トピックス Topics

認知症の被相続人の遺産相続で、控訴審にて、逆転認容判決を得ました。 2021.09.30

認知能力に不安のある被相続人の相続に関連して、被相続人の生前に行われた不動産の所有権移転登記の抹消登記と引き出された預金の返還を求めた事案について、当事務所の米澤弘文弁護士が令和3年9月30日、東京高等裁判所において、第一審での敗訴判決を逆転させ、認容判決を獲得しました。

被相続人は生前、重い認知症と診断されており、第三者によって所有権移転登記が行われた時点で意思能力を欠いていたと考えられました。第一審では売買契約に至る経緯が不自然又は不合理とはいえないことなどから、意思能力を欠くとまでは認められないこと、預金の引き出しについても被相続人に無断で行っていたものとまでは認められないとして請求は認められませんでした。

そこで、控訴審において担当弁護士は、第一審で行われた尋問における不自然さや不合理な点を指摘するとともに、不動産の売買契約が債務不履行(売買代金を支払っていない)であることから解除する旨なっていること改めて主張し、被相続人による引き出しも、被相続人の生活状況等を丁寧に説明し、引き出しの必要性がなく、遺産の状況等からしても無断で行われたと考えるべきであることなどを主張しました。

令和3年9月30日、東京高裁は、「本件売買契約の代金が支払われたと認めるに足りる証拠はない」として、所有権移転登記の抹消登記を認めました。また、直接的に意思能力に関する判断は避けながらも、被相続人の生活状況等に鑑みて、預金の引き出しが被相続人の依頼によるものとは認められず、引き出された現金を被相続人に渡した事実を認めることができないことから引き出された預金の返還を認め、依頼者の請求を認容する逆転判決を獲得するに至りました。


■本事案を担当した弁護士
ベリーベスト法律事務所 東京オフィス
弁護士 米澤 弘文

 >弁護士 米澤 弘文のプロフィールはこちら
 >ベリーベスト法律事務所 東京オフィス 公式サイトはこちら
 >ベリーベスト法律事務所 遺産相続サイトはこちら

※上記の情報は、令和3年9月30日時点に基づく情報です。
TOPへ