アスベストの健康被害に遭った! 企業や国に責任を問いたい! 何をすべき?
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仕事中にアスベストを吸い込んだことで健康被害を受けた人は、当時の使用者や建材メーカーなどの企業責任を追及し、損害賠償金を得られる可能性があります。また、国の責任も追及し、国から給付金や賠償金を受け取れることもあります。
しかしながら、アスベスト健康被害を受けた方に向けての給付金制度や賠償請求は大変複雑です。アスベストの健康被害を受けた方が正当な賠償を受けるためには、弁護士のサポートを受けることをおすすめします。
本記事では、アスベストの健康被害を受けた方が企業に対して追及できる責任などを、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。
1、アスベスト健康被害に関する企業責任①|雇用主等の安全配慮義務違反
アスベストは人体に有害であることが広く知られるようになって以降、アスベストを取り扱う企業は、作業に従事する従業員や一人親方がアスベストを吸い込まないような措置を講じる義務を負っていたと考えられます。
したがって、工場や建設現場などでアスベストを吸い込んで健康被害を生じた方は、作業に従事していた当時の雇用主や元請け事業者などに損害賠償を請求し、勝訴すれば損害賠償金を受け取れる可能性があります。
雇用主等がアスベスト健康被害者に対して負う責任の種類は、主に「安全配慮義務違反」です。
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(1)アスベスト健康被害に関する安全配慮義務違反とは
【安全配慮義務とは】
「安全配慮義務」とは、雇用する労働者(従業員)が生命や身体などの安全を確保しつつ労働することができるように、必要な配慮をする義務です。労働契約法第5条により、使用者には安全配慮義務が課されています。
アスベストに関しては、人体への危険性が認識されるようになって以降、使用者の安全配慮義務の一環として、労働者がアスベストを吸い込まないようにする必要があったと考えられます。具体的には、防じんマスクの着用指示をする、アスベストがまき散らされないように局所排気装置を設置するなどの対策を徹底しなければなりません。
工事をとりまとめる事業者が上記のような対応を怠った結果、作業従事者がアスベストを吸い込んで健康被害を生じた場合には、事業者は安全配慮義務違反に基づき、作業従事者の損害を賠償しなければなりません。 -
(2)安全配慮義務違反を追及できるアスベスト健康被害者の範囲
雇用主等の安全配慮義務違反を追及できる可能性があるのは、たとえば以下のような人です。
- アスベスト製品の製造、加工等を行う工場で、アスベストを取り扱う作業に従事していた人
- 直接アスベストを取り扱ってはいないが、アスベスト製品の製造、加工を行う工場の事務員や出入り業者などアスベストを間接的に吸った人
- アスベストを使用している建物の建設現場や解体現場において、その建物の屋内で作業を行っていた人(屋外で作業していた方も認められる場合があるが、完全に屋外で作業していた場合は認められない可能性あり)
- アスベストを使用している船の製造や解体作業を屋内で行っていた人
雇用されて作業に従事していた人に加えて、建設現場で業務委託を受けていた一人親方も、委託者である事業者の安全配慮義務違反を追及する余地があります。
アスベスト健康被害について、雇用主等の安全配慮義務違反が認められるか否かは、吸引の時点において、アスベストの危険性や対策の必要性が認識されていたか否かなどを考慮して決まります。
多くの裁判例が、昭和33年ないし昭和35年以降、企業の責任を認めているとも報告されています。
賠償金·給付金申請手続きは
おまかせください
2、アスベスト健康被害に関する企業責任②|建材メーカーの不法行為責任
建設現場で働いたことによって、アスベストによって健康被害を生じた人は、アスベストを含んだ建材を作ったメーカーに対して、不法行為に基づく損害賠償を請求できる可能性があります。
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(1)アスベスト健康被害に関する建材メーカーの過失とは
過去の一定の時期までは、多くの建材にアスベストが含有されていました。その一方で、アスベストの人体に対する危険性は、社会的に広く知られるようになっていきました。
遅くとも昭和50年頃までには、建材メーカーにおいてアスベストの危険性を予見できる状態になっていたと考えられます。
それ以降、アスベストを含有する建材(石綿含有建材)を製造していたメーカーは、- ① 当該建材がアスベストを含有していること
- ② アスベストの粉じんにばく露すると、重篤なアスベスト関連疾患を発症する危険があること
- ③ 常時適切な防じんマスクを確実に着用する必要があること
- ④ 周辺作業者にも防じんマスクを着用させる必要があること
