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    2024年01月25日
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    建設業法に違反した際の罰則や監督行政とは? 違反を防ぐ対策も紹介
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    建設業法に違反した際の罰則や監督行政とは? 違反を防ぐ対策も紹介

    建設業に従事する企業が守らなければならない法律に「建設業法」というものがあります。

    建設業法に違反してしまうと、懲役刑や罰金刑などの刑事罰だけではなく、営業停止処分や建設業許可の取り消しといった監督処分を受ける可能性もあります。建設業の許可を取り消されてしまうと、建設業に従事することができなくなってしまいますので、建設業法違反にならないようにしっかりと対策を講じることが大切です。

    今回は、建設業法違反となるケースや建設業法に違反してしまった場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、建設業法の違反となるケース

建設業違反となるのはどのようなケースなのでしょうか。以下では、建設業法の概要と建設業法違反となる具体的なケースについて説明します。

  1. (1)建設業法とは

    建設業法とは、建設工事の適切な施工ができるよう質を確保し発注者を守ること、および建設業の健全な発達を促進することを目的とした法律です(建設業法第1条)。これらの目的を達成するための手段として、建設業法では、建設業者の資質向上や建設工事の請負契約の適正化が図られています。

    建設業は、産業の基盤を形成するとともに、国民生活にも深く関連する重要な産業ですが、他の産業にはみられない以下のような特徴があります。


    • 1件ごとに仕様や設計が異なる受注産業であること
    • 天候などの影響を受けやすい、屋外型の産業であること
    • 工場生産ではなく現地工事が行われる非装置型産業であること


    建設業には、このような特殊性があることから、その実態に即した規制や保護を行うために建設業法という独自の法律が設けられているのです。

  2. (2)建設業法違反となるケースを紹介

    建設業法違反となるケースには、さまざまなケースがありますが、以下では、建設業法違反となる代表的なケースを紹介します。


    ① 定められた金額を超えて契約をした(建設業法第3条)
    建設業には、29種類の業種区分があり、建設業を営もうとする場合、軽微な建設工事を対象とする場合を除き、区分ごとに国土交通大臣や都道府県知事の許可を得る必要があります。また、一つの業種に対する許可は「一般建設業の許可」と「特定建設業の許可」という2種類の許可に分けられます。建設業を営もうとする場合、元請けや下請けを問わず基本的には一般建設業の許可を受ける必要があります。その中でも、発注者から直接工事を請け負い、下請け業者への発注額が4500万円以上になる場合、特定建設業の許可を得る必要があります(建築一式工事の場合、7000万円以上)

    行う工事の規模に応じた必要な許可を取得せずに定められた金額を超えた工事を受注した場合、建設業法違反となります。

    ② 専任技術者を適切に配置していなかった(建設業法第7条第2号)
    建設業法上の許可を受けようとする場合、営業所ごとに定められた専任技術者を配置する必要があります。専任技術者とは、指定された国家資格を有する者か、一定年数以上の実務経験を有する者であることが求められています。しかし専任技術者を必要数確保できない場合など、営業所に専任技術者が不在となってしまっていたり、適切な要件を満たしていない者を専任技術者として配置したり、専任でない者を専任技術者として配置していた場合などは建設業法違反となります

    ③ 一括下請負を行った(建設業法第22条)
    一括下請負とは、建設業者が請け負った建設工事を、そのまま下請け業者に丸投げする行為を指します。このような行為は、発注者が建設業者に寄せた信頼を裏切ることになりますし、施工に携わらない業者が入り込むことによる不当な請負代金の中抜き等の発生を防止する観点から、建設業法では一括下請負を禁止しています。

2、建設業法に違反したときの罰則や、監督処分

建設業法に違反したときには、どのようなペナルティーを受けるのでしょうか。以下では、建設業法違反の罰則や監督処分について説明します。

  1. (1)建設業法違反の罰則

    建設業法に違反した場合の罰則として代表的なものは、以下のとおりです。

    ① 3年以下の懲役、または300万円以下の罰金
    建設業法に違反した際の刑罰の中でも、賄賂の供与・収受などの例外を除きもっとも重い刑罰は、「3年以下の懲役、または300万円以下の罰金」です。このような刑罰を科される建設業法違反の行為は以下のとおりです。

    • 適切な許可を受けないで建設業を営んだ場合
    • 特定建設業者でない者が、法定の金額以上の下請け契約を締結して営業した場合
    • 営業停止処分に違反し営業を継続した場合
    • 営業の停止処分中に新たな営業を行った場合
    • 虚偽、または不正の手段で認可を受けた場合


    ② 6か月以下の懲役、または100万円以下の罰金
    「6か月以下の懲役、または100万円以下の罰金」の刑罰を科される建設業法違反の行為としては、以下のものが挙げられます。

    • 許可の申請書、その添付書類、申請内容の変更届の提出の際に、不備または虚偽の記載があった場合
    • 建設業の不許可事由に該当したときに届出をしなかった場合


    ③ 100万円以下の罰金
    罰金(100万円以下)が科される建設業違反の行為としては、以下のものが挙げられます。

    • 国土交通大臣または都道府県知事による検査や立ち入りの拒否
    • 適切な許可を受けた下請け業者に施工をさせなかった場合
    • 建設現場に主任技術者および管理技術者を適法に設置しなかった場合
    • 許可を取り消された場合に、それを注文者に通知しなかった場合
    • 経営状況分析の際に必要な資料を提出しなかった場合や、虚偽の資料を提出した場合
    • 国土交通大臣や都道府県知事による立ち入り検査等の際に虚偽報告をしたり検査を拒んだ場合


