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    2025年05月22日
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    建設業法とは? 基本的な3つのルールと違反した場合の罰則を解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    建設業法とは? 基本的な3つのルールと違反した場合の罰則を解説

    建設業法とは、建設工事の適正な施工の確保や発注者を保護することで、建設業の健全な発展の促進を目的とする法律です。建設業法は、建設業に携わる施工業者にとって重要な法律になりますので、その内容をしっかりと理解しておくことが大切です。

    建設業法による規制は多岐にわたりますが、大きく分けて、「建設業の許可制」、「建設工事の請負契約に関する規制」、「主任技術者・監理技術者の設置」という3つのルールが定められています。まずは、この3つの基本的なルールを押さえておきましょう。

    今回は、建設業法の概要と基本的な3つのルール、建設業法に違反した場合の罰則について、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

目次

  1. 1、建設業法とは?
    1. (1)建設業法の概要と目的
    2. (2)建設業法の基本的な3つのルール
  2. 2、建設業法の基本的なルール①|建設業の許可制
    1. (1)建設業を営むには許可が必要
    2. (2)建設業の許可には2種類ある|一般建設業・特定建設業
  3. 3、建設業法の基本的なルール②|建設工事の請負契約に関する規制
    1. (1)建設工事の請負契約に定めるべき内容
    2. (2)建設工事の書面の交付(建設業法19条)
    3. (3)現場代理人の選任等に関する通知(建設業法19条の2第1項・3項)
    4. (4)注文者の禁止行為(建設業法19条の3~5)
    5. (5)建設工事の見積もり等(建設業法20条2項・3項)
    6. (6)工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供(建設業法20条の2)
    7. (7)契約の保証(建設業法21条)
    8. (8)一括下請負の禁止(建設業法22条)
    9. (9)下請負人の変更請求(建設業法23条)
    10. (10)工事監理に関する報告(建設業法23条の2)
    11. (11)元請負人の義務(建設業法24条の2~24条の8)
  4. 4、建設業法の基本的なルール③|主任技術者・監理技術者の設置
    1. (1)建設業法は技術者の設置が義務付けられている
    2. (2)建設業法上の技術者には2種類ある|主任技術者・監理技術者
  5. 5、建設業法違反にあたるケースとは? 罰則はどうなる?
    1. (1)建設業法違反にあたるケースとは
    2. (2)建設業法違反の罰則
  6. 6、まとめ

1、建設業法とは?

建設業法とはどのような法律なのでしょうか。以下では、建設業法の概要と基本的な3つのルールを説明します。

  1. (1)建設業法の概要と目的

    建設業法とは、建設工事の適正な施工の確保や発注者を保護することで、建設業の健全な発展の促進を目的とする法律です。

    建設工事に携わる施工業者にとって、建設業法は重要な法律になります。建設業法の内容を理解していなければ、建設業法違反による監督処分や刑事罰を受けるリスクがありますので、しっかりと押さえておきましょう。

  2. (2)建設業法の基本的な3つのルール

    建設業法では、さまざまな規制が定められていますが、大きく分けて以下の3つのルールに分類されます。

    • 建設業の許可制
    • 建設工事の請負契約に関する規制
    • 主任技術者・監理技術者の設置

    この3つの基本的なルールは、建設業に携わる施工業者が押さえておくべき重要なポイントになりますので、以下で詳しくみていきましょう。

2、建設業法の基本的なルール①|建設業の許可制

建設業法の基本的なルールの1つ目は、「建設業の許可制」です。

  1. (1)建設業を営むには許可が必要

    建設業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要になります。
    これは、手抜き工事や粗雑工事による不正工事を防止し、施工業者の倒産などのリスクから発注者を保護することが目的です。

    ただし、以下の軽微な工事については、建設業許可がなくても建設工事を行うことができます。

    • 建築一式工事以外の工事で1件あたりの請負代金が500万円未満の工事
    • 建築一式工事で請負代金が1500万円未満または延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
  2. (2)建設業の許可には2種類ある|一般建設業・特定建設業

    建設業の許可は、下請契約の有無および金額に応じて、一般建設業と特定建設業の2種類に分けられます。

    ① 一般建設業
    一般建設業とは、特定建設業に該当しない建設業です。
    建設業を営む場合には、軽微な工事に該当する場合を除き、一般建設業の許可を取得しなければなりません。これは、元請・下請を問わず必要です。

