弁護士コラム

  • 法人
    その他
    • #管理費
    • #滞納
    • #マンション
    2026年02月04日
    • #管理費
    • #滞納
    • #マンション
    2026年02月04日
    マンション管理費を滞納されたら? 状況別の対応策を弁護士が解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    マンション管理費を滞納されたら? 状況別の対応策を弁護士が解説

    マンションの管理には、区分所有者とのトラブルがつきものです。

    特に管理費の滞納は、マンション管理者にとって大きな悩みの種となります。管理費の滞納が長引いている場合は、弁護士のサポートを受けながら回収を図りましょう。

    本記事では、マンション管理費を滞納された場合の滞納者の状況別の対応策や弁護士に依頼するメリットなどをベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、管理費の滞納がマンション管理にもたらす深刻な影響

マンションの管理費や修繕積立金は、物件の管理を適切に行うために必要な費用であり、区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)や管理規約に基づき、各区分所有者に支払義務があります。

しかし、中には管理費や修繕積立金を支払わない区分所有者もいます。その結果、マンション管理には次のような悪影響が生じるおそれがあります。

  1. (1)管理会社に費用を支払えなくなり、契約を解除される

    区分所有者から適切に管理費が支払われていれば、管理会社に対して毎月支払う費用を十分に賄えます。

    一方、管理費が滞納されていると、管理会社への委託料が足りなくなってしまうかもしれません。管理費の滞納が続くと、最終的には管理会社から契約を解除され、マンションの管理体制が不十分になるおそれがあります。

  2. (2)修繕ができず、物件の状態が悪くなる

    修繕積立金をきちんと回収できていれば、予期せぬ破損などの修繕が必要になった場合にも適切に対応できます。

    一方、修繕積立金が滞納されていると、修繕費用が不足し、その結果、物件の劣化が進み、資産価値が低下するおそれもあります。

  3. (3)大規模修繕の費用を積み立てられない

    マンションは経年劣化するため、定期的に大規模な修繕工事を行う必要があります。大規模修繕に備えることは、修繕積立金の大きな目的の一つです。

    修繕積立金がきちんと支払われていないと、将来の大規模修繕に充てる費用が不足します。必要な時期に大規模修繕ができず、耐震性や耐火性などに問題が生じ、最悪の場合、住み続けるのが危険な状態となる可能性も否定できません

  4. (4)負担の不公平と合意形成が困難に

    滞納状態の管理費や修繕積立金をカバーするためには、他の区分所有者に追加の負担を求めざるを得ないケースもあります。

    しかし、それでは支払う人と支払わない人の間に不公平が生じてしまいます。大きな負担を押し付けられる区分所有者から不満が生じ、管理組合の運営に支障が出るかもしれません。

    そもそも管理費や修繕積立金の値上げについては、管理組合集会の決議を行う必要があります。負担に不公平が生じている状態では区分所有者の理解を得ることが難しくなる場合があります。

2、管理費を取り損ねるリスクも! 滞納金の時効に要注意

滞納状態の管理費は、速やかに回収を目指すべきです。長期間回収せずに放置していると、時効となり滞納金を回収できなくなるおそれがあるので十分ご注意ください。

  1. (1)管理費の時効期間

    マンションの管理費には消滅時効(一定期間がたつと請求権がなくなる制度)が設けられており、以下のいずれか早い時点で時効が完成します(民法第166条第1項)。

    • ① 債権者(管理組合)が権利を行使できることを知った時から5年
    • ② 権利を行使できる時から10年


    管理費のケースでは、通常は「支払期日に未払いが発生した時点」が①に当たります。そのため実務上は「支払期日から5年」で時効が完成すると考えるのが一般的です。
    消滅時効が完成すると、管理費を回収できなくなってしまいます。その前に、適切な措置を取りましょう。

  2. (2)管理費の消滅時効完成を阻止する方法

    管理費の消滅時効の完成を阻止するためには、時効の「完成猶予」または「更新」の手続きを行います。

    • 時効の完成猶予とは、「消滅時効の完成が一時的に猶予されること」を意味します。
    • 時効の更新とは、「時効期間がリセットされてゼロから数え直すこと」を意味します。


