先取特権は、債務者の財産の中で、他の債権者よりも先に自分の債権の弁済を受ける(たとえば相手にお金を貸していたとして、他の人よりも先にお金を返してもらえる)権利です(民法第303条)。
建設工事の請負人は、工事の対象である不動産について先取特権を有します(民法第327条)。工事代金が未払いとなった場合は、先取特権に基づいて不動産の競売を申し立て、競売代金から未払い金を回収することができます。
ただし、この効力を保存するためには、工事を始める前にその費用の予算額を登記しなければならないので、実際にはあまり利用されていません。
なお、建設工事の請負人は、先取特権のほかにも同時履行の抗弁権(民法633条)を有します。
同時履行の抗弁権とは、相手方が債務を履行するまでは自分も債務を履行しなくてよいということができる権利です。代金を支払ってもらうまでは、請負人は完成した目的物を施主に引き渡さなくて良いのです。