    ② 特定建設業
    特定建設業とは、発注者から直接工事を請け負い、かつ下請業者への発注金額が4500万円(建築一式工事の場合、7000万円)以上の工事をする場合、特定建設業の許可を取得しなければなりません。なお、特定建設業の許可が必要になるのは、元請業者のみです。

3、建設業法の基本的なルール②|建設工事の請負契約に関する規制

建設業の基本的なルールの2つ目は、「建設工事の請負契約に関する規制」です。規制内容は多岐にわたりますので、以下ではそれぞれの規制のポイントを説明します。

  1. (1)建設工事の請負契約に定めるべき内容

    建設工事の請負契約では、建設業法19条で定められた、工事の内容や請負代金などの事項を定める必要があります。

  2. (2)建設工事の書面の交付(建設業法19条)

    建設工事の請負契約の当事者である施主と施工業者は、建設業法で定められた一定の事項を記載した契約書面を作成し、お互いに署名または記名押印をして交付しなければなりません。

  3. (3)現場代理人の選任等に関する通知(建設業法19条の2第1項・3項)

    施工業者は、工事現場に現場代理人を置く場合、以下について書面などにより通知する必要があります。

    • 現場代理人の権限に関する事項
    • 現場代理人の行為について施主の施工業者に対する意見申し出の方法
  4. (4)注文者の禁止行為(建設業法19条の3~5)

    建設業法では、注文者の以下のような行為が禁止されています。

    • 不当に低い請負代金(通常必要と認められる原価に満たない金額)で契約すること
    • その注文した建設工事に使用する資材もしくは機械器具又はこれらの購入先を指定し、これらを請負人に購入させ、その利益を害すること
    • 通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期にすること
  5. (5)建設工事の見積もり等(建設業法20条2項・3項)

    建設業者は、請負契約を締結する際に、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳、工事の工程ごとの作業、準備に必要な日数を明らかにして、工事について見積もりをするよう求められています。
    また、施主から請求があったときは、請負契約締結前に見積書を交付しなければなりません。

  6. (6)工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供(建設業法20条の2)

    建設工事に関して、以下のような事象が生じ、工期などに影響を及ぼすおそれがある場合、施主は、施工業者に対し、請負契約を締結するときまでに、その旨および事象の状況把握に必要な情報を提供する必要があります。

    • 地盤沈下、地下埋設物による土壌汚染、その他の地中の状態に起因する事象
    • 騒音、振動その他周辺環境に配慮が必要な事象
  7. (7)契約の保証(建設業法21条)

    請負契約において、請負代金の全部または一部を前払いにする場合に、施主は、施工業者に対して、前金の支払いより前に保証人をつけるよう要求することができます。
    ただし、工事1件あたりの請負代金が500万円未満の場合または保証事業会社による工事は対象外です。

  8. (8)一括下請負の禁止(建設業法22条)

    施工業者は、施主から請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせることはできません。

  9. (9)下請負人の変更請求(建設業法23条)

    建設工事について下請負人が著しく不適当だと認められる場合、施主は、施工業者に対して、下請負人の変更を請求することができます。ただし、あらかじめ施主の書面等による承諾を得て選定した下請負人については、変更することができません

  10. (10)工事監理に関する報告(建設業法23条の2)

    施工業者は、建築士から設計図書に従って工事を実施するよう求められたにもかかわらず、設計図書に従わない理由がある場合、直ちに施主に対して、その理由を報告する必要があります。

  11. (11)元請負人の義務(建設業法24条の2~24条の8)

    建設業法では、元請負人に対し、下請請負人への指導、下請代金の支払い、見積条件の提示などの義務が課されています。

4、建設業法の基本的なルール③|主任技術者・監理技術者の設置

建設業法の基本的なルールの3つ目は、「主任技術者・監理技術者の設置」です。

  1. (1)建設業法は技術者の設置が義務付けられている

    建設業法では、工事現場において、建設工事の内容に合致した所定の資格や経験を有する技術者を設置することが義務付けられています(建設業法26条)。
    これは、建設工事を適正に実施するために義務付けられているものであり、技術者は、施工計画の作成、品質確保、工程管理、施工に従事する人への技術上の指導などを行う必要があります。

  2. (2)建設業法上の技術者には2種類ある|主任技術者・監理技術者

    建設業法で設置が義務付けられている技術者には、「主任技術者」と「監理技術者」の2種類があります。

    ① 主任技術者
    主任技術者とは、建設工事の現場における施工状況の管理・監督をする人のことをいいます。
    建設業者は、建設工事の施工に際し、請負金額の大小、元請・下請の別に関わらず、必ず主任技術者を設置する必要があります。

    ② 監理技術者
    監理技術者とは、主任技術者と同様に、建設工事の現場における施工状況の管理・監督をする人のことをいいます。
    特定建設業者は、主任技術者ではなく監理技術者を設置する必要があります。

5、建設業法違反にあたるケースとは? 罰則はどうなる?

