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    2025年04月03日
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    契約書なしのリフォーム工事が招くトラブルとその解決法を解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    契約書なしのリフォーム工事が招くトラブルとその解決法を解説

    リフォーム工事を請け負う際には、工事請負契約書の締結が必須とされています。

    契約書なしでリフォーム工事をすると、建設業法などに基づいて行政処分を受けるおそれがあるので十分ご注意ください。

    本記事では、契約書なしでリフォーム工事を行うことの問題点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

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1、契約書なしでのリフォーム工事は法律違反

契約は口頭でも成立しますが(民法第522条第2項)、リフォーム工事の請負契約については、書面等の作成が必須とされています。契約書なしでリフォーム工事をすることは、法律違反に当たるので要注意です。

  1. (1)建設工事請負契約は、書面等の作成が必須|作成しないと建設業法違反

    建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、建設業法第19条第1項各号所定の事項を記載し、署名または記名押印をした書面を互いに交付する義務があります(同条第1項)。
    したがって、リフォーム工事の請負契約についても、上記の書面を作成しなければ同項の違反になります

    なお、リフォーム工事の請負契約は電子契約によって締結することもできますが、施主の承諾を得る必要があります(建設業法第19条第3項)。

  2. (2)特定商取引法に基づく書面の作成が必要なこともある(施主と施工業者間)

    リフォーム工事に関する契約の締結に至る経緯によっては、施工業者が施主に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」といいます。)に基づき書面を交付する義務が生ずる場合もあります。

    リフォーム工事について特定商取引法に基づく書面の交付が義務となるのは、主に「訪問販売」または「電話勧誘販売」に該当する場合です(特定商取引法4条・5条・18条・19条)。

    ① 訪問販売
    施工業者が施主の自宅等を訪問するなどして、営業所等以外の場所でリフォーム工事の契約を締結した場合には、訪問販売に当たります。
    また、路上などで施主を呼び止めて営業所等へ同行させた場合(=キャッチセールス)や、販売目的を隠しつつ電話・郵便・SNSなどで施主を営業所等へ呼び出した場合(=アポイントメントセールス)も訪問販売に当たります。

    ② 電話勧誘販売
    施工業者が施主に対して電話で勧誘を行い、郵便等によってリフォーム工事の契約を締結した場合には、電話勧誘販売に当たります。

2、契約書なしでリフォーム工事をした場合の行政処分の流れ

契約書なしでリフォーム工事をした建設業者は、建設業法または特定商取引法の義務違反を理由に、行政処分を受ける可能性があります。

  1. (1)建設業法違反による行政処分の流れ

    リフォーム工事の契約書を作成しないなど、建設業法に違反している疑いのある建設業者は、国土交通大臣または都道府県知事から報告や立ち入り検査を求められることがあります(建設業法第31条)。

    調査の結果、建設業法違反が判明した場合には、国土交通大臣または都道府県知事は建設業者に対し、是正のための必要な指示をすることができます(同法第28条第1項・第2項・第4項)。
    国土交通大臣または都道府県知事の指示に従わない建設業者は、1年以内の営業停止処分を受けるおそれがあります(同条第3項・第5項)

    なお、建設業法違反の情状が特に重い場合や、営業停止処分に違反して営業を続けた場合には、国土交通大臣または都道府県知事は建設業の許可を取り消さなければならないとされています(同法第29条第1項第8号)

  2. (2)特定商取引法違反による行政処分の流れ

    訪問販売や電話勧誘販売に当たるリフォーム工事につき、施主に書面を交付しないなど特定商取引法違反の疑いがある事業者は、主務大臣から報告や帳簿書類等の提出を命じられ、または立ち入り検査を受けることがあります(特定商取引法第66条)。

    調査の結果、特定商取引法違反が判明した場合には、主務大臣は事業者に対し、是正のための措置や施主の利益の保護を図るための措置などを指示することができます。主務大臣の指示を受けた事実は、ウェブサイト上などで公表されます(同法第7条、第22条)。

    特定商取引法違反の行為により、相手方(施主)の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、または主務大臣の指示に従わないときは、事業者は2年以内の業務停止命令等を受けるおそれがあります。業務停止命令等を受けた事実も、公表処分の対象です(同法第8条、第23条)。

3、契約書なしのリフォーム工事に関する民事トラブル

契約書なしでリフォーム工事を行った場合、行政処分の対象となるだけでなく、施主と施工業者間、元請と下請間で民事上のトラブルに発展するおそれもあります。

  1. (1)契約書なしのリフォーム工事に関するトラブル例

    リフォーム工事の請負契約書を作成しないと、施工の内容や報酬などについて、施主と施工業者の間、もしくは元請と下請の間で、認識の相違が生じることがあります。

    きちんと施工したつもりでも、施主や元請から「約束と違う」などとクレームが入ってトラブルになるおそれがあります。

    特定商取引法で定めるクーリングオフをされてしまう可能性も
    また、リフォーム工事が訪問販売や電話勧誘販売に該当する場合は、施主に契約をクーリングオフされる可能性もあります(特定商取引法第9条、第24条)。
    訪問販売と電話勧誘販売のクーリングオフ期間は8日間ですが、施主に対して契約書面を交付していないと、8日間の期間が進行しません。
    したがって、契約書面を交付していなければ、施工業者はいつでもクーリングオフに応じる必要があります。その際、施主に対して損害賠償や違約金を請求することはできません。
  2. (2)契約書なしのリフォーム工事に関するトラブルの解決手続き

