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    2025年03月19日
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    建設業法と下請法の違いや、法令順守のポイントを弁護士が解説
    監修者:萩原達也 代表弁護士(東京第一弁護士会所属)
    建設業法と下請法の違いや、法令順守のポイントを弁護士が解説

    建設工事に携わる場合、一般的な建設工事の下請負(建設工事の再委託)には建設業法が適用されますが、資材の製造を委託する場合には製造委託として、設計や図面の作成を委託する場合には情報成果物作成委託として、下請法が適用されることになります。

    建設業者は両者の違いを正しく理解しておきましょう。

    本記事では、建設業法と下請法の違いについて、建設業法を中心に、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

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1、一般的な建設工事の下請負では建設業法が適用され、下請法は適用されない

建設業法は、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進することという目的のために、建設業者に対する規制を定めた法律です。
そして、下請法(正式名称:下請代金支払遅延等防止法)は、親事業者と下請け事業者の取引を公正化するため、親事業者に対する規制を定めた法律です。

建設業法は、主に建設工事の請負契約および建設業者を対象としています。
これに対して下請法は、資本規模で勝る事業者を発注者、資本規模で劣る事業者を受注者とする取引に幅広く適用されます。

規制の内容にも、建設業法と下請法の目的やターゲットの違いが表れています。
建設業法は建設業に特有の事項を定めているのに対して、下請法では親事業者による下請け事業者の搾取を防ぐための一般的な規制が定められています。
なお、建設工事関係で下請法が適用されるのは、資材の製造を委託したとき(製造委託)と、設計や図面を委託したとき(情報成果物作成委託)に限られます。

次の項目から、建設業法を詳しく解説しますので、ご参照ください。

2、建設業法が適用される取引・主な規制内容

建設業を営むためには、許可が必要です。
そして、建設業法が適用される取引は、建設工事の請負契約です。

  1. (1)建設業法が適用される取引

    建設業法は、建設工事の請負契約に対して適用されます。

    「建設工事」とは、土木建築に関する工事であって、以下のものをいいます(建設業法第2条第1項、別表第1)。

    1. 1. 土木一式工事
    2. 2. 建築一式工事
    3. 3. 大工工事
    4. 4. 左官工事
    5. 5. とび・土工・コンクリート工事
    6. 6. 石工事
    7. 7. 屋根工事
    8. 8. 電気工事
    9. 9. 管工事
    10. 10. タイル・れんが・ブロック工事
    11. 11. 鋼構造物工事
    12. 12. 鉄筋工事
    13. 13. 舗装工事
    14. 14. しゅんせつ工事
    15. 15. 板金工事
    16. 16. ガラス工事
    17. 17. 塗装工事
    18. 18. 防水工事
    19. 19. 内装仕上工事
    20. 20. 機械器具設置工事
    21. 21. 熱絶縁工事
    22. 22. 電気通信工事
    23. 23. 造園工事
    24. 24. さく井工事
    25. 25. 建具工事
    26. 26. 水道施設工事
    27. 27. 消防施設工事
    28. 28. 清掃施設工事
    29. 29. 解体工事

    施主が上記いずれかの建設工事を発注し、施工業者がその完成を請け負う取引が、建設業法の適用対象です。

  2. (2)建設業は許可制

    建設工事の完成を請け負う営業(=建設業)を行おうとする者は、原則として上記1~29の種類ごとに、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければなりません(建設業法第3条)。

    また、建設業は「特定建設業」と「一般建設業」の2種類に分かれています。
    特定建設業は、4500万円以上(建築一式工事の場合は7000万円以上)の下請け契約を締結して建設工事を施工する建設業です。
    一般建設業は、特定建設業に該当しない建設業です。

    特定建設業の許可を受けた事業者(特定建設業者)は、一般建設業と特定建設業の両方を行うことができます。これに対して、一般建設業の許可を受けた事業者(一般建設業者)は、一般建設業のみを行うことができます(同法第16条)。

3、建設業者の主な順守事項とペナルティー

建設工事の請負契約に関して、当事者は主に以下の事項を順守する必要があります。順守しない場合は、行政からのペナルティーを受ける恐れがありますので、注意が必要です。

  1. (1)建設業者の主な順守事項

    ① 建設工事請負契約書の作成(建設業法第19条)
    建設工事請負契約の締結に当たっては、所定の事項を記載した書面または電磁的記録を作成しなければなりません。

