【ニュース解説】アスベスト解体作業で事故相次ぐ|安全管理と補償制度に課題
- アスベスト健康被害
【ニュース】建物解体に伴うアスベスト除去作業では、密閉空間での一酸化炭素中毒や有機溶剤による事故が相次いでいます。
安全管理の徹底と「石綿健康被害救済法」などの補償制度の周知が求められています。
ニュース概要
建物解体に伴うアスベスト(石綿)除去作業をめぐり、全国で事故や工期の遅延が相次いでいます。アスベストの粉じん飛散を防ぐため、作業は原則として密閉空間で実施されますが、その環境下で二次的な事故が発生する事例が目立っています。
2025年3月、東京都内のビル解体現場では、密閉空間で発電機を使用した作業中に16人の作業員が一酸化炭素中毒となり搬送されました。4月には大阪市内の現場で、有機溶剤を用いた除去作業中に女性作業員が死亡する事故も発生しました。さらに、5月には大阪府堺市の住宅解体現場でアスベストを除去するための作業中に3人が倒れ、1人が意識不明の重体となっています。
また、札幌市の再開発事業に関連して閉館した商業施設「エスタ」では、外壁部分にもアスベストが含まれていることが判明。当初予定されていた解体工事は遅れ、来年度以降にずれ込む見込みです。
アスベストは吸入により中皮腫や肺がんを発症する危険があるため、粉じんの飛散防止措置や密閉空間での除去が義務付けられています。しかし、閉ざされた空間での作業は労働環境を厳しくし、今回のように一酸化炭素中毒や薬品事故といった二次的な災害につながりやすいのが現状です。さらに、長期的にはアスベスト粉じんの吸入による健康被害も大きな問題となります。
アスベスト粉じんの吸入により健康被害を受けた解体工に対しては、「労働者災害補償保険法」や「石綿健康被害救済法」に基づき、医療費や療養手当、遺族補償金などの救済措置が設けられています。
国土交通省によれば、アスベストを含む建築物の解体は2028年度にピークを迎える見込みです。建造物解体による事故の増加が懸念されており、解体現場における安全対策や法制度の適切な運用が引き続き課題とされています。
アスベスト専門チーム所属弁護士が、ニュースのポイントを解説
アスベストは鉱物の一種であり、熱、摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫で変化しにくいため、「奇跡の鉱物」と言われ、様々な用途で活用されてきました。建築物にも多く使用されていたため、現在でもアスベストを使用した建築物は多数残っています。
それらの建築物は解体の際、アスベストの有害性に対する対策として、アスベスト粉じんが飛散しないよういくつかの対策をとる義務があります。一方でこの対策が原因となりニュース記事のように重大事故が発生してしまうこともあります。
アスベストを使用した建築物の解体は、今後増えていくことが予想されますので、雇用主としてはこのようなアスベストの有害性への対策をしたために発生しうる、従業員への危険を把握し、従業員の安全を守る必要があるでしょう。
仮に雇用主の怠慢により従業員が健康被害を被った場合には、会社に対する安全配慮義務違反の責任を追及することができるかもしれません。そのような場合には、ぜひ一度ベリーベスト法律事務所にご連絡ください。
またアスベストを使用した建築物の解体がピークを迎えるということは過去にアスベス使用した方がそれだけ多かったということです。過去にアスベスト粉じんを吸った方については、そのとき病気が発症していなくても最近になってアスベストに関連する病気が発症してしまった方もいるかもしれません。
そのような方については、アスベストに関する健康被害を受けた人のための救済制度の案内や責任追及のお手伝いが可能かもしれません。
ベリーベスト法律事務所では、アスベスト被害を受けられた方の相談や依頼を多数受けていますのでお気軽にご相談ください。
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