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    • #重大な瑕疵
    2022年10月13日
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    重大な瑕疵(契約不適合)とは? 損害賠償請求できるケースと裁判例
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    重大な瑕疵(契約不適合)とは? 損害賠償請求できるケースと裁判例

    注文住宅など、請負契約に基づき建築された建物に瑕疵があった場合、施工業者への責任追及を検討するはずです。

    ただし、民法改正に伴って、責任追及の方法や注意点も変化したので、最新の取り扱いを踏まえて対応する必要があります。施工業者から引き渡しを受けた建物に瑕疵が見つかった場合には、速やかに弁護士へご相談ください。

    本コラムでは、建築された建物に「重大な瑕疵」があった場合における法律上の取り扱いや、施工業者の責任を追及する方法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、建築工事における「重大な瑕疵」とは?

そもそも、現在施行されている民法の条文には「重大な瑕疵」という概念は出てきません。「重大な瑕疵」というのがどのようなものと考えられてきたかを理解していただくために、まずは、請負契約において「重大な瑕疵」という概念について、言及された最高裁番所の平成14年9月24日判決をご紹介いたします。

この裁判は、建物の工事が完成した後に、注文者が、建て替え費用相当額の損害賠償請求をした事案です。そして、この裁判では、改正前民法636条但し書きには、建物の完成後には解除ができないと規定してあるのに、建物の完成後に建て替え費用相当額の損害賠償を認めることは、同条文に反するのではないかという点が問題となりました。

仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない。(改正前民法第635条)


最高裁判所の判決では、次のようなことが判示されました。

改正前民法第635条但し書きが定められた理由は、建物の完成後に、契約を解除することによって、建物の除却を強いることは、請負人にとって過酷な負担であり、かつ、社会経済的な損失も大きいと考えられることにあると判示したうえ、

  • 請負人が建築した建物に重大な瑕疵があって建て替えるほかはない場合に、当該建物を収去することは、社会経済的に大きな損失をもたらすものではない
  • 重大な瑕疵のある建物の建て替えに要する費用を請負人に負担させることは、契約の履行責任に応じた損害賠償責任を負担させるものであって、請負人にとって過酷ともいえない


と判示しました。

つまり、改正前民法下では、建物の完成後に、建物に「重大な瑕疵」があれば建て替え費用相当額の損害賠償請求が認められる一方、「重大な瑕疵」がなければ損害賠償は認められないというのが、最高裁判所の示した判断であるということになります。ここで、「重大な瑕疵」があるかどうかという問題が生じます。

この判決からわかるように「重大な瑕疵」とは、建て替えざるを得ないほどの深刻な建物の不具合を意味し、建物の「重大な瑕疵」が問題になるのは、建物を建て替えた費用の損害賠償を、施工業者に対して請求する場面となります。

そして、同判決では、以下の事実が認定され、建物全体の強度や安全性に著しく欠け、地震や台風などの振動や衝撃を契機として倒壊しかねない危険性を有する程度の瑕疵であるとして、重大な瑕疵が認定されました。

① 建物全体にわたって、極めて多数の欠陥箇所があった
② 主要な構造部分について、建物の安全性および耐久性に重大な影響を及ぼす欠陥が存在した
(例)
  • 基礎がぜい弱
  • 基礎と土台等の接合の仕方が稚拙かつ粗雑極まりない
  • 不良な材料が多数使用されている


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2、令和2年施行の民法改正後の「重大な瑕疵」

  1. (1)現行民法では建物の完成後に解除も可能に

    しかしながら、建物の完成後には契約を解除することができないという改正前民法第635条但し書きは、多くの批判があったため、平成29年(令和2年から施行)の民法改正により、削除されました。そのため、現在では、建物の完成後であっても、「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微」(民法541条但し書き)でなければ、請負契約を解除することも可能になりました。
    従来の判例で言われてきたような、建物を建替えざることを得ない重大な瑕疵があれば、それは軽微であるとはいえず、解除が認められることになる場合が多いでしょう

  2. (2)損賠賠償請求等の手段もある

    また、新民法下では、重大な瑕疵がある場合に限られるわけではありませんが、重大な瑕疵があれば、契約不適合責任の追及として、以下のいずれかの手段を取ることも可能です。

    1. ① 仕事の完成を求める(履行請求)
    2. ② 請負代金の減額を求める
    3. ③ 損害賠償請求をする
  3. (3)施工業者へ責任追及できる期間

    施行業者へ契約不適合責任を追及するには、原則として、施主が不適合を知った時から1年以内に、施工業者に対して不適合の存在を通知しなければなりません。

    請負契約に特約を規定することによって、責任期間を変更することもできます。

    また、新築住宅における構造耐力上主要な部分または雨水の侵入を防止する部分の不具合については、特別に「引き渡した時から10年間」の瑕疵担保責任が認められています(住宅の品質確保の促進等に関する法律第94条第1項)。
    この法律に基づく10年間の瑕疵担保責任を、特約による短縮することはできません

3、建物の瑕疵に気づいた場合にとるべき対応

建物に瑕疵があることに気づいた場合は、施工業者に対し、契約不適合責任を追及することを検討しましょう。

修補が可能な場合は履行の追完請求(修補請求)を行いますが、修補不可能な場合は代金減額請求・損害賠償請求・契約解除といった手段を講じる必要があります。そのため、まずは修補の可否を調査して、その後の対応を検討したほうがよいでしょう。

どの手段を採用すべきかについては、弁護士にアドバイスを求めることをおすすめします。弁護士にご相談いただければ、状況に即した適切な方針をアドバイスするとともに、施工業者に対する責任追及の手続きについても一括してサポートすることが可能です。

建ててもらった住宅の瑕疵を発見した場合は、速やかに弁護士までご相談ください。

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4、まとめ

ベリーベスト法律事務所は、マイホームのトラブルにお悩みの施主の方からのご相談を随時受け付けております。購入した建物の瑕疵を発見した方は、お早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築トラブルにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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