    契約書なしで行ったリフォーム工事に関して、施主と施工業者の間、もしくは元請と下請の間でトラブルが発生した場合は、以下の手続きなどを通じて解決を図ります。早期かつ適切な条件でトラブルを解決するには、弁護士のサポートを受けましょう

    ・協議
    相手と直接話し合い、合意による解決を目指します。

    ・ADR(裁判外紛争解決手続)
    裁判所以外の第三者機関に対し、和解のあっせん、調停、仲裁などを求めます。
    各弁護士会の「住宅紛争審査会」、国土交通省および各都道府県の「建設工事紛争審査会」、国民生活センターの「紛争解決委員会」などが建築ADRを取り扱っています。

    ・訴訟
    裁判所で行われる公開の紛争解決手続です。主に判決または和解によって、紛争を解決します。

4、リフォームの請負契約書に記載すべき事項

リフォーム工事の請負契約書には、建設業法所定の事項を必ず記載しましょう。また、訪問販売または電話勧誘販売に該当する場合は、特定商取引法所定の事項も記載する必要があります。

  1. (1)建設業法に基づく記載事項

    リフォーム工事請負契約書には、以下の事項を記載する必要があります(建設業法第19条第1項)。

    • ① 工事内容
    • ② 請負代金(工事代金)の額
    • ③ 工事着手の時期および工事完成の時期
    • ④ 工事をしない日または時間帯を決める場合は、その日時
    • ⑤ 請負代金の全部または一部を前金払いまたは出来形部分に対する支払いとするときは、その支払い時期および方法
    • ⑥ 工期の変更、請負代金の額の変更または損害の負担、およびそれらの額の算定方法
    • ⑦ 天災その他不可抗力による工期の変更、または損害の負担およびその額の算定方法
    • ⑧ 価格等の変動や変更に基づく請負代金の額または工事内容の変更
    • ⑨ 施工により第三者が損害を受けた場合の賠償金の負担
    • ⑩ 注文者が工事に使用する資材を提供したり、または建設機械その他の機械を貸し出すときは、その内容および方法
    • ⑪ 注文者による工事完成検査の時期および方法、ならびに引き渡しの時期
    • ⑫ 工事完成後の請負代金の支払い時期および方法
    • ⑬ 契約不適合責任に関する保証保険契約の締結その他の措置を定めるときは、その内容
    • ⑭ 債務不履行時の遅延利息、違約金その他の損害金
    • ⑮ 契約に関する紛争の解決方法

    また、これらの事項を変更した際にも、変更契約書などの書面を締結しなければなりません(同条第2項)。

  2. (2)特定商取引法に基づく記載事項

    リフォーム工事が訪問販売または電話勧誘販売に当たるときは、施工業者は施主に対し、以下の事項を記載した書面を交付しなければなりません(特定商取引法第4条・第5条・第18条・第19条、同法施行規則第5条・第45条)。

    • ① 商品もしくは権利、または役務の種類
    • ② 販売価格(対価)
    • ③ 販売代金(対価)の支払い時期および方法
    • ④ 商品の引き渡し時期もしくは権利の移転時期、または役務の提供時期
    • ⑤ クーリングオフに関する事項
    • ⑥ 事業者(施工業者)の氏名または名称、住所、電話番号(法人の場合は、代表者の氏名)
    • ⑦ 契約の申し込みまたは締結を担当した者の氏名
    • ⑧ 契約の申し込みまたは締結の年月日
    • ⑨ 商品名および商品の商標または製造者名
    • ⑩ 商品に型式があるときは、当該型式
    • ⑪ 商品の数量
    • ⑫ 契約不適合責任に関する事業者の責任についての定めがあるときは、その内容
    • ⑬ 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
    • ⑭ ⑫と⑬のほか特約があるときは、その内容

5、まとめ

契約書なしでリフォーム工事を請け負うことは、建設業法違反に当たるほか、勧誘の態様によっては特定商取引法違反にも該当するおそれがあります。

もし契約書なしでリフォーム工事を行ってしまい、行政処分や民事トラブルのリスクが生じた場合には、早めに弁護士へ相談しましょう。
弁護士は解決方法をアドバイスするとともに、代理人として早期の解決をサポートいたします。また弁護士には、リフォーム工事に関するトラブルを予防するための対策についてもご相談いただけます。

ベリーベスト法律事務所は、クライアント企業のニーズに応じてご利用いただける顧問契約をご用意しております。リフォーム工事に関するトラブルに備えたい施工業者は、当事務所へご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築・建設に関するトラブルや訴訟問題でお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

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