等を明確かつ具体的に表示して警告をする義務を負うと解されています。
上記のような警告表示を怠った結果、建材を取り扱う者がアスベストを吸い込んで健康被害を生じた場合には、その健康被害について建材メーカーの過失が認められます。
この場合、建材メーカーは被害者に対し、不法行為に基づいて損害を賠償しなければなりません。 -
(2)アスベスト健康被害者が建材メーカーの責任を追及するための要件
建材メーカーの不法行為責任が認められるためには、アスベストに関する警告表示を怠ったことについて過失があることが必要です。
最高裁判例を含む裁判例の傾向では、アスベストの危険性を十分予見できたと考えられる昭和50年頃~平成18年8月31日までにアスベストを吸い込んだ場合は、建材メーカーの責任を認めるケースが多くなっています。
ただし、風などの自然換気によってアスベストの濃度が薄まる屋外作業や、警告表示を直接視認することがない解体作業に従事していた場合は、現在、建材メーカーの損害賠償責任が認められていません。
3、アスベスト健康被害に関する企業責任③|建物賃貸人の工作物責任
アスベストが使用された建物を借りていた人(賃借人)が、アスベストを吸い込んで健康被害を生じた場合には、貸主に対して工作物責任に基づく損害賠償を請求できる可能性があります。
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(1)アスベスト健康被害に関する工作物責任とは
「工作物責任」とは、土地の工作物の設置または保存の瑕疵(かし)によって生じた損害を、その工作物の占有者または所有者が賠償する責任です(民法第717条)。
アスベストが使用されている建物については、その危険性が広く認識されるようになって以降、安全の観点から飛散防止等の措置を講じる必要があったと考えられます。
もし飛散防止等の措置がされていなければ、その建物には瑕疵があるということになります。
この場合において、飛散したアスベストを吸い込んだ賃借人(入居者)が健康被害を生じたときは、建物の貸主が占有者または所有者として、工作物責任に基づき、賃借人の損害を賠償しなければならない可能性があります。 -
(2)アスベスト健康被害について賃貸人の工作物責任が認められた裁判例
大阪高裁平成26年2月27日判決は、吹き付けアスベストが露出している店舗建物において、賃借人の従業員として昭和45年から平成14年まで勤務していた者が、勤務中にアスベストを吸い込んで悪性胸膜中皮腫を発症し、後に自死を余儀なくされたケースについて裁判所が判断を下したケースです。
大阪高裁は以下の事情などから、昭和63年2月頃には建物が通常有すべき安全性を欠くに至ったと認定しました。- 昭和62年に全国紙が相次いで吹き付けアスベストの危険性を報道し、全国各地で除去工事が行われるようになったこと
- 昭和62年11月に、建設省が耐火構造の指定から吹き付けアスベストを削除したこと
- 昭和63年2月に、環境庁と厚生省が都道府県に対し、吹き付けアスベストの危険性を公式に認めて、建物所有者への指導を求める通知を発したこと
結論として大阪高裁は、建物賃貸人の工作物責任を認め、被害者遺族に対して総額約6000万円の損害賠償の支払いを命じました。
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4、アスベスト健康被害を受けた方は、国の責任も追及できる
業務の中でアスベストを吸い込んで健康被害を受けた人は、国に対しても賠償等を求めることができる可能性があります。
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(1)アスベスト健康被害者が国から賠償等を受ける主な方法
アスベストで健康被害を受けた方が国から賠償を受ける方法は、「給付金の申請」と「国家賠償請求」の2つに分かれます。
給付金は、国の制度として設けられているものです。
健康被害の症状やアスベストを職場で吸っていたかなど条件に応じて、制度上定められた額の給付金を受け取ることができます。
具体的には、以下の給付金を申請できる可能性があります。① 労災保険給付
業務上の原因によって疾病を発症した場合などに受けられる給付金です。業務上アスベストを吸った場合で、石綿肺、中皮腫、原発性肺がん、良性石綿胸水、びまん性胸膜肥厚になったと認められる場合には、労災として認定される可能性があります。
※なお、石綿肺の場合は、労災保険給付の請求を行うよりも先に「じん肺管理区分決定」を受ける必要があります。
② 石綿健康被害救済法に基づく給付金
アスベストによって一定の健康被害に遭った方やその遺族を対象とする給付金です。
③ 建設アスベスト給付金
建設現場において一定の作業に従事していた方がアスベストを吸い、健康被害を受けた人やその遺族を対象とする給付金です。最高裁が国の責任を認めたことを受けて法律が作られ、制度が設けられました。
