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    公開日:2026年06月03日
    更新日:2026年06月03日
    【令和7年12月】改正建設業法とは|3つのポイントと実務対応
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    【令和7年12月】改正建設業法とは|3つのポイントと実務対応

    令和7年12月、建設業界に大きな影響を与える改正建設業法が全面施行されました。今回の法改正は、長年課題とされてきた人手不足・長時間労働・低価格競争の常態化といった構造的問題を是正し、建設業界を持続可能な産業へと転換させることを目的としています。

    特に注目されているのが、「労働者の処遇改善」「資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止」「働き方改革と生産性向上」という3つの柱が明確に打ち出されており、施工業者に対してこれまで以上に適正な契約・適正な施工体制の確保が求められる内容となっています。

    今回は、令和7年12月施行の改正建設業法について、改正の背景や3つの柱の内容、施工業者が取るべき実務対応、そしてトラブルを防ぐために知っておきたい注意点などをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、【令和7年12月全面施行】改正建設業法の概要や背景

令和7年12月に全面施行された改正建設業法は、建設業界が抱える人手不足や価格高騰などの課題を踏まえ、取引の適正化と持続可能な業界構造の実現を目的としています。施工業者にとっては、実務や契約の在り方を見直す重要な転換点となります。

以下では、建設業法改正の背景や、改正による影響について解説します。

  1. (1)建設業法改正の背景|建設業界が抱える構造的な課題

    建設業界では、慢性的な人手不足や高齢化が進む一方、資材価格やエネルギーコストの上昇が続いています。しかし、発注者との力関係から価格転嫁が進まず、労務費が圧迫される構造が長年続いてきました。

    その結果、長時間労働や担い手不足が常態化し、業界全体の持続性が損なわれつつあります。

    このような状況を改善するため、国は取引の適正化と労働環境の改善を目的に建設業法の改正に踏み切りました。

  2. (2)改正建設業法が及ぼす影響

    今回の改正により、労務費や資材費を適正に反映した契約が求められるようになり、施工業者としては不当に低い価格で受注するリスクは軽減されますので、適正な利益を確保しやすくなることが予想されます。

    一方で、見積根拠の明確化や契約内容の整理、契約変更への対応など、実務負担が増える側面もあります。従来の慣行に頼った対応では不十分となり、社内体制の見直しが不可欠です。

    詳しい改正のポイントについては、次章で解説します。

2、改正建設業法の3つの柱

改正建設業法では、建設業界の構造的課題を解消するために、次の3つの柱が設けられています。いずれも施工業者の実務に直結する重要なポイントであり、内容を正しく理解したうえで対応する必要があります。

  1. (1)改正ポイント①|労働者の処遇改善

    これまで、過度な価格競争の中で労務費が削られ、技能者の賃金が十分に確保されない状況が続いてきました。

    改正法では、労働者の適正な処遇を確保するため、以下のような仕組みが整備されます。

    • 労務費に関する基準(いわゆる標準労務費)を作成し、国がその考え方や目安を示す(令和6年9月施行)
    • 建設業者に対し労働者の処遇確保を努力義務化(令和6年12月施行)
    • 著しく低い労務費・材料費による見積もりの提示を禁止、見積書記載事項の明確化、見積額を著しく下回る金額での契約に対する勧告・公表(令和7年12月施行)
    • 原価割れとなる契約の防止(令和7年12月施行)


    これにより、極端に安い金額での受注は問題視されることになります。
    施工業者は、国が示す労務費の目安を参考にしつつ、適正な労務費を反映した見積もりを作成し、その根拠を説明できる体制づくりが求められます。

  2. (2)改正ポイント②|資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止(令和6年12月施行)

    資材価格の高騰が続く中、その影響が労務費にしわ寄せされるケースが多く見られました。今回の改正では、こうした不均衡を是正するための仕組みが新たに設けられています。

    具体的には、資材価格や人件費の変動について、発注者に対して「おそれ情報」(リスク)を事前に通知することが求められます。また、契約締結後に事情が変化した場合には、契約内容の変更について誠実に協議する努力義務が課されます

    これにより、施工業者が一方的にリスクを負担する構造を是正し、発注者と協力しながら適正な価格形成を行うことが期待されています。

  3. (3)改正ポイント③|働き方改革と生産性向上

    無理な工期設定や人員不足のまま進められる工事は、安全性の低下や品質の劣化につながります。

    今回の改正では、いわゆる「工期ダンピング(=著しく短い工期での請負契約)」への対策が強化され、現実的な工期設定が求められるようになります(令和7年12月施行)。
    また、ICTの活用や施工体制台帳の合理化などにより、現場管理の効率化も促進されます(令和6年12月施行)。

