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    2026年03月18日
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    2026年03月18日
    【不動産オーナー向け】民事調停についてわかりやすく解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    【不動産オーナー向け】民事調停についてわかりやすく解説

    不動産を所有していると、家賃滞納や建物の明け渡し、賃料の増減をめぐる争い、購入した建物の欠陥や契約内容と異なる工事など、さまざまなトラブルに直面することがあります。このような問題を放置すれば、収益性の低下や資産価値の毀損につながり、不動産オーナーとして大きな損害を受けかねません。

    そのようなときに活用できる手続きのひとつが「民事調停」です。民事調停は、裁判所で調停委員という第三者を交えながら当事者同士で話し合いを行い、柔軟かつ円満な解決を目指す制度です。裁判に比べて手続きが簡単で、スピーディーに進められる点も特徴といえます。

    今回は、不動産トラブルにおける民事調停の仕組みや流れ、実際に調停が利用される具体的なケースなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、民事調停とは|裁判前の解決手段

不動産トラブルが起きたとき、解決方法として「裁判」を思い浮かべる方は少なくありません。しかし、裁判は、時間や費用がかかり、不動産オーナーにとって大きな負担になります。

そこで活用できるのが「民事調停」という制度です。以下では、民事調停の仕組みとメリットを説明します。

  1. (1)民事調停の基本的な仕組み

    民事調停とは、裁判官と調停委員で構成される調停委員会が当事者の間に入り、話し合いによる解決をサポートする制度です。
    調停委員は、弁護士や不動産鑑定士、建築士など、事件内容に応じた知識や経験を有する人が選ばれて、専門的知識や経験に基づき、公平で中立的な立場から助言をしてくれます。

    民事調停はあくまで話し合いが中心です。
    裁判のように証拠により事実認定をして判決を下して勝ち負けを決めるのではなく、当事者双方が、調停委員を通じて、柔軟に意見を交わしながら、双方が納得できる解決策を探っていきます。

    また、不動産トラブルの一部では「調停前置主義」が定められており、いきなり訴訟を起こすのではなく、まずは調停を申し立てる必要があります。賃料増減額請求がその例であり、不動産オーナーにとっても調停を避けて通れない場面も少なくありません。

  2. (2)民事調停を利用するメリット

    民事調停は、不動産オーナーにとって以下のようなメリットがあります。

    ① 手続きが簡単
    裁判のように複雑な書類や専門的な訴訟活動は不要で、裁判よりは、比較的少ない準備で申し立てが可能です。

    ② 円満な解決が期待できる
    第三者である調停委員が間に入ることで、感情的な対立を和らげながら合意を目指せます。相手と長期的な関係を維持したい場合にも有効です。

    ③ 早期解決が可能
    通常の裁判に比べ、短期間で結論に至るケースが多いのが特徴です(東京簡裁では3回での解決を目指しています)。
    不動産オーナーとしては、家賃収入や建物利用に関わるトラブルを長引かせずに済む点が大きな利点となります。

    ④ 非公開で行われる
    裁判と異なり、民事調停は非公開で行われます。そのため、第三者に知られたくない事情も話すことができます。調停委員は守秘義務を負っていますので、調停で知り得た情報を第三者に話すことは禁じられているため、安心できます


    このように、民事調停は、裁判に比べて負担を抑えつつ、柔軟かつ現実的な解決を目指せる手段として、不動産オーナーにとって心強い制度だといえるでしょう。

2、不動産トラブルで調停が利用される6つのケース

不動産を所有していると、施主である不動産オーナーは、さまざまなトラブルに直面します。契約上の問題から建物の不具合まで、解決が難しいケースも少なくありません。

以下では、裁判に持ち込む前の解決策として、民事調停が利用される典型的な事例を6つご紹介します。

  1. (1)家賃滞納のトラブル

    賃借人による家賃の滞納は、不動産オーナーにとって、非常に身近なトラブルのひとつです。滞納が続けばキャッシュフローが悪化し、ローン返済や維持管理費用にも影響が出かねません。
    民事調停では、分割払いの合意や明け渡しの条件を話し合うことで、円滑な解決を図ることが可能です。

  2. (2)建物明け渡しのトラブル

    賃貸借契約が終了しても、借主が建物を明け渡さないケースがあります。
    訴訟提起前に調停を行えば、明け渡し時期や条件を柔軟に取り決められるため、時間・費用の負担を大幅に軽減できます。