    ④ 10万円以下の過料
    過料(10万円以下)が科される建設業法違反の行為としては、以下のものが挙げられます。

    • 廃業時の届出を怠った場合
    • 建設現場における標識を掲載しなかった場合
    • 帳簿を作成していなかった場合や、帳簿に虚偽の記載をした場合
  2. (2)建設業法違反の監督処分

    建設業法に違反した場合には、上記のような罰則以外にも行政機関からの監督処分を受けることがあります。監督処分とは、刑罰を科すことにより間接的に法律の順守を図るための罰則とは異なり、不適正な者の是正または不適格者の排除を目的としてなされる行政処分です。


    ① 指示
    建設業者が建設業法に違反した場合、監督行政庁から指示処分を受ける可能性があります。指示処分というのは、法律や条例に照らして違反している、もしくは適切ではない状態を正すために業者がすべきことについて、監督行政庁が自主的な改善を促すことです。

    ② 営業の停止
    指示処分に従わないと、営業停止の処分を受ける可能性があります。また、独占禁止法、刑法などの法令に違反した場合や、一括下請負禁止規定の違反があった場合などのケースでは、指示処分なしで営業停止処分がなされることもあります。

    営業停止期間は、1年以内の範囲で国土交通大臣や都道府県知事などの監督行政庁が決定します。

    ③ 許可の取り消し
    営業停止処分に違反して営業してしまったり、不正な手段を使って建設業の許可を受けたりすると、監督行政庁により建設業の許可の取り消しがなされます。独占禁止法、刑法などの法令に違反した場合や一括下請負禁止規定の違反があった場合などで、特に情状が重いと判断されれば、指示処分や営業停止処分なしで許可取り消しがなされることもあります

3、建設業法に違反した際、どう対処すればいい?

建設業法に違反してしまった場合、会社側としてはどのような対応をすべきなのでしょうか。以下では、建設業法違反をしてしまった際の対処法について説明します。

  1. (1)建設業法に基づく立ち入り検査の準備

    建設業法に違反すると、国土交通省から建設業法に基づく立ち入り検査を行う旨の通知が届くことがあります。立ち入り検査が実施されると、国土交通省の検査職員が事業所に来ますので、検査当日に関係資料を確認できるよう事前に準備をしておく必要があります。
    また、立ち入り検査への対応にあたっては、以下の点に注意が必要です。


    • 検査職員の質問に対して、虚偽の説明をしない
    • 検査職員から書類の提出を求められたときは、その理由を確認する
    • どのような書類を提出したのかを把握できるように記録しておく
    • 検査職員からの質問事項については、後で検証できるようメモに残しておく
  2. (2)行政からの勧告に対する改善状況報告書の作成

    建設業法に基づく立入検査が終わると、違反の有無や程度により異なりますが、国土交通省から再発防止に向けた勧告や改善措置の内容を書面で報告するように言われることがあります。

    行政から勧告を受けた場合には、社内で再発防止のために必要な措置を検討し、改善状況報告書の作成を行います。

  3. (3)処分に不服がある場合には審査請求

    建設業違反となる行為があり、違反の程度が重い場合には、営業停止などの行政処分を受ける可能性があります。処分内容に納得がいかない場合には、再調査請求を検討したり、審査請求という形で不服申し立てをすることが考えられます。

    ただし、審査請求をするにあたっては、処分が違法または不当であることを法的根拠に基づいて主張立証していく必要があります。そのためには、法律の専門家である弁護士のサポートが必要になりますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

    建設業法に違反した場合だけでなく違反しているかどうか判断できないという場合にも、まずは弁護士に相談して、判断を仰ぐとよいでしょう。

4、建設業法違反を弁護士に依頼するメリット

建設業法違反でお困りの企業は、まずは弁護士にご相談ください。

  1. (1)建設業法違反をした場合の対処ができる

    建設業法に違反してしまった場合には、監督行政庁による立ち入り検査が実施されます。弁護士に依頼をすれば、立ち入り検査を受けた際の対応のサポートをしてもらうことができますので、不適切な回答をして不利な処分を受けるリスクを最小限に抑えることが可能です。

    また、行政から勧告を受けた際に必要になる改善状況報告書の作成やチェックも弁護士が行うことができますさらに、企業の代理人として不服申し立てを行ったり、警察からの取り調べに対するアドバイスも可能です

    このように建設業法違反があった場合の具体的なアドバイスやサポートができるのは、弁護士に限られますので、まずは弁護士にご相談ください。

  2. (2)法令順守の体制づくりのアドバイスができる

    弁護士と顧問契約を締結した場合には、法令順守の体制づくりのアドバイスをすることもできます。建設業法に違反した場合には、営業停止や許可取り消しなど重大な処分を受けるリスクがありますので、まずは建設業法に違反しないための体制づくりが重要となります。

    建設業に関しては、国土交通省が作成している「建設業法令順守ガイドライン」というものがありますので、顧問弁護士がガイドラインを踏まえた、適切な社内システムの整備を行います。また、建設業法に関するセミナーや勉強会の講師を顧問弁護士が担当することもできますので、社内教育により従業員のコンプライアンス意識の向上を図ることも可能です。

5、まとめ

建設業法に違反をすると懲役や罰金といった罰則だけでなく、営業停止や許可取り消しといった監督処分を受ける可能性があります。建設業法の違反は社内の小さなトラブルからでも問われる可能性がありますので、顧問弁護士に依頼をして、法令順守の体制づくりを進めていくことが大切です。

法令順守がうまくいかず、建設業法に違反してしまった場合、または建設業法の違反となるか判断できない場合にも、ベリーベスト法律事務所にぜひご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築トラブルにお困りの際は、お気軽にお問い合わせください。

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