    これにより、施工業者は限られた人員でも安定した施工体制を構築しやすくなり、長期的には生産性の向上と働きやすい環境づくりにつながります。

    3つの改正ポイントをまとめると以下のとおりです。

    改正ポイント 内容・施行時期
    労働者の処遇改善
    • 労務費に関する基準を作成し、国がその考え方や目安を示す(令和6年9月施行)
    • 労働者の処遇確保を努力義務化(令和6年12月施行)
    • 著しく低い労務費・材料費による見積もりの提示を禁止(令和7年12月施行)
    • 原価割れとなる契約の防止(令和7年12月施行)
    資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
    • 契約締結前、資材価格や人件費の変動が生じるおそれがある場合、発注者に対して「おそれ情報」(リスク)を事前に通知(令和6年12月施行)
    • 契約締結後に、事情が変化した場合には、契約内容の変更について誠実に協議するように努める(令和6年12月施行)
    働き方改革と生産性向上
    • 「工期ダンピング」への対策強化(令和7年12月施行)
    • ICTの活用や施工体制台帳の合理化、現場管理の効率化(令和6年12月施行)
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3、施工業者が取り組むべき改正建設業法への対応

改正建設業法の施行により、施工業者には従来以上に「適正な契約」と「透明性のある施工体制」が求められます。単に法令を知るだけでなく、見積り、契約、施工、変更協議の各プロセスに改正内容を落とし込むことが重要です。

以下では、施工業者が取り組むべき改正建設業法への対応を説明します。

  1. (1)社内規定、契約書ひな形の見直し

    まず取り組むべきは、社内規定や契約書ひな形の見直しです。

    改正後は、労務費や資材費を適切に反映した契約であるか、契約変更が必要となった場合の対応方法が明確になっているかが重要になります。
    特に、工期・金額・追加工事の取り扱いなどについて、あいまいな表現が残っているとトラブルの原因になります。改正内容を踏まえ、契約条項を最新の法令に適合させておくことが不可欠です。

  2. (2)契約交渉、見積提示のプロセス強化

    改正建設業法では、適正な労務費を反映した見積もりの作成が強く求められます。そのため、根拠のない値引きや、過度な価格競争に応じることはリスクとなります。

    見積書には、労務費・資材費・諸経費などを明確に示し、必要に応じて価格算定の根拠を説明できる体制を整えることが重要です。また、資材価格の変動など将来リスクについても、事前に説明し共有しておくことで、後のトラブル防止につながります。

  3. (3)施工管理、現場体制の強化

    無理な工期設定や人員不足は、品質低下や事故の原因となります。
    改正法の趣旨を踏まえ、施工計画や工程管理を見直し、現実的なスケジュールを設定することが求められます。
    また、ICT活用による工程管理や情報共有、施工体制台帳の整備なども重要です。これにより、現場全体の可視化が進み、管理負担の軽減と生産性向上が期待できます。

  4. (4)教育、監査体制の整備

    改正建設業法への対応は、担当者任せにするのではなく、組織全体で取り組むことが重要です。営業担当や現場責任者に対する法改正の周知・教育を行い、共通認識を持たせる必要があります。
    あわせて、契約内容や施工体制が法令に適合しているかを定期的に確認する内部チェック体制を整えることで、違反リスクの早期発見につながります。

4、建設業法や法改正については弁護士へご相談を

改正建設業法への対応は、単に法律を確認するだけでは不十分です。契約書の内容や実務運用が法改正の趣旨に沿っていなければ、知らないうちに法令違反となるおそれがあります。このようなリスクを回避するためには、建設業法に精通した弁護士へ相談することが有効です。

  1. (1)最新の改正法に対応した契約書へのアップデート

    改正建設業法では、労務費や資材費の取り扱い、契約変更時の対応などについて、これまで以上に明確な対応が求められます。既存の契約書やひな形が改正内容に対応していない場合、意図せず不利な契約を結んでしまうおそれがあります

    弁護士に相談することで、最新の法改正を踏まえた契約書の見直しや、自社の実態に合った条文の整備が可能となります。

  2. (2)事前に契約をチェックすることで行政処分や訴訟リスクの回避

    改正後は、価格交渉や契約変更をめぐるトラブルが発生しやすくなることも想定されます。発注者との認識の違いが生じた場合、対応を誤ると行政指導や紛争に発展するおそれがあります。

    弁護士に事前相談を行うことで、契約締結前のリスクチェックや交渉時の注意点についてアドバイスを受けることができ、トラブルの未然防止につながります。

  3. (3)トラブル発生時は解決方法のアドバイスや交渉代理

    万が一、契約トラブルや行政からの指導・調査が入った場合でも、弁護士が窓口となって対応することで、事業への影響を最小限に抑えることが可能です。状況に応じて、是正対応や交渉、法的手続きを適切に進めることができます。

    建設業法は専門性が高く、自己判断での対応はリスクを伴います。早い段階で専門家に相談することで、結果的にコストや時間の削減につながるケースも少なくありません。

5、まとめ

令和7年12月に施行された改正建設業法についてお伝えしてきました。

今回の法改正は、労働者の処遇改善や資材高騰への対応、働き方改革の推進を通じて、建設業界全体の持続可能性を高めることを目的としています。
施工業者にとっては、早期に内容を理解し、適切な体制整備を進めることが重要です。

安心して事業を進めるためにも、改正建設業法に関するお悩みや対応に不安がある場合は、ベリーベスト法律事務所へお気軽にご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築・建設に関するトラブルや訴訟問題でお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

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