    また、調停で合意が成立すれば相手の自主的な履行を促しやすく、不要な対立を避けながら円滑な明け渡しを実現することも可能です

  3. (3)賃料増減額請求のトラブル

    地価や周辺相場の変動に応じて賃料を増額・減額することがありますが、借主と合意できず紛争になるケースも少なくありません。この場合、法律で「調停前置主義」が定められているため、訴訟の前に必ず調停を申し立てる必要があります。
    前述のとおり、調停は、訴訟のように勝ち負けを決めるのではなく、調停委員が間に入って話し合いを促進するため、関係悪化を最小限に抑えつつ、柔軟な解決策を見いだしやすくなります

  4. (4)建物の欠陥(雨漏り・構造不良など)のトラブル

    新築やリフォームを行った際に、雨漏り・傾き・断熱不良などの欠陥が見つかることがあります。施工業者との間で修繕範囲や費用負担をめぐって争いになるケースは珍しくありません。
    調停であれば、専門的な知見を持つ調停委員の助言を受けつつ、現実的な修繕内容や補償額を取り決めることができます。

  5. (5)契約内容と異なる工事が行われたことによるトラブル

    契約時に取り決めた仕様と異なる工事が行われたり、仕上がりに大きな差異があったりする場合、施工業者の間で深刻な対立に発展することがあります。
    調停を利用すれば、契約書や設計図をもとに中立的な立場の調停員を交えて公平な立場で話し合いを進められるため、裁判よりも柔軟な解決が期待できます。

  6. (6)施主と施工業者間でよくあるその他のトラブル

    上記以外にも、工期の遅延や追加費用の請求、保証対応をめぐるトラブルなど、施主と施工業者の間で起こりやすい問題は多数存在します。
    民事調停であれば、双方が歩み寄りやすい環境の中で、実務的かつ現実的な解決策を探ることが可能です。

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3、不動産トラブルにおける調停手続きの流れ

民事調停を利用する場合、申し立てから調停終了までの手続き全体を事前に理解しておくことで、スムーズに対応することが可能です。

以下では、不動産トラブルにおける調停手続きの具体的な流れを説明します。

  1. (1)申立先

    民事調停は、原則として相手方の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。
    もっとも、宅地又は建物の賃借その他の利用関係に関する紛争に関する調停事件、いわゆる「宅地建物調停事件」は原則として、紛争の対象となっている宅地又は建物の所在地を管轄する簡易裁判所が管轄となります。賃貸借契約終了に伴う土地や建物の明け渡しや、賃料の増額または減額の請求を求める調停等がこれに該当します。

    トラブルの性質によって申立先が異なるため、事前に裁判所のウェブサイトや弁護士に確認しておくと安心です。

  2. (2)申立てに必要な書類・費用

    不動産に関するトラブルで民事調停を利用する際に、必要になる一般的な書類は、以下のとおりです。

    【申立てに必要な書類】
    • 調停申立書
    • 証拠書類(不動産図面、修繕見積書、賃貸借契約書など各種契約書)
    • 当事者が法人の場合:法人登記事項全部証明書
    • 不動産明け渡しの場合:固定資産評価証明書、不動産登記事項証明書


    また、費用としては、収入印紙(請求額に応じて印紙代は異なります。建物明渡調停の場合は、建物の固定資産評価額の2分の1が請求額となります。多くのケースでは数千円から数万円程度となります。)と郵便切手代が必要になります。
    裁判に比べ費用は比較的少額で済むのも、調停手続きのメリットといえます

  3. (3)調停手続きの基本的な流れ

    民事調停の手続きは、以下のような流れで進みます。

    ① 申し立て
    申立人(施主、不動産オーナー)が裁判所に調停を申し立てます。申立書と必要書類を提出し、費用を納めます。申立ては、直接窓口で行うほか、郵送でも受け付けています。

    ② 調停委員の指定
    裁判所が調停委員を指定します。不動産トラブルであれば、法律や不動産問題に詳しい弁護士、不動産鑑定士、建築士などが選ばれ、当事者の話し合いを公平にサポートします。

    ③ 調停期日の決定・当事者双方の呼び出し
    裁判所が調停期日を指定し、申立人と相手方に呼出状(期日通知書)を送付します。通常は、申立てから1か月程度で期日が設定されます。

    ④ 調停期日
    調停委員が立ち会い、申立人と相手方が通常は別々に調停室に呼ばれてそれぞれの主張を述べます。調停委員は、双方の言い分を整理し、合意に至れるよう助言します。当事者は、直接顔を合わせて話し合いをする必要がありませんので、感情的な対立を避けながら話し合いを進めることができます。
    なお、1回の調停期日で解決に至らないけれど、話し合いによる調停成立の余地があるときは、複数回の期日が設けられます。

    ⑤ 調停終了(調停成立or不成立)
    合意に至った場合は「調停成立」となり、その内容は裁判の判決と同じ効力を持ちます。
    調停が成立すると、当事者双方が合意した内容を記載した「調停調書」が作成され、これは判決文と同じ効力があるため、相手が調停で合意した内容に従わない場合は、相手の財産を差し押えたり、建物を明渡させたりという強制執行手続を申し立てることができます。
    一方で、合意できなければ「調停不成立」となり、訴訟など次の手段を検討することになります。

4、調停が不成立となった場合は?

