マンションの管理には、区分所有者とのトラブルがつきものです。
特に管理費の滞納は、マンション管理者にとって大きな悩みの種となります。管理費の滞納が長引いている場合は、弁護士のサポートを受けながら回収を図りましょう。
本記事では、マンション管理費を滞納された場合の滞納者の状況別の対応策や弁護士に依頼するメリットなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
マンションの管理費や修繕積立金は、物件の管理を適切に行うために必要な費用であり、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)や管理規約に基づき、各区分所有者に支払義務があります。
しかし、中には管理費や修繕積立金を支払わない区分所有者もいます。その結果、マンション管理には次のような悪影響が生じるおそれがあります。
区分所有者から適切に管理費が支払われていれば、管理会社に対して毎月支払う費用を十分に賄えます。
一方、管理費が滞納されていると、管理会社への委託料が足りなくなってしまうかもしれません。管理費の滞納が続くと、最終的には管理会社から契約を解除され、マンションの管理体制が不十分になるおそれがあります。
修繕積立金をきちんと回収できていれば、予期せぬ破損などの修繕が必要になった場合にも適切に対応できます。
一方、修繕積立金が滞納されていると、修繕費用が不足し、その結果、物件の劣化が進み、資産価値が低下するおそれもあります。
マンションは経年劣化するため、定期的に大規模な修繕工事を行う必要があります。大規模修繕に備えることは、修繕積立金の大きな目的の一つです。
修繕積立金がきちんと支払われていないと、将来の大規模修繕に充てる費用が不足します。必要な時期に大規模修繕ができず、耐震性や耐火性などに問題が生じ、最悪の場合、住み続けるのが危険な状態となる可能性も否定できません。
滞納状態の管理費や修繕積立金をカバーするためには、他の区分所有者に追加の負担を求めざるを得ないケースもあります。
しかし、それでは支払う人と支払わない人の間に不公平が生じてしまいます。大きな負担を押し付けられる区分所有者から不満が生じ、管理組合の運営に支障が出るかもしれません。
そもそも管理費や修繕積立金の値上げについては、管理組合集会の決議を行う必要があります。負担に不公平が生じている状態では区分所有者の理解を得ることが難しくなる場合があります。
滞納状態の管理費は、速やかに回収を目指すべきです。長期間回収せずに放置していると、時効となり滞納金を回収できなくなるおそれがあるので十分ご注意ください。
マンションの管理費には消滅時効(一定期間がたつと請求権がなくなる制度)が設けられており、以下のいずれか早い時点で時効が完成します(民法第166条第1項)。
管理費のケースでは、通常は「支払期日に未払いが発生した時点」が①に当たります。そのため実務上は「支払期日から5年」で時効が完成すると考えるのが一般的です。
消滅時効が完成すると、管理費を回収できなくなってしまいます。その前に、適切な措置を取りましょう。
管理費の消滅時効の完成を阻止するためには、時効の「完成猶予」または「更新」の手続きを行います。
時効の完成猶予・更新が認められる主なケースは次のとおりです。
| 主な時効の完成猶予事由 |
|---|
【手続きが終了するまで】
【手続きの終了後6か月間】
【合意時から最長1年間】
|
| 主な時効の更新事由 |
|---|
(a)以下の手続きによって権利が確定したこと
(b)以下の手続きが終了したこと
(c)権利の承認 |
実務で一般的に用いられるのは、内容証明郵便で請求書を送る方法です。
内容証明郵便が管理費の滞納者に届くと、消滅時効の完成が6か月間猶予されます。
その間に支払いを求め、6か月以内に支払われないようなら訴訟の提起など次の段階に進む必要があります。
区分所有者が管理費を支払わない理由はさまざまで、状況に応じた対応を取ることが、スムーズな回収につながります。滞納者の状況別に、管理費の回収に向けた対応策を解説します。
失業や事業の失敗などにより、経済的に困難な状況に陥ったために管理費を滞納しているケースでは、段階的に次のような対応を検討するとよいでしょう。
お金があるにもかかわらず、管理費を支払う意思が全くない人に対しては、強硬的な手段も含めた対応を検討すべきでしょう。
これらの対応は複雑で、専門的な知識と労力を要するため、弁護士のサポートを受けながら行いましょう。
区分所有者が亡くなった後で管理費が滞納状態になっている場合は、相続について揉めているのかもしれません。相続問題が片付けば、区分所有建物を相続した人が管理費の支払いを再開する可能性があります。
この場合の基本的な流れは次のとおりです。
マンション管理についてトラブルが発生した場合は、速やかに弁護士へ相談しましょう。弁護士に依頼することの主なメリットは、次のとおりです。
滞納管理費を回収するためには、滞納者の状況に合わせた対応が求められます。
本当にお金がないのか、払う気がないだけなのか、相続などのトラブルが発生しているのかなど、状況によってとるべき対応が変わります。
弁護士に相談すれば、債権回収に関する経験を生かし、滞納者の状況に応じた適切な対応についてアドバイスを受けられます。
滞納が続く場合には、訴訟を提起して支払いを命じる判決を得るなど、法的手段が必要となります。訴訟などの手続きは複雑ですが、弁護士に任せれば適切に進められるだけでなく、管理組合の負担やストレスも大幅に軽減されます。
マンション管理に当たっては、定期的に大規模修繕を行う必要があります。その際に問題となりやすいのが、区分所有者間の合意形成や施工業者との契約トラブルです。
弁護士に相談すれば、区分所有者間でスムーズに合意形成を行うためのポイントについてアドバイスを受けられます。また、施工業者とのトラブルを避けるための契約書チェックや、実際にトラブルが起きた場合の対応なども任せられるので安心です。
区分所有者間のトラブルを防ぐためには、管理規約を適切に作成することが大切です。
弁護士には、管理規約の作成やチェックも依頼できます。弁護士に依頼すれば、新規作成や見直しの段階で法的リスクをチェックでき、将来のトラブルを防ぐことにつながります。
管理費の滞納は、マンション全体の運営や資産価値に大きな影響を及ぼす深刻な問題です。放置すれば修繕や大規模工事の実施が困難になり、区分所有者間の不公平や不満も生じかねません。
滞納によるトラブルを未然に防止し、発生したトラブルを早期に解決するためには、弁護士に相談することが有効です。
ベリーベスト法律事務所は、マンション管理に関するご相談を随時受け付けております。管理費滞納などのトラブルにお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。


