民法では、複数の加害者が、ある被害者に対して損害を与えたときは、加害者が連帯して被害者の損害を賠償する責任を負う、とされています。(民法第719条)
連帯して被害者に弁済するのが原則なので、どの加害者がいくらずつ被害者に弁済する、と決めずに、ひとりの加害者が全額弁済してもかまいません。全ての損害が賠償できれば、連帯債務は無くなります。(このほかに債務が無くなる事情として、代物弁済、供託、相殺があります)
ただし、連帯債務を加害者が負うに至った事情によっては、被害者が、「ある加害者だけは責任がないから許したい」などと思うケースもあるでしょう。
この場合、被害者の意向に沿って、特定の加害者の債務だけ免除することもできます。しかし、損害賠償の総額は、債務免除された加害者の分だけ減るわけではなく、他の加害者に全額損害賠償を請求できます。
これが不真正連帯債務です。
たとえば、建築工事に関するミスがあり、設計図書と異なる工事が行われてしまったことによって施主に損害が生じた場合、施工業者だけではなく、設計図書との不一致を見逃した監理者も不真正連帯債務者となります。
施工業者と監理者は、施主から損害賠償を請求されたら、それに応じて損害の全額を賠償しなければなりません。