建設業に従事する企業が守らなければならない法律に「建設業法」というものがあります。
建設業法に違反してしまうと、懲役刑や罰金刑などの刑事罰だけではなく、営業停止処分や建設業許可の取り消しといった監督処分を受ける可能性もあります。建設業の許可を取り消されてしまうと、建設業に従事することができなくなってしまいますので、建設業法違反にならないようにしっかりと対策を講じることが大切です。
今回は、建設業法違反となるケースや建設業法に違反してしまった場合の対処法などについて、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
建設業違反となるのはどのようなケースなのでしょうか。以下では、建設業法の概要と建設業法違反となる具体的なケースについて説明します。
建設業法とは、建設工事の適切な施工ができるよう質を確保し発注者を守ること、および建設業の健全な発達を促進することを目的とした法律です(建設業法第1条)。これらの目的を達成するための手段として、建設業法では、建設業者の資質向上や建設工事の請負契約の適正化が図られています。
建設業は、産業の基盤を形成するとともに、国民生活にも深く関連する重要な産業ですが、他の産業にはみられない以下のような特徴があります。
建設業には、このような特殊性があることから、その実態に即した規制や保護を行うために建設業法という独自の法律が設けられているのです。
建設業法違反となるケースには、さまざまなケースがありますが、以下では、建設業法違反となる代表的なケースを紹介します。
建設業法に違反したときには、どのようなペナルティーを受けるのでしょうか。以下では、建設業法違反の罰則や監督処分について説明します。
建設業法に違反した場合の罰則として代表的なものは、以下のとおりです。
① 3年以下の懲役、または300万円以下の罰金
建設業法に違反した際の刑罰の中でも、賄賂の供与・収受などの例外を除きもっとも重い刑罰は、「3年以下の懲役、または300万円以下の罰金」です。このような刑罰を科される建設業法違反の行為は以下のとおりです。
② 6か月以下の懲役、または100万円以下の罰金
「6か月以下の懲役、または100万円以下の罰金」の刑罰を科される建設業法違反の行為としては、以下のものが挙げられます。
③ 100万円以下の罰金
罰金(100万円以下)が科される建設業違反の行為としては、以下のものが挙げられます。
④ 10万円以下の過料
過料(10万円以下)が科される建設業法違反の行為としては、以下のものが挙げられます。
建設業法に違反した場合には、上記のような罰則以外にも行政機関からの監督処分を受けることがあります。監督処分とは、刑罰を科すことにより間接的に法律の順守を図るための罰則とは異なり、不適正な者の是正または不適格者の排除を目的としてなされる行政処分です。
建設業法に違反してしまった場合、会社側としてはどのような対応をすべきなのでしょうか。以下では、建設業法違反をしてしまった際の対処法について説明します。
建設業法に違反すると、国土交通省から建設業法に基づく立ち入り検査を行う旨の通知が届くことがあります。立ち入り検査が実施されると、国土交通省の検査職員が事業所に来ますので、検査当日に関係資料を確認できるよう事前に準備をしておく必要があります。
また、立ち入り検査への対応にあたっては、以下の点に注意が必要です。
建設業法に基づく立入検査が終わると、違反の有無や程度により異なりますが、国土交通省から再発防止に向けた勧告や改善措置の内容を書面で報告するように言われることがあります。
行政から勧告を受けた場合には、社内で再発防止のために必要な措置を検討し、改善状況報告書の作成を行います。
建設業違反となる行為があり、違反の程度が重い場合には、営業停止などの行政処分を受ける可能性があります。処分内容に納得がいかない場合には、再調査請求を検討したり、審査請求という形で不服申し立てをすることが考えられます。
ただし、審査請求をするにあたっては、処分が違法または不当であることを法的根拠に基づいて主張立証していく必要があります。そのためには、法律の専門家である弁護士のサポートが必要になりますので、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
建設業法に違反した場合だけでなく違反しているかどうか判断できないという場合にも、まずは弁護士に相談して、判断を仰ぐとよいでしょう。
建設業法違反でお困りの企業は、まずは弁護士にご相談ください。
建設業法に違反してしまった場合には、監督行政庁による立ち入り検査が実施されます。弁護士に依頼をすれば、立ち入り検査を受けた際の対応のサポートをしてもらうことができますので、不適切な回答をして不利な処分を受けるリスクを最小限に抑えることが可能です。
また、行政から勧告を受けた際に必要になる改善状況報告書の作成やチェックも弁護士が行うことができます。さらに、企業の代理人として不服申し立てを行ったり、警察からの取り調べに対するアドバイスも可能です。
このように建設業法違反があった場合の具体的なアドバイスやサポートができるのは、弁護士に限られますので、まずは弁護士にご相談ください。
弁護士と顧問契約を締結した場合には、法令順守の体制づくりのアドバイスをすることもできます。建設業法に違反した場合には、営業停止や許可取り消しなど重大な処分を受けるリスクがありますので、まずは建設業法に違反しないための体制づくりが重要となります。
建設業に関しては、国土交通省が作成している「建設業法令順守ガイドライン」というものがありますので、顧問弁護士がガイドラインを踏まえた、適切な社内システムの整備を行います。また、建設業法に関するセミナーや勉強会の講師を顧問弁護士が担当することもできますので、社内教育により従業員のコンプライアンス意識の向上を図ることも可能です。
建設業法に違反をすると懲役や罰金といった罰則だけでなく、営業停止や許可取り消しといった監督処分を受ける可能性があります。建設業法の違反は社内の小さなトラブルからでも問われる可能性がありますので、顧問弁護士に依頼をして、法令順守の体制づくりを進めていくことが大切です。
法令順守がうまくいかず、建設業法に違反してしまった場合、または建設業法の違反となるか判断できない場合にも、ベリーベスト法律事務所にぜひご相談ください。