弁護士コラム

アスベストを吸ったことによる「健康被害」が不安な場合に知っておくべきこと

2022年09月27日
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アスベストを吸ったことによる「健康被害」が不安な場合に知っておくべきこと

アスベスト(石綿)を長期間にわたって大量に吸い込むと、さまざまな疾病をひき起こす可能性があることが知られています。

アスベストが原因で発症する疾病は、数十年という長い潜伏期間を経て発症するため、過去にアスベストを取り扱う工場や建設現場で働いていた方は、今後の健康被害に注意する必要があります。

本コラムでは、アスベストを吸ったことで不安を感じている方が知っておくべきことや、発症した場合に受けられる補償などについて解説します。

1、アスベストに関する基礎知識

まずは、アスベストとはどのようなものであり、どのような危険性があるのかについて、改めて確認していきましょう。

  1. (1)アスベストとは

    アスベストとは、天然にできた繊維状の鉱物で、「石綿(せきめん、いしわた)」とも呼ばれます。耐火性・耐熱性・電気絶縁性などに優れているとともに加工しやすいことから、安価な工業材料として多種多様な建材や工業製品に使用されてきました。

    高度経済成長期には、さまざまな場所・ものにアスベストが使用されていましたが、昭和50年(1975年)から段階的に使用が規制され、平成18年(2006年)9月以降は一部の例外を除き全面的に使用が禁止されています。

  2. (2)アスベストが、なぜ疾病をひき起こすのか

    アスベストは非常に細かい繊維であるため、空中に浮遊しやすいという性質があります。そのため、工場や建設現場での加工や吹付作業によって浮遊したアスベスト粉じんを、労働に従事していた方は知らずに吸い込んでいたと考えられます。

    アスベストは吸い込んだとしても、一部は咳や痰に混じり排出されます。しかし、すべてが排出されるとは限らず、排出されなかった繊維は肺の中にとどまり続けます。
    アスベストの繊維は体内で分解されません。肺の組織に沈着した繊維が炎症をひき起こし、長期間にわたって肺の組織を傷つけることで肺の線維化が生じます。また、活性酸素が発生することでDNAが損傷をうけ、遺伝子異常が起こり、細胞が『がん化』する可能性があると考えられています。

  3. (3)どれくらいアスベストを吸うと発病のリスクが高まる?

    中皮腫や肺がんなどについては、アスベストを吸った量と発病の間に、相関関係が認められています。
    しかし、具体的にどれだけのアスベストを吸い込むと病気になるのかについては、明らかになっていません。

2、アスベストを吸うことで発症する可能性がある代表的な病気

アスベストを吸うと、さまざまな疾病を発症する可能性がありますが、具体的にどのような疾病を発症するおそれがあるのでしょうか。確認していきましょう。

● 石綿肺
肺が線維化して固くなる「じん肺」という病気のうち、アスベストを吸ったことで発症するじん肺のことを「石綿肺」といいます。業務でアスベスト粉じんを10年以上吸入した場合に発症するといわれています。潜伏期間は15~20年といわれています。

● 肺がん(原発性肺がん)
気管支や肺胞を覆う上皮に発生する悪性腫瘍です。発症するまでの潜伏期間は15~40年といわれています。肺の細胞の中に取り込まれたアスベスト繊維の刺激によって肺がんが発生するとされていますが、そのメカニズムは十分には解明されていません。喫煙などアスベスト以外の原因による発症も多くあります。

● 中皮腫
胸膜、心膜、腹膜などに発生する悪性腫瘍です。中皮腫の、男性発症者の約8割に職業的なアスベストばく露が認められています。潜伏期間は20~50年と非常に長いです。肺がんと異なり、喫煙と中皮腫発症との関連は見られません。

● びまん性胸膜肥厚
肺を覆っている胸膜が、慢性的な炎症により線維化し厚くなっていくことで、肺が膨らまなくなり呼吸機能が低下していく病気です。潜伏期間は30~40年といわれています。

3、アスベスト健康被害が疑われる場合の対応方法

吸い込んだアスベストは、咳や痰に混じり体外に排出されます。しかし、大量に吸い込んでいる場合は、排出されないまま体内に残り続けます。
過去にアスベストを扱う業務に従事しており、大量のアスベストを吸ってしまった場合、肺にアスベストが滞留している可能性がありますが、残念ながらそれらを除去することは難しいのが現状です。

過去に、アスベストを扱う業務に従事していた場合は、年に1回は健康診断を受け、胸部エックス線検査を受けるとよいでしょう。定期健康診断等では見過ごされるおそれもあるので、労災病院等の専門的な医療機関を受診する方が望ましいといえます。

また、発症した場合は早期に治療を受け、症状の進行を食い止めることが極めて重要となります。以下のような症状に心当たりがあるときは、早急に労災病院等の専門的な医療機関で診察を受けましょう。目立った自覚症状が出ないケースもありますので、ご心配な方は医療機関を受診されるとよいでしょう。

  • 息切れがひどくなった
  • 息が苦しい
  • 胸が痛い
  • 咳が続く
  • 背中が痛い
  • 胸部に圧迫感がある
  • 原因不明の熱が続いている
  • 体重が急に減ってきた
  • 血痰がでる

〈 参考 〉厚生労働省 アスベスト(石綿)に関するQ&A

なお、喫煙は原発性肺がんの危険性が高くなるとされているので、喫煙習慣がある方は禁煙することをおすすめします。

4、アスベストが関与する病気を発症した場合に受けられる補償等

過去に従事した業務が原因でアスベストに関連する疾病を発症した場合には、さまざまな補償等を受けられる可能性があります。

  1. (1)労災保険

    アスベストに、ばく露する仕事に従事していたときに、労災保険に加入(または特別加入)していた場合は、労災保険給付を受けられる可能性があります。

    給付を受けるためには、労働基準監督署へ申請が必要です。アスベストを取り扱う仕事に従事したことによって、石綿肺・