以下では、建設業法違反にあたるケースと建設業法違反があった場合の罰則について説明します。

  1. (1)建設業法違反にあたるケースとは

    一例として以下のようなケースが建設業法違反にあたります。

    ・下請業者への丸投げ
    元請負業者が請け負った工事を下請業者に対して丸投げする行為は、建設業法違反となります。工事の一部を下請業者に依頼することはできますが、その場合も適切な工程管理を行うなど、施工管理責任を果たす必要があります。

    ・許可なく定められた額を上回る契約をした
    前述の通り、建設工事を行う場合には、一般建設業許可、特定建設業許可のどちらかが必要です。工事の規模によって必要な許可が異なりますが、許可を得ずに定められた額を超えた工事を契約(受注)することは建設業違反にあたります。

    また建設業許可を取得している場合でも、許可を受けていない他業種の工事を請け負うことは建設業法違反となるので注意が必要です。
  2. (2)建設業法違反の罰則

    建設業法違反があった場合、監督行政庁からの監督処分や刑事罰が科されるリスクがあります。

    ① 監督処分
    建設業法違反にあたる行為をすると、監督行政庁から以下のような監督処分を受ける可能性があります。

    【指示処分】
    指示処分とは、建設業法違反にあたる行為を是正するため、監督行政庁から建設業者に対して命じられる具体的な措置のことをいいます。

    【営業停止処分】
    建設業者が監督行政庁からの指示処分に従わない場合、その営業の一部または全部の停止処分を受けます。
    営業停止期間は、1年以内の期間において、監督行政庁が決定します。

    【許可取消処分】
    営業停止処分中に営業を行った場合、建設業許可を不正手段で受けた場合などに該当した場合、建設業許可が取り消される可能性があります。
    ② 刑事罰
    建設業法違反の内容に応じて、刑事罰が科されます。

    【3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科せられる行為】
    • 建設業許可を受けないまま建設業を営んだ
    • 特定建設業許可を受けていない状況で元請業者となり、4500万円(建築一式工事の場合は7000万円)以上の下請契約を締結した
    • 営業停止・禁止処分を受けているにもかかわらず営業した
    • 虚偽や不正の事実によって許可を受けた

    【6か月以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる行為】
    以下の申請書などの書類に虚偽の記載をした場合
    • 建設業許可申請書
    • 変更届
    • 経営状況分析申請
    • 経営規模等評価申請

    【100万円以下の罰金が科せられる行為】
    • 工事の現場に主任技術者または監理技術者を配置しなかった
    • 土木一式工事、建築一式工事の施工において専任技術者を配置しなかった
    • 建設業許可取消処分または営業停止処分を受けた後、2週間以内に発注者に通知することを怠った
    • 国土交通大臣の求めに応じた報告を行わない
    • 国土交通大臣の求めに応じた中間検査、竣工検査などを拒否したり妨害したり、または忌避した

    【10万円以下の過料が科せられる行為】
    • 廃業などの届け出を怠った
    • 建設工事紛争審査会から求められた調停への出頭に応じなかった
    • 営業所、工事現場などに国土交通省令で定める事項を記載した標識の掲示を怠った
    • 許可を受けていないにもかかわらず、許可を受けた建設業者だと誤認が生じるおそれのある表示をした
    • 帳簿の不備、未記載、虚偽記載、保存をしなかった

6、まとめ

建設業を営む施工業者に対しては、建設業法上、さまざまな規制が適用されますので、違反することがないよう正しく理解しておくことが重要です。

弁護士は法令にのっとった体制整備などのアドバイスや、万が一違反してしまった場合にも対応についてのアドバイス・サポートが可能です。建築トラブルの解決には弁護士のサポートが有効ですので、まずは弁護士にご相談ください。

建設業法に関する相談ができる弁護士をお探しの建設業者の方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
ベリーベスト法律事務所は、北海道から沖縄まで展開する大規模法律事務所です。
建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築・建設に関するトラブルや訴訟問題でお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

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