調停が不成立となった場合、次の段階として「訴訟」を検討する必要があります。

以下では、不成立後の流れと注意すべきポイントを説明します。

  1. (1)調停が不成立になった後は訴訟の提起が必要

    調停がまとまらず不成立になった場合、そのままではトラブルは解決しません。合意ができなければ問題は続き、損失がさらに大きくなるおそれがあります。

    たとえば、家賃滞納が続けば収益に直結し、建物を明け渡してもらえなければ新しい入居者を迎えることもできません。このようなときには、裁判を起こして解決を目指す必要があります。

    裁判で判決が出れば、相手が話し合いに応じなくても「強制的に支払いを求める」「建物を明け渡してもらう」といった法的な手段を取れるようになります。

  2. (2)訴訟を提起する際のポイント

    調停が不成立になったときは、訴訟提起を検討することになりますが、その際には、以下のポイントを押さえておきましょう。

    ① 手数料の引き継ぎ
    民事調停が不成立となった場合、不成立の告知を受けた日から2週間以内に訴訟を提起すれば、調停で支払った手数料(印紙代)を訴訟の印紙代に充当できます。
    ただし、訴訟への移行にあたっては、調停を申し立てた裁判所から「調停不成立の証明書」を取得する必要があります。調停不成立後、自動的に訴訟に移行するわけではないため注意が必要です

    ② 証拠の整理
    裁判では、当事者の話し合いではなく証拠に基づいて事実認定を行います。つまり、証拠の有無が結果を左右するといっても過言ではありません。
    そのため、訴訟提起を視野に入れているなら、調停段階から事前に十分な証拠を集めておくことが重要です。
    また、調停で交わされたやり取りや提出した資料は、訴訟には引き継がれません。もっとも、調停で提出した資料は訴訟においても有効な資料となりますので、契約書、やり取りの記録、建物の状況写真、見積書など、こちら側の主張を裏付ける証拠をきちんと整理しておくようにしましょう。

    ③ 弁護士への相談
    訴訟は、調停に比べて手続きが複雑で、専門的な知識が不可欠です。
    ご自身が単独で対応するのは大きな負担となるため、早い段階で弁護士に相談することを強くおすすめします。

5、不動産トラブルは弁護士にご相談を

調停や裁判といった法的手続きを単独で進めるのは負担が大きく、適切に対応しないと不利な結果を招きかねません。

そのため、不動産トラブルに直面したときは、専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。

  1. (1)調停や裁判手続きを一任できる

    弁護士に依頼すれば、調停申立書の作成から証拠整理、期日の対応まで、面倒な手続きを一任できます。
    さらに、弁護士が前面に立つことで相手方とのやり取りもスムーズになり、不要なトラブルを避けられる効果も期待できます。

  2. (2)法的観点に基づくアドバイス、主張が可能

    不動産トラブルは契約書の解釈や法律の適用が重要になります。
    弁護士は、法的知識を踏まえ、施主や不動産オーナーの立場を守るために的確な主張を行うことが可能です。
    場合によっては和解案の提示や示談交渉も行い、調停・訴訟の長期化を防ぐことが期待できる点もメリットといえるでしょう。

  3. (3)トラブル解決にかける負担を減らすことができる

    不動産オーナーとしては、本業である物件の管理や運営に集中することが望ましいでしょう。弁護士に依頼すれば、交渉や調停・裁判の対応を任せられるため、時間的・精神的な負担を大幅に減らせます。

    また、事務所によっては一級建築士と連携して建築上の問題を専門的に検証できる場合もあります。法務と建築の双方から支援を受けられる点は、トラブルの根本解決につながる大きな強みと言えるでしょう。

6、まとめ

不動産に関するトラブルは、家賃滞納から建物の欠陥、契約不履行まで幅広く発生し、不動産オーナーにとって大きな負担となります。

民事調停は、裁判より柔軟で早期解決が期待できる制度ですが、必ずしも合意できるとは限りません。不成立となれば訴訟に進み、判決による強制力をもって解決を図ることになりますが、このような手続きを単独で進めるのは困難だといえるでしょう。そのため、早い段階で弁護士に相談することが重要です。

ベリーベスト法律事務所であれば、弁護士が調停や裁判を全面的にサポートし、必要に応じて一級建築士と連携しながら建築的な専門知見も踏まえた解決策を提示できます。大切な資産を守り、不動産経営を安定させるために、まずはご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築・建設に関するトラブルや訴訟問題でお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

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