    時効の完成猶予・更新が認められる主なケースは次のとおりです。

    主な時効の完成猶予事由
    【手続きが終了するまで】
    • 訴訟の提起(裁判上の請求)
    • 支払督促の申し立て
    • 訴訟上の和解や調停の申し立て
    • 倒産手続き(破産など)への参加
    • 強制執行(裁判所を通じて財産を差し押さえる手続き)の申し立て
    • 担保権の実行の申し立て
    • 留置権に基づく競売の申し立て
    • 財産開示手続きの申し立て
    • 第三者からの情報取得手続きの申し立て

    【手続きの終了後6か月間】
    • 仮差押え、仮処分
    • 内容証明郵便などによる履行の催告

    【合意時から最長1年間】
    • 協議の合意
    主な時効の更新事由
    (a)以下の手続きによって権利が確定したこと
    • 裁判上の請求
    • 支払督促
    • 訴訟上の和解
    • 調停
    • 倒産手続きへの参加

    (b)以下の手続きが終了したこと
    • 強制執行
    • 担保権の実行
    • 留置権に基づく競売
    • 財産開示手続き
    • 第三者からの情報取得手続き

    (c)権利の承認

    実務で一般的に用いられるのは、内容証明郵便で請求書を送る方法です。
    内容証明郵便が管理費の滞納者に届くと、消滅時効の完成が6か月間猶予されます
    その間に支払いを求め、6か月以内に支払われないようなら訴訟の提起など次の段階に進む必要があります。

マンション管理組合の運営お困りでしたら、ご相談ください
電話で相談する
0120-024-006
平日 9:30〜21:00/土日祝 9:30〜18:00
メールでのお問い合わせ

3、【状況別】管理費を滞納された場合の対応策

区分所有者が管理費を支払わない理由はさまざまで、状況に応じた対応を取ることが、スムーズな回収につながります。滞納者の状況別に、管理費の回収に向けた対応策を解説します。

  1. (1)経済的困難により支払いができない場合

    失業や事業の失敗などにより、経済的に困難な状況に陥ったために管理費を滞納しているケースでは、段階的に次のような対応を検討するとよいでしょう。

    ① 一時的な支払いの猶予や分割払いを検討する
    全額を一度に回収できなくても、一定期間の猶予を設けたり、分割払いを認めたりすることで少しずつ回収する方法があります。

    ② 任意売却を提案する
    どうしても支払いの見込みが立たない場合は、物件の売却を勧めることも検討しましょう。任意売却であれば競売よりも条件が良い場合が多く、滞納者にとってもメリットがあります。

    ③ 強制執行を検討する
    任意売却に応じない場合は、最終的に裁判を経て強制執行(競売)を申し立てることになります。
  2. (2)支払う意思がない場合

    お金があるにもかかわらず、管理費を支払う意思が全くない人に対しては、強硬的な手段も含めた対応を検討すべきでしょう。

    ① 内容証明郵便で請求する
    まずは内容証明郵便で請求書を送付し、自発的な管理費の支払いを求めましょう。

    ② 訴訟を提起する
    請求書を送っても管理費が支払われない場合は、訴訟を提起し、判決で支払義務を確定させます。

    ③ 強制執行をする
    訴訟で管理費の支払いを命ずる判決が確定すると、強制執行によって滞納者の財産を差し押さえられるようになります。滞納者の区分所有建物の競売を申し立てることも可能です。

    滞納者が海外に居住している場合には注意が必要です。裁判所からの書類送達に時間や手続きがかかるほか、海外にしか財産がない場合は、日本の判決を相手国で承認・執行してもらう必要があります。これは国ごとの法律に従うため、実務的には難航するケースも少なくありません。
    したがって、滞納者が国内に所有する区分所有建物を対象に競売を申し立てることが、もっとも現実的な回収手段となります。


    これらの対応は複雑で、専門的な知識と労力を要するため、弁護士のサポートを受けながら行いましょう。

  3. (3)相続が発生している場合

    区分所有者が亡くなった後で管理費が滞納状態になっている場合は、相続について揉めているのかもしれません。相続問題が片付けば、区分所有建物を相続した人が管理費の支払いを再開する可能性があります。
    この場合の基本的な流れは次のとおりです。

