無催告解除とは、債務者に対して履行の催告(履行するよう促すこと)をせず、直ちに契約を解除することをいいます。民法542条に無催告解除ができる場合が定められています。
通常、契約通りに履行がされない場合には、まず債務者に対して、ある程度の期間を決めて債務の履行をするよう催告します。期間内に債務の履行がされない場合には、契約を解除できます。無催告解除は、この原則にのっとらなくてもよいもので、履行が全部履行不能になっている場合とか、債務者が債務の履行を明確に拒絶した場合とか、催告をしても無意味な場合に行えるようになっています。
なお、民法542条に定められている場合に限らず、特約で無催告解除できる場合を定めることもあります。ただし、特約で定めさえすれば、常に無催告解除ができるというわけではありません。催告をしなくても不合理ではない事情が存在する場合に限り、無催告解除が可能です。たとえば、賃貸借契約において、1回の滞納があれば無催告解除ができる旨の定めがあったとしても、信頼関係の破壊があったとはいえませんので、催告なしで解除するのは難しいでしょう。