【ニュース解説】建設アスベスト訴訟|東京・大阪で相次ぎ建材メーカーとの大規模和解成立
- アスベスト健康被害
【ニュース】建設現場での石綿(アスベスト)被害を巡る訴訟で、令和7年8月に東京高裁と大阪高裁で和解が成立。
東京訴訟では総額約51億円、大阪訴訟では約12億円を建材メーカーから支払うことが合意されました。
ニュース概要
令和7年(2025年)8月7日、建設現場で働いていた際にアスベストを含有した建材を使用するなどしていた方がアスベストにより健康被害を受けたとして、建材メーカー等に対して損害賠償を求めて起こした訴訟について、東京高等裁判所において「東京1陣訴訟」「東京2陣訴訟」で、建材メーカーとの間で和解が成立しました。
東京1陣では、一審原告372名中332名に対し、7社が総額約40億円の和解金を支払う内容の合意がされました。また、東京2陣では、一審原告131名中114名に対し、5社から総額約11億円の和解金を支払う内容の合意がされました。
翌8月8日、大阪高等裁判所でも「大阪2陣訴訟」「大阪3陣訴訟」に関し、建材メーカーとの間で和解が成立しました。12社が被災者67名に対して総額約12億4676万円の解決金を支払う内容の合意がされました。
これら東京および大阪での連続した和解成立は、いずれも提訴から長期間が経過しており、すでに多くの被災者が亡くなっているという現状を踏まえたうえでの集団的な早期解決に向けた重要な前進です。ただし、一部の被災者(屋外作業者、解体作業者等)に関する責任が否定されており、依然として救済に不均衡が残ることへの懸念も指摘されています。
アスベスト専門チーム所属弁護士が、ニュースのポイントを解説
かつて建設現場ではアスベストを含んだ建材が多く使用されていました。建材を切断するなどした際にその粉じんを吸いこんでしまったことで、肺がんなどの重い健康被害が生じた方がいました。そうした被災者やそのご遺族の方々が、建材を製造販売していた建材メーカーに対して損害賠償を求めて各地で裁判を起こしていました。
裁判の中で、被災者たちは、建材メーカーが建材を製造販売する際にアスベストの危険性について適切な警告を建材に表示しなかったということなどを主張しました。
最高裁判所によって建材メーカーの責任が認められたものもあるのですが、その後も、多くの訴訟で被災者たちと建材メーカーが責任の有無などを巡って争われています。
今回の和解は、被災者たちと建材メーカーとの間の初めての大規模な和解といえるでしょう。裁判によっては、裁判所に提起されてから10年を超えるものもあり、被災者たちへの被害救済がなかなか進まない現状があります。
今回の和解をきっかけにして、建材メーカーから速やかに賠償が受けられるような運用や仕組み作りへと機運が高まれば、と期待されます。
とはいえ、現状は、裁判の手続を進めて、その中で多くの資料を確認し、多くの争点について的確に主張していくことが必要であるため、弁護士の対応が必要なことが多いかと思われます。
ご自身やご家族が建設現場で働いていたという方は、ベリーベスト法律事務所にご相談いただきたいと思います。
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