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2026.08.27 アスベスト健康被害に関する国家賠償請求訴訟にて勝訴判決を獲得しました。

当事務所の河野翔平弁護士(名古屋オフィス所属)が原告代理人を務めた、アスベスト(石綿)健康被害に関する国家賠償請求訴訟の控訴審において、2026年8月27日、東京高等裁判所は、国の控訴を棄却し、中皮腫で亡くなった男性のご遺族の請求を認めた一審・東京地方裁判所判決(2026年2月13日)を維持する判決を言い渡しました。争点となっていた損害賠償請求権の消滅時効(20年)の起算点について、東京高裁は一審と同様に「死亡時」であると判断し、「発症時」を起算点として時効の成立を主張する国側の控訴を退けました。時効の起算点をめぐっては全国の裁判所で判断が分かれており、高等裁判所が「死亡時」との判断を示したことは、同じ立場に置かれた全国のご遺族にとっても大きな意味を持つものと当事務所は考えています。

【東京高裁が国の控訴を棄却。一審の「死亡時」起算の判断を維持】
本件は、1964年(昭和39年)から約16年間アスベストを扱う工場に勤務し、2002年(平成14年)に悪性胸膜中皮腫を発症、2004年(平成16年)に亡くなられた男性の奥さまが、国に慰謝料の支払いを求めて2022年に提訴した事案です。

一審・東京地裁は2026年2月13日、中皮腫を発症した後も相当な期間にわたり生存する可能性があることを指摘したうえで、「中皮腫の発症による損害と死亡による損害は質的に異なる」と判断。消滅時効の起算点は「死亡した日」とすべきで、損害賠償請求権は消滅していないとして、国に1430万円の支払いを命じました。

これに対し国が控訴し、控訴審で改めて時効の起算点が争われていました。2026年8月27日、東京高裁は一審の判断は相当であるとして、国の控訴を棄却しました。

【時効の起算点をめぐり司法判断が分かれるなかでの高裁判断】
アスベストによる中皮腫の国家賠償請求では、損害賠償請求権が20年で消滅する時効の起算点について、国は現在、中皮腫を「発症した日」とする運用をとっています。一方で、発症時を起算点とすると、死亡による損害の賠償を求める機会が事実上失われかねないとの指摘があり、被害者・ご遺族側は「死亡時」を起算点とすべきと主張してきました。

この争点をめぐる司法判断は全国で分かれています。2025年7月には高松高等裁判所が「発症した日」を起算点として遺族の請求を退けた一方(現在、遺族側により最高裁判所に上告、係属中)、東京地裁は2026年2月(本件一審)および同年7月に、いずれも「死亡時」を起算点として遺族の請求を認めています。こうしたなか、本日の東京高裁判決が高等裁判所として「死亡時」起算の判断を示したことは、今後の同種訴訟や最高裁の判断にも影響し得る重要なものと当事務所は考えています。

【本件を担当した河野翔平弁護士のコメント】
一審に続き、控訴審においても時効の起算点を『死亡時』と認め、ご遺族の救済の道を維持していただいたことを重く受け止めています。発症後の歳月を懸命に生き抜かれたご本人と、その歩みを支えてこられたご家族の時間に、高等裁判所が正面から向き合ってくださった判断だと考えています。時効の起算点をめぐる判断が分かれるなか、同じ立場に置かれた全国のご遺族にとっても意義のある判断です。ご自身やご家族の被害について、時効を理由にあきらめてしまう前に、まずはご相談いただきたいと考えています。

【今後の見通し】
国が本判決を不服として上告する可能性があります。その場合、最終的には最高裁判所において、引き続き時効の起算点などが争われることとなります。当事務所は、ご遺族の正当な権利が認められるよう、引き続きご遺族とともに主張・立証を尽くしてまいります。

■本事案を担当した弁護士
弁護士 河野 翔平
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