ご遺族が行える
給付金申請・賠償金請求
アスベスト健康被害により大切なご家族を亡くされたご遺族の皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。
ご家族の方が受けた健康被害に対する賠償金や給付金の申請をお考えの際に、知っておきたい情報についてご案内いたします。
ご遺族が請求できるもの
ご遺族が請求しうる救済には、大きく分けて以下の2つがあります。
| 給付金 |
国等に申請し、審査により認定されれば支給される公的制度 |
|---|---|
| 賠償金 |
国や企業の責任を追及して請求するもの |
多くのご遺族が「まず給付金を申請し、その後に賠償金請求を検討する」という流れを取っています。どちらか一方だけではなく、両方を検討することが大切です。
ご遺族が申請できる「給付金」制度
アスベスト健康被害に対する主な給付金制度は以下の4つです。被害者故人の職歴やアスベストばく露の状況により、対象となる制度が異なります。
「建設型アスベスト給付金」建設アスベスト給付金法
建設業務に従事していたことによってアスベスト関連疾患にかかった労働者や一人親方、その遺族に対して国が給付金を支給する制度です。
訴訟手続きを経ずに認定申請を行い、要件を満たせば給付金を受け取ることが可能です。
「救済給付」石綿健康被害救済制度
救済給付は、アスベスト工場の近隣住民や家庭内でばく露を受けた家族など、労災保険の対象とならない状況でアスベスト健康被害を受けた方やその遺族への給付です。
ご遺族に対しては、以下のとおりの給付の可能性があります。
- 被害者が申請前に亡くなった場合「特別遺族弔慰金」、「特別葬祭料」
- 被害者が申請し、認定された後に亡くなった場合「葬祭料」、「未支給の医療費等」、「救済給付調整金」
「特別遺族給付金」石綿健康被害救済制度
アスベスト関連疾患で亡くなった被害者の遺族で、労災保険の遺族補償給付を受ける権利が時効(亡くなった日から5年)により消滅した方に「特別遺族給付金」として、「特別遺族年金」または「特別遺族一時金」が支給されます。
「労災保険給付」労災保険制度
仕事が原因でアスベスト関連疾患にかかった労働者やその遺族に対して、療養補償給付や休業補償給付、遺族補償給付などが支給される制度です。
労災認定を受けるには、アスベスト関連疾患にかかったのは、仕事が原因である、との相当因果関係の証明をしなくてはなりません。
ご遺族が申請できる「賠償金」制度
アスベスト被害による救済は、給付金だけではありません。状況によっては、国や企業の責任を問う「損害賠償金」を請求できる場合があります。
損害賠償金では、精神的苦痛に対する慰謝料や病気が原因で仕事を休まなければならないことにより減少した収入(休業損害)、治療費、葬儀費用などを請求することができる場合があります。
工場型アスベスト訴訟
(国との和解)
アスベストを取り扱っていた工場に勤務していた方のご遺族が、国に対して訴訟を提起し、損害賠償を請求するケースです。
一定の要件を満たして、国と和解できれば、損害賠償金を受け取ることができます。
使用者に対する請求
使用者(会社)は、労働者が安心して働けるように、生命や身体の安全に配慮する義務があります(労働契約法第5条)。
使用者が対策を怠った結果、アスベスト健康被害が生じた場合には、使用者に対して損害賠償を求めることが可能です。
建材メーカーに対する請求
アスベストの危険性を認識できたにもかかわらず、アスベストを使用した建材について適切な警告を表示しなかったことが原因でアスベスト健康被害が生じた場合、不法行為に基づく損害賠償を求めることが可能です。
受け取れる金額に影響する主な要因
賠償金・給付金の金額に影響するポイントは、主に以下のとおりです。詳しくは、ベリーベストの弁護士にお気軽にお問い合わせください。
- 認定された疾病の種類(中皮腫、肺がん、石綿肺など)
- 病状の重症度(石綿肺の場合のじん肺管理区分など)
- アスベストばく露期間の長さ
- 肺がんの場合は喫煙歴の有無
- すでに他の補償(企業からの和解金など)を受けているか
労災保険制度の遺族補償年金は、故人の給与額や遺族の数によって金額が異なります。
詳細な金額については、弁護士または各申請窓口などにご相談ください。
「遺族」として請求ができる人
被害にあわれた方がご存命の場合は、ご本人が請求者となりますが、亡くなられている場合、ご遺族のうち、制度の要件を満たす方が給付金・賠償金を請求することが可能です。
給付金・賠償金を請求できる遺族の範囲や順位は、制度ごとに異なります。
| 建設アスベスト給付金制度 | |
|---|---|
| 遺族の範囲※ |
配偶者(事実婚含む)、子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹 |
| 生計維持の 要件 |
なし |
| 年齢・障害 の要件 |
なし |
| 救済給付 (石綿健康被害救済制度) |
|
| 遺族の範囲※ |