    ① 相続人を調査する
    戸籍謄本などを取り寄せて相続人を調べましょう。弁護士に依頼すれば、職務上請求によって戸籍謄本などの取得が可能です。

    ② 相続人に請求する
    相続人が判明したら、速やかに滞納管理費の支払いを求めます。その後の対応は「(1)経済的困難により支払いができない場合」と同様になります。

    ③ 相続人がいない場合の対応
    相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄をした場合には、相続財産清算人(家庭裁判所が選任する相続財産の管理者)が相続物件の管理を行います。区分所有者について、まだ相続財産清算人が選任されていないようであれば、家庭裁判所に選任の申し立てを行いましょう。選任後は清算人を相手に請求を行います。


    参考:「相続財産清算人の選任」(裁判所)

4、マンション管理のトラブル解決を弁護士に依頼するメリット

マンション管理についてトラブルが発生した場合は、速やかに弁護士へ相談しましょう。弁護士に依頼することの主なメリットは、次のとおりです。

  1. (1)滞納者の状況に応じた方法で対応してもらえる

    滞納管理費を回収するためには、滞納者の状況に合わせた対応が求められます。

    本当にお金がないのか、払う気がないだけなのか、相続などのトラブルが発生しているのかなど、状況によってとるべき対応が変わります。
    弁護士に相談すれば、債権回収に関する経験を生かし、滞納者の状況に応じた適切な対応についてアドバイスを受けられます

  2. (2)訴訟などの法的手段を用いて滞納金を請求できる

    滞納が続く場合には、訴訟を提起して支払いを命じる判決を得るなど、法的手段が必要となります。訴訟などの手続きは複雑ですが、弁護士に任せれば適切に進められるだけでなく、管理組合の負担やストレスも大幅に軽減されます

  3. (3)大規模修繕工事に関するトラブルにも対応してもらえる

    マンション管理に当たっては、定期的に大規模修繕を行う必要があります。その際に問題となりやすいのが、区分所有者間の合意形成や施工業者との契約トラブルです。

    弁護士に相談すれば、区分所有者間でスムーズに合意形成を行うためのポイントについてアドバイスを受けられます。また、施工業者とのトラブルを避けるための契約書チェックや、実際にトラブルが起きた場合の対応なども任せられるので安心です

  4. (4)管理規約の作成・チェックも依頼できる

    区分所有者間のトラブルを防ぐためには、管理規約を適切に作成することが大切です。
    弁護士には、管理規約の作成やチェックも依頼できます。弁護士に依頼すれば、新規作成や見直しの段階で法的リスクをチェックでき、将来のトラブルを防ぐことにつながります。

5、まとめ

管理費の滞納は、マンション全体の運営や資産価値に大きな影響を及ぼす深刻な問題です。放置すれば修繕や大規模工事の実施が困難になり、区分所有者間の不公平や不満も生じかねません。
滞納によるトラブルを未然に防止し、発生したトラブルを早期に解決するためには、弁護士に相談することが有効です。

ベリーベスト法律事務所は、マンション管理に関するご相談を随時受け付けております。管理費滞納などのトラブルにお困りの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築・建設に関するトラブルや訴訟問題でお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

同じジャンルのコラム
その他

あなたが抱える
建築・住宅に関するトラブル
ベリーベストにお任せください
初回相談60分無料!
電話でのお問い合わせ
初回相談60分無料!
お電話でのお問い合わせ
0120-024-006
平日 9:30〜21:00/土日祝 9:30〜18:00
24時間お問い合わせ受付中
メールでのお問い合わせ
初回相談60分無料!
電話受付 平日9:30~21:00/土日祝日9:30~18:00
初回相談60分無料
お電話でのお問い合わせ
0120-024-006
まずは電話かメールでお問い合わせください。
電話受付時間 平日 9:30〜21:00/土日祝 9:30〜18:00
※ご相談の内容によって一部有料となる場合がございます。