【ニュース解説】石綿による労災保険支給決定数は4年連続増加。意外な業種でも労災支給が
- アスベスト健康被害
厚生労働省は「令和7年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」を公表しました。
これによるとアスベスト(石綿)による疾病で労災の支給決定をうけた方は過去4年連続で増えています。
また、意外な職業でも労災が認められています。
ニュース概要
厚生労働省は、「令和7年度 石綿による疾病に関する労災保険給付などの請求・決定状況まとめ(速報値)」を公表しました。この公表によると、アスベスト(石綿)が原因で病気になり、労災申請がなされた件数は2年連続で増加しています。また、労災の支給が認められた件数は4年連続で増加しています。
業種別でみると、建築に従事した方の支給決定が659件と最も多いですが、注目するべきは、一見アスベストと関わりが薄いと思われる業種でも支給が認められていることでしょう。
例えば、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」では34件、「機械装置の組立て又は据付けの事業」では31件が認められており、「清掃、火葬又はと畜の事業」や「交通運輸事業」でも5件認められています。
従前、アスベストは幅広い業種で取り扱われてきたため、職場での業務が原因で、多くの方が肺がん、中皮腫、石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚などの肺の病気を発症することがあります。そのため、アスベストに関する病気を発症した場合、それに対する適切な補償を受けられる可能性があります。
もっとも、アスベストによる健康被害の補償・賠償手続きは複数あり、どんな証拠が必要かを適切に判断・申請するのは容易ではありません。
アスベスト専門チーム所属弁護士が、ニュースのポイントを解説
肺がん、中皮腫、石綿肺、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚などの肺の病気を発症し、それが労働者として石綿ばく露作業に従事していたことが原因であると認められた場合には、労災保険給付または特別遺族給付金が支給されます。
労災保険給付の内容としては、個別具体的な事情に応じて、医療費や休業補償、葬祭料、300万円の遺族一時金や遺族年金が支払われるというものです。
もっとも、医療費、休業補償、葬祭料についての労災申請は2年、遺族一時金や遺族年金についての労災申請は5年で時効となり請求ができなくなります。
この点、労災保険給付を受けず死亡された労働者の方で、時効のため労災申請をすることができない方の遺族に対する救済措置として、特別遺族給付金の制度が設けられました。
特別遺族給付金の内容としては、1,200円の遺族一時金や原則240万円の遺族年金が支払われるというものです。
このように、肺の病気の内容や労働者として従事していた業務の内容等の各事情に応じて、労災保険給付や特別遺族給付金が支給される場合があります。また、労災保険給付や特別遺族給付金を請求するほかに、国に対する請求、建設型アスベスト給付金の申請、企業に対する損害賠償請求という手続きを行うことができる可能性もあります。
そのため、以前業務でアスベストを取り扱ったことがある、亡くなった家族がアスベストを取り扱う仕事をしていたという方は、支給を受けられるかについて一度弁護士にご相談いただければと思います。
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