リフォーム工事を請け負う際には、工事請負契約書の締結が必須とされています。
契約書なしでリフォーム工事をすると、建設業法などに基づいて行政処分を受けるおそれがあるので十分ご注意ください。
本記事では、契約書なしでリフォーム工事を行うことの問題点について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
契約は口頭でも成立しますが(民法第522条第2項)、リフォーム工事の請負契約については、書面等の作成が必須とされています。契約書なしでリフォーム工事をすることは、法律違反に当たるので要注意です。
建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、建設業法第19条第1項各号所定の事項を記載し、署名または記名押印をした書面を互いに交付する義務があります(同条第1項)。
したがって、リフォーム工事の請負契約についても、上記の書面を作成しなければ同項の違反になります。
なお、リフォーム工事の請負契約は電子契約によって締結することもできますが、施主の承諾を得る必要があります(建設業法第19条第3項)。
リフォーム工事に関する契約の締結に至る経緯によっては、施工業者が施主に対し、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」といいます。)に基づき書面を交付する義務が生ずる場合もあります。
リフォーム工事について特定商取引法に基づく書面の交付が義務となるのは、主に「訪問販売」または「電話勧誘販売」に該当する場合です(特定商取引法4条・5条・18条・19条)。
契約書なしでリフォーム工事をした建設業者は、建設業法または特定商取引法の義務違反を理由に、行政処分を受ける可能性があります。
リフォーム工事の契約書を作成しないなど、建設業法に違反している疑いのある建設業者は、国土交通大臣または都道府県知事から報告や立ち入り検査を求められることがあります(建設業法第31条)。
調査の結果、建設業法違反が判明した場合には、国土交通大臣または都道府県知事は建設業者に対し、是正のための必要な指示をすることができます(同法第28条第1項・第2項・第4項)。
国土交通大臣または都道府県知事の指示に従わない建設業者は、1年以内の営業停止処分を受けるおそれがあります(同条第3項・第5項)。
なお、建設業法違反の情状が特に重い場合や、営業停止処分に違反して営業を続けた場合には、国土交通大臣または都道府県知事は建設業の許可を取り消さなければならないとされています(同法第29条第1項第8号)。
訪問販売や電話勧誘販売に当たるリフォーム工事につき、施主に書面を交付しないなど特定商取引法違反の疑いがある事業者は、主務大臣から報告や帳簿書類等の提出を命じられ、または立ち入り検査を受けることがあります(特定商取引法第66条)。
調査の結果、特定商取引法違反が判明した場合には、主務大臣は事業者に対し、是正のための措置や施主の利益の保護を図るための措置などを指示することができます。主務大臣の指示を受けた事実は、ウェブサイト上などで公表されます(同法第7条、第22条)。
特定商取引法違反の行為により、相手方(施主)の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、または主務大臣の指示に従わないときは、事業者は2年以内の業務停止命令等を受けるおそれがあります。業務停止命令等を受けた事実も、公表処分の対象です(同法第8条、第23条)。
契約書なしでリフォーム工事を行った場合、行政処分の対象となるだけでなく、施主と施工業者間、元請と下請間で民事上のトラブルに発展するおそれもあります。
リフォーム工事の請負契約書を作成しないと、施工の内容や報酬などについて、施主と施工業者の間、もしくは元請と下請の間で、認識の相違が生じることがあります。
きちんと施工したつもりでも、施主や元請から「約束と違う」などとクレームが入ってトラブルになるおそれがあります。
契約書なしで行ったリフォーム工事に関して、施主と施工業者の間、もしくは元請と下請の間でトラブルが発生した場合は、以下の手続きなどを通じて解決を図ります。早期かつ適切な条件でトラブルを解決するには、弁護士のサポートを受けましょう。
リフォーム工事の請負契約書には、建設業法所定の事項を必ず記載しましょう。また、訪問販売または電話勧誘販売に該当する場合は、特定商取引法所定の事項も記載する必要があります。
リフォーム工事請負契約書には、以下の事項を記載する必要があります(建設業法第19条第1項)。
また、これらの事項を変更した際にも、変更契約書などの書面を締結しなければなりません(同条第2項)。
リフォーム工事が訪問販売または電話勧誘販売に当たるときは、施工業者は施主に対し、以下の事項を記載した書面を交付しなければなりません(特定商取引法第4条・第5条・第18条・第19条、同法施行規則第5条・第45条)。
契約書なしでリフォーム工事を請け負うことは、建設業法違反に当たるほか、勧誘の態様によっては特定商取引法違反にも該当するおそれがあります。
もし契約書なしでリフォーム工事を行ってしまい、行政処分や民事トラブルのリスクが生じた場合には、早めに弁護士へ相談しましょう。
弁護士は解決方法をアドバイスするとともに、代理人として早期の解決をサポートいたします。また弁護士には、リフォーム工事に関するトラブルを予防するための対策についてもご相談いただけます。
ベリーベスト法律事務所は、クライアント企業のニーズに応じてご利用いただける顧問契約をご用意しております。リフォーム工事に関するトラブルに備えたい施工業者は、当事務所へご相談ください。