    ② 現場代理人の選任等に関する通知(同法第19条の2)
    請負人が工事現場に現場代理人を置いたり、注文者が工事現場に監督員を置いたりする場合、相手方に対して所定の事項を通知しなければなりません。

    ③ 注文者の禁止事項(同法第19条の3~第19条の5)
    請負人に対する不当な搾取を防ぐため、注文者による以下の行為が禁止されています。
    ・不当に低い請負代金の設定
    ・不当な使用資材等の購入強制
    ・著しく短い工期の設定

    ④ 建設工事の見積もり等(同法第20条)
    建設業者は、経費の内訳、工事の工程ごとの作業および準備にかかる日数をはっきりさせて、工事の見積もりを行うよう努めることとされています。
    また、注文者から見積書を出すように言われた場合には、請負契約の締結前に見積書を交付しなければなりません。

    ⑤ 工期等に影響を及ぼす事象に関する情報提供(同法第20条の2)
    地盤沈下など工期または請負代金の額に影響を及ぼす事象が発生するおそれがあるときは、注文者は建設業者に対し、契約締結前に必要な情報を提供しなければなりません。

    ⑥ 契約の保証(同法第21条)
    注文者が請負代金の一部を前払いするときは、原則として建設業者に対し、支払いの前に保証人を立てることを請求できます。

    ⑦ 一括下請負の禁止(同法第22条)
    建設業者は原則として、請け負った建設工事を一括して他人に請け負わせてはなりません。

    ⑧ 下請人の変更請求(同法第23条)
    下請負人が著しく不適当と認められるときは、注文者は原則として、請負人に対してその変更を請求できます。

    ⑨ 工事監理に関する報告(同法第23条の2)
    建築士から設計図書どおりに工事を実施するよう求められたにもかかわらず、これに従わない理由があるときは、請負人は直ちに注文者へその理由を報告しなければなりません。
  2. (2)建設業法に違反した事業者に対するペナルティー

    建設業者が建設業法に違反した場合は、国土交通大臣または都道府県知事から是正指示を受けることがあります(建設業法第28条第1項・第2項・第4項)。
    指示に従わないと、1年以内の営業停止処分を受けるおそれがあります(同条第3項・第5項)。
    さらに、かなり建設業法から逸脱している場合や、営業停止処分に反して営業を続けた場合は、建設業の許可を取り消されるおそれがあるので注意が必要です(同法第29条第1項第8号)。

    また、無許可での建設業や営業停止処分違反、検査の拒否・妨害・忌避などの違反行為は刑事罰の対象とされています(同法第47条、第52条、第53条)。

4、法令順守を徹底するには、弁護士に相談を

建設業者が建設業法や下請法を正しく順守するためには、弁護士に相談しましょう。

弁護士に相談すれば、建設業に関連する最新の法令にのっとったアドバイスを受けられます。
また、施主との建築訴訟その他のトラブル対応や、人事労務・契約書のチェックなどについても幅広くサポートを受けられます。

弁護士と顧問契約を締結すれば、建設業の運営に関していつでも相談することが可能です。コンプライアンスを強化したい建設業者は、顧問弁護士との契約をご検討ください。

5、まとめ

建設業法は一般的な建設工事に対して適用される、建設業者にとって、最も身近な法令です。また、適用される場面は限られていますが、下請法も、建設業者が行う委託に対して適用される場合があります。建設業者は、弁護士のアドバイスを受けながら、建設業法と下請法の順守に努めましょう。

ベリーベスト法律事務所は、建設業者からの法律に関するご相談を随時受け付けております。建設業法や下請法について分からないことがある建設業者は、ベリーベスト法律事務所へご相談ください。

監修者情報
萩原達也 代表弁護士
萩原達也 代表弁護士
弁護士会:第一東京弁護士会
登録番号:29985
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建築問題の解決実績を積んだ弁護士により建築訴訟問題専門チームを組成し、一級建築士と連携して迅速な問題解決に取り組みます。
建築・建設に関するトラブルや訴訟問題でお困りの際は、お電話やメールにてお問い合わせください。

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