弁護士コラム

【ニュース解説】大阪の建設アスベスト訴訟 建材メーカーに約4.5億の賠償命令が下る。

  • アスベスト健康被害
公開日:2026年10月05日
更新日:2026年10月05日

【ニュース解説】大阪の建設アスベスト訴訟 建材メーカーに約4.5億の賠償命令が下る。

アスベスト健康被害にあった元建設作業員とその遺族が建材メーカーを訴えた裁判で、大阪地裁は建材メーカーの責任を一定程度認め、複数のメーカーに約4.5億を支払うよう命じました。

ニュース概要

過去、建設現場ではアスベストが含まれた建材が数多く使われていました。そのため、現在、多くの元建設作業員の方がアスベストを原因とした病気になっていたり、その病気が原因で亡くなったりしています。
こうした場合、建材メーカーや元勤務先・元請けを訴えるなどして損害賠償を求めたり、国の給付金制度に申請したりすることができます。

2026年7月29日、元建設作業員やその遺族が建材メーカーを訴えた裁判では、大阪地裁がアスベストの健康被害が起こったのは、建材メーカーがアスベストの危険性を伝える義務を怠ったためだとして、複数の建材メーカーに計約4億5000万円を支払うよう命じました。

このように建設現場でアスベスト健康被害に遭った可能性がある場合、建材メーカーに責任を問う訴訟を起こし、適切な賠償を求めることができます。

アスベスト専門チーム所属弁護士が、ニュースのポイントを解説

令和8年7月29日、大阪地方裁判所は、建設現場における石綿ばく露により石綿関連疾患を発症したとする元建設作業従事者及びその遺族ら61名(被災者27名)が、建材メーカー12社に対し損害賠償を求めた訴訟において、判決を言い渡しました。
裁判所は、被告らメーカーのうち8社について警告表示義務違反を認め、原告らに対し合計約4億5000万円の支払いを命じました。一方、4社については法的責任を認めませんでした。

本判決の特徴は、いわゆるシェア論を採用した点にあります。

シェア論とは、建設作業従事者の職種や取扱い建材の種類、作業地域、建材の製造期間と作業期間との重なりなどを踏まえて対象となる石綿含有建材を絞り込んだ上で、建材メーカーの市場シェアと当該従事者が作業した現場数に基づく確率計算を考慮し、特定メーカーの建材がその作業現場に相当回数にわたり到達した蓋然性が高いと推認する立証手法です。

本判決も類似の手法を用いて有責企業を特定するという判断手法を採用しているようです。
この手法を採用することで、被害者側の立証負担を過度に重くすることなく、合理的な推認により責任を画定しようとするものであり、令和3年最高裁判決以降の裁判例の流れを踏まえた実務的なものであると評価できます。

石綿被害の救済においては、被害者の高齢化及び訴訟の長期化が深刻な問題となっており、実際に本件訴訟中に石綿関連疾患が原因で亡くなった原告は5名にのぼります。

本判決を契機として、個別訴訟の長期化を避け、補償基金制度の創設等のメーカー各社による迅速かつ包括的な救済の実現が強く望まれるところです。

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