配偶者(事実婚含む)、子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹 「葬祭料」については、葬祭を行う者 |
| 生計維持の 要件 |
あり 葬祭料については、なし |
| 年齢・障害 の要件 |
なし |
| 特別遺族給付金 (石綿健康被害救済制度)・ 労災保険制度 |
|
| 遺族の範囲※ |
配偶者(事実婚含む)、子ども、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹 労災保険制度における「葬祭料」については、葬祭を行う者 |
| 生計維持の 要件 |
一部であり 労災保険制度における「葬祭料」については、なし |
| 年齢・障害 の要件 |
一部であり 労災保険制度における「葬祭料」については、なし |
| 【賠償金の場合】 工場型アスベスト訴訟・ 使用者への訴訟・ 建材メーカーへの訴訟 |
|
| 遺族の範囲※ |
原則は法定相続人 |
| 生計維持の 要件 |
なし |
| 年齢・障害 の要件 |
なし |
優先順位があるため、記載された遺族の範囲内の方であっても、請求できる遺族に該当しない場合もあります。詳しくはお問い合わせください。
申請方法・提出先、期限について
【給付金の申請先・提出方法一覧】
給付金の種類によって、申請先の機関が異なります。
| 建設アスベスト給付金制度 | |
|---|---|
| 申請先 |
厚生労働省労働基準局労災管理課 |
| 提出方法 |
郵送で提出 |
| 救済給付 (石綿健康被害救済制度) |
|
| 申請先 |
独立行政法人環境再生保全機構、環境省の地方環境事務所、最寄りの保健所等 |
| 提出方法 |
郵送または持参して提出 |
| 特別遺族給付金 (石綿健康被害救済制度) |
|
| 申請先 |
ご家族(故人)がアスベストにさらされる業務に従事した事業場の所在地を管轄する労働基準監督署 |
| 提出方法 |
郵送または持参して提出 |
| 労災保険制度 | |
| 申請先 |
ご家族(故人)がアスベストにさらされる業務に従事した事業場の所在地を管轄する労働基準監督署 |
| 提出方法 |
郵送または持参して提出 |
なお、国や企業への賠償金請求の場合、交渉や訴訟提起が必要となりますので、まずは弁護士へご相談ください。
【制度ごとの給付金・賠償金請求期限】
各給付金・賠償金には請求期限が定められています。被害者が亡くなった場合の請求期限について、以下に概要を示しますが、期限を過ぎると給付を受けられなくなるため、亡くなられたご家族に思い当たる症状などがありましたら、お早めにベリーベスト法律事務所にご相談ください。
給付金
| 建設アスベスト給付金制度 |
|---|
|
亡くなった日から20年以内 |
| 救済給付(石綿健康被害救済制度) 特別遺族弔慰金、特別葬祭料の場合 |
|
アスベストによる中皮腫・肺がんを原因として亡くなった場合
アスベストによる著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺・びまん性胸膜肥厚を原因として亡くなられた場合
|
| 救済給付(石綿健康被害救済制度) 葬祭料、未支給の医療費等、 救済給付調整金の場合 |
|
葬祭料 亡くなった日の翌日から2年以内 未支給の医療費等 医療費の支払った日の翌日から2年以内。ただし、療養を開始した日から申請日の前日までの医療費については、申請日から2年以内 救済給付調整金 亡くなった日の翌日から2年以内 |
| 特別遺族給付金(石綿健康被害救済制度) |
|
令和14年3月27日まで 対象者の亡くなった日は令和8年3月26日まで |
| 労災保険制度 |
|
療養補償給付 療養の費用を支出した日の翌日から2年以内 休業補償給付 賃金を受けない日の翌日から2年以内 遺族補償給付 亡くなった日の翌日から5年以内 5年を過ぎていた場合は特別遺族給付金の請求が可能 葬祭料 亡くなった日の翌日から2年以内 |
賠償金
| 工場型アスベスト訴訟(国との和解) |
|---|
|
アスベストによる石綿肺・びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水を原因として亡くなった場合 亡くなった日から20年以内 アスベストによる中皮腫・肺がんを原因として亡くなった場合 発症日から20年以内 国は「発症日」からとする見解を採っているようですが、「発症日」からではなく「亡くなった日」からとすべきであると主張することも考えられます。詳しくは、お問い合わせください。 |
| 使用者に対する請求 |
|
①令和2年3月31日以前に労働契約が締結された場合 権利を行使することができる時から10年以内 アスベストによる健康被害より亡くなった場合は、権利を行使することができる時とは、亡くなった時と考えられます。 ②令和2年4月1日以降に労働契約が締結された場合 以下のいずれか早い方
|
| 建材メーカーに対する請求 |
|
以下のいずれか早い方
|
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