戸建てを購入したが、雨漏りがする

    天井部分の施工方法が不適切で、新築の段階からすでに雨漏りがしているケースがしばしば見受けられます。

    新築住宅の場合、天井の雨漏りは品確法※に基づく瑕疵担保責任の対象となりえます(同法第94条、第95条)。
    ※正式名称:住宅の品質確保の促進等に関する法律

    施主は施工業者又は売主に対して、品確法上の瑕疵担保責任に基づく修補・代金の減額・損害賠償を請求可能です。また、軽微ではない瑕疵が補修されない場合には、施工業者又は売主との契約を解除することもできます。

    品確法に基づく瑕疵担保責任の期間は、最短でも建物の引き渡しから10年です。それより短い期間を定める特約は無効なので(同法第94条第2項、第95条第2項)、惑わされずに施工業者又は売主の瑕疵担保責任を追及しましょう。
    なお、新築住宅とは、新たに建設された住宅で、まだ人の居住の用に供したことのないものですが、建設工事の完了の日から起算して1年を経過したものは除かれます(同法第2条2項)

  2. (2)施工状況を確認したら、壁の色が依頼したものと違った

    建築の途中で施工状況を確認したところ、壁の色が依頼内容と異なっていたというケースもしばしば見られます。壁の色に限らず、依頼内容と実際の施工が異なるトラブルはよくあるところです。

    実際の施工が契約に適合していない場合、施主は施工業者の契約不適合責任を追及できます(民法第559条、562条以下)。契約不適合責任の追及方法は、品確法上の瑕疵担保責任と同様に、修補・代金の減額・損害賠償の各請求および契約の解除です。

    施工業者の契約不適合責任を追及するためには、原則として施主が不適合を知った時から1年以内に、その旨を施工業者へ通知しなければなりません(民法第637条)。
    契約不適合責任の期間については、特約があればその定めに従います。ただし、施主が消費者契約法の「消費者」である場合や、売主が宅地建物取引業者である場合には、責任期間を限定する特約が制限されうる点に留意すべきです(消費者契約法第10条、宅地建物取引業法第40条)。

  3. (3)施工業者が倒産して、工事が中断した

    工事の途中で、施工業者が倒産してしまい、工事がストップするトラブルも稀に見られます。施主にとっては、建築計画が大幅に狂ってしまうので一大事です。

    施工業者の倒産後に工事を続行するには、工事を引き継いでくれる別の施工業者を探さなければなりません。複数のハウスメーカーや工務店に相談し、信頼できるところに依頼しましょう。

2、建築トラブルの相談先と費用

建築トラブルに遭った際には、速やかに専門家へ相談することが大切です。

建築トラブルの相談先としては、以下の例が挙げられます。



  1. (1)住宅リフォーム・紛争処理支援センターの「住まいるダイヤル」

    公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターは、住宅に関するトラブルを相談できる「住まいるダイヤル」を設けています。

    電話相談をすれば一級建築士のアドバイスを受けられるほか、一定の要件に該当すれば、対面での相談も受けられます。相談料は、原則として無料です。

    参考:「住まいるダイヤル」(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

  2. (2)建築士会の建築相談

    各地域の建築士会では、建築トラブルに関する相談を受け付ける「建築相談窓口」が設置されています。建築士の専門的な観点によるアドバイスを受けられます。

    参考:「建築士会の「建築相談窓口」設置状況」(公益社団法人日本建築士会連合会)

  3. (3)消費生活センター

    全国の消費生活センターでは、建築トラブルを含む事業者・消費者間のトラブルに関する相談を受け付けています。消費者ホットライン(188)に電話を掛ければ、最寄りの消費生活センターなどにつないでもらえます。

    相談料は無料です。ただし、建築トラブルに特化した相談窓口ではないので、受けられるアドバイスは一般的な内容にとどまる可能性があります。

    参考:「全国の消費生活センター等」(独立行政法人国民生活センター)

  4. (4)建築トラブルの解決実績がある法律事務所

    建築トラブルを解決するため、施工業者に対して具体的な請求を行いたい場合は、建築トラブルの解決実績がある弁護士事務所への相談がおすすめです。

    相談料は、法律事務所によって有料または無料に分かれます。実際に業務を依頼する場合には、弁護士費用が必要です。
    なお、ベリーベスト法律事務所では、建築トラブルについて初回60分の無料相談を受け付けています。

    参考:「建築トラブル・訴訟問題」(ベリーベスト法律事務所)

3、建築トラブルを解決する手続き

建築トラブルは、施工業者との示談交渉で解決できる場合もありますが、お互いの主張が対立したままで交渉が決裂するケースも多いです。

示談交渉が決裂した場合は、主に「裁判外紛争解決手続(ADR)」や「建築訴訟」等で争うことになります。

  1. (1)裁判外紛争解決手続(ADR)

    裁判外紛争解決手続(ADR)は、裁判所以外の第三者機関による紛争解決手続きです。国土交通省および都道府県に設置された「建築工事紛争審査会」や、弁護士会に設置された「住宅紛争審査会」などがADRを取り扱っています。

    参考:
    「建築工事紛争審査会 トップ」(国土交通省)
    「住宅紛争審査会による住宅紛争の解決に向けた手続」(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

    ADRの手続きは、あっせん・調停・仲裁の3種類です。

    ① あっせん
    あっせん委員が当事者双方の主張を確認した上で、歩み寄りをすすめて解決を図ります。

    ② 調停
    調停委員が当事者双方の主張を確認した後、適宜調整を行った上で調停案を作成し、当事者にその受諾を勧告します。

    ③ 仲裁
    仲裁委員が当事者双方の主張を聴き取った上で、仲裁判断を行います。


    ADRの申請手数料は、建築工事紛争審査会では請求額と手続きの種類に応じて1万円から数十万円程度まで、住宅紛争審査会では1万円です。
    あっせんや調停は、所要期間は訴訟よりも短く、数か月程度が一般的です。

    ただし、ADRによる解決には当事者双方の合意が必要ですまた仲裁の場合は、訴訟と異なり不服申立てが認められない難点があります

  2. (2)建築訴訟

    ADRによる解決が期待できない場合は、建築訴訟を提起して解決を図る方法があります。

    建築訴訟では、施工業者の契約不適合責任等の要件について、施主側が立証する必要があります。訴訟上の立証には専門的な検討を要するため、弁護士と協力して準備を整えることをおすすめします。

    訴訟の期間や費用はケース・バイ・ケースですが、ADRよりは長期・高額となる傾向にあります。

4、弁護士を通じた建築トラブル解決の流れ

弁護士に依頼して建築トラブルを解決する際には、以下の流れで手続きが進行します。



  1. (1)現場調査・契約内容の確認

    まずはトラブルの元となった建物の欠陥について、その原因を調べるために現場調査を行く場合があります。建築トラブルの解決経験を豊富に有する弁護士に依頼すれば、信頼できる建築士の紹介を受けられることもあります。

    また、施工業者の責任について法的に分析するため、請負契約や売買契約の内容も確認する必要があります。法律の専門家である弁護士なら、契約上どのような主張が可能かについて、状況に合わせた適切な分析が可能です。

  2. (2)住宅瑕疵担保責任保険の確認

    施工業者が施主に新築住宅を引き渡す際には、住宅瑕疵担保責任保険をつけるか、または保証金を供託することが義務付けられています(特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律)。
    これは、施工業者が負担する品確法上の瑕疵担保責任の履行を確実にしようとするものです。

    多くの場合、施工業者は新築住宅について、住宅瑕疵担保責任保険をつけています

    構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分に欠陥がある場合は、住宅瑕疵担保責任保険の適用対象となります。施工業者が瑕疵担保を履行すれば、保険金は原則として施工業者に支払われますが、施工業者が倒産した場合等で相当期間経過しても瑕疵担保責任が履行されない場合には、施主が保険金を直接受け取ることも可能です。

    建築トラブルによる損害については、住宅瑕疵担保責任保険でカバーされるケースも多いので、まずはその保障内容を確認しましょう。弁護士に相談すれば、住宅瑕疵担保責任保険の保障内容についてもアドバイスを受けられるでしょう。

  3. (3)施工業者との示談交渉

    建物の欠陥について施工業者に責任がある場合、修補・代金の減額・損害賠償のいずれかの請求によって損害の回復を図りましょう。契約を解除できることもあります。

    どのような方法でトラブルの解決を図るかについては、まず施工業者との示談交渉を通じて合意を試みます。弁護士は、法的な観点から適切な落としどころを見極めた上で、適切な方針をもって施工業者と交渉します。

  4. (4)ADR・建築訴訟

    示談交渉が決裂した場合は、ADRや建築訴訟等で解決を図ります。双方の主張内容を考慮して適切な手続きを選択した上で、事前に周到な準備を整えることが大切です。

    弁護士は、紛争解決の見通しを立てた上で適切に手続きを選択します。また、証拠に基づく説得力のある主張を展開し、施主側の主張が認められるように尽力します。

5、建築トラブルはお早めに弁護士へ相談を

建築トラブルが発生した場合、施主自ら解決しようとするのは非常に大変です。調査・検討すべき事項が非常に多く、施工業者から強硬に反論されるケースもあるため、弁護士への相談をおすすめします。

ベリーベスト法律事務所には、建築トラブル専門チームがあり、建築トラブルの解決サポートをしております。お悩みの方は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

6、まとめ

建築トラブルの相談先はさまざまですが、施工業者に対して具体的な請求を行う際には、弁護士への相談がおすすめです。弁護士を通じて、法的な観点から説得力のある主張を行うことにより、施主側に有利な解決を得られる可能性が高まります。

建築トラブルの解決には、法律とともに建築に関する専門知識が必要不可欠です。ベリーベスト法律事務所には、両方の知識と経験を備えた弁護士が在籍しておりますので、建築トラブルでお困りなら、ベリーベスト法律事務所にご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築トラブルにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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