これに対して国家賠償請求は、裁判を通じて国の責任を追及するものです。通常の裁判と同じように、国に対して裁判を起こします。裁判所によって審理が行われ、国の責任が認められた場合には、賠償金を受け取ることができます。
特に、アスベスト工場(石綿工場)におけるアスベスト健康被害については、裁判所の訴訟を通じた和解手続きが想定されています。 -
(2)企業と国の責任を両方追及するメリット
国から給付金や賠償金を受け取れる場合でも、それとは別に雇用主等の企業責任を追及することには意味があります。
アスベスト健康被害については多くの場合、国から支払われる給付金や賠償金が定型化しています。実際の損害額にかかわらず一定額が支払われるため、被害者は十分な賠償を受けられるとは限りません。
企業責任が認められれば、国から受け取ったお金だけでは足りない部分について、責任を負う企業から支払いを受けることができます。
アスベスト健康被害について十分な賠償を求めるなら、企業と国の責任を両方追及することをご検討ください。
5、アスベスト健康被害者ができる請求は状況次第|弁護士に相談を
アスベストによる健康被害については、被害者やその遺族、弁護団の長年にわたる努力が実り、現在では給付金や賠償に関する制度等が充実しています。
ご自身や亡くなったご家族がアスベスト健康被害者であると思われる場合は、ぜひ早めに弁護士へ相談し、給付金の申請や賠償請求ができるかどうかをご検討ください。
アスベスト健康被害に対する給付金や賠償の制度等は入り組んでおり、被害者や遺族の状況によって利用できる制度や請求の内容が異なります。
具体的には、以下のような要素を分析したうえで、的確なアプローチによって対応を進めることが大切です。
- アスベストに触れる機会はどんなものだったか(仕事で取り扱っていた、周辺にアスベスト工場があったなど)
- 仕事で取り扱っていた場合、どのような業務を行っていたか(アスベスト工場での勤務、建設工事、解体工事など)
- アスベストを取り扱う業務に従事していた期間
- アスベストが原因であると疑われる病気を発症しているか、その進行度はどの程度か
- 被害者は存命か、それとも亡くなっているか
どのようなアプローチで給付金や賠償の請求を進めるべきかは、一般の方では判断が難しいでしょう。
ベリーベスト法律事務所の弁護士にご相談いただければ、お客さまのご状況を丁寧に伺ったうえで、的確な対応の進め方をアドバイスいたします。
6、アスベスト健康被害を受けた方が早めに弁護士へ相談したほうがいい理由
ご自身やご家族が「アスベスト健康被害者では?」という疑いがあるなら、1日も早く弁護士へ相談することをおすすめします。その主な理由は、以下のとおりです。
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(1)制度によって異なる期限を適切に管理できる
アスベスト健康被害者のための給付金や賠償請求には、それぞれ期限があります。
制度によって期限はバラバラなので、まずはいつまでに何をすればいいのかを整理することが大切です。
弁護士にご相談いただければ、お客さまのご状況を踏まえてスケジュールを立て、要件を満たす制度を漏れなく利用できるようにサポートできます。 -
(2)どの制度を利用できるのかを適切に判断できる
前述のとおり、アスベスト健康被害に関する給付金や賠償の制度は非常に入り組んでいます。どの制度を利用できるのか、ご本人が正しく判断するのは非常に大変です。
弁護士であれば、制度に対する正しい理解と経験を基に、どの制度を利用できるのかを正しく判断することができます。 -
(3)国と企業の両方の責任を適切に追及できる
アスベスト健康被害者が十分な賠償を受けるためには、国に加えて、雇用主等の企業責任を追及することも検討すべきです。
複数の請求を行う場合は、その手順や進め方などについて慎重な検討を要します。経験を積んだ弁護士であれば、十分な賠償を受けることにつながるアプローチが何かを的確に判断できます。 -
(4)弁護士であれば、複雑な手続きの大部分を代行できる
弁護士にご依頼いただければ、アスベスト健康被害に関する給付金や賠償の請求に必要な手続きの大部分を代行いたします。
請求に当たって提出する資料はお客さまに集めていただくこともありますが、弁護士がその方法を詳しくアドバイスするなど、親身になってサポートいたします。
日常生活や病気の治療に専念できるようになる点は、弁護士に依頼することの大きなメリットのひとつです。
7、アスベスト健康被害に関するご相談はベリーベスト法律事務所へ
ベリーベスト法律事務所では、アスベスト健康被害者やそのご家族からのご相談を随時受け付けております。
相談料と着手金は、原則として無料です。給付金や賠償金などを受け取ることができた場合のみ、事務手数料と報酬金を後払いでいただきます。
電話での相談も受け付けているので、ご自宅からも便利にご利用いただけます。ご自身やご家族がアスベスト健康被害者かもしれないと心当たりのある方は、ぜひ当事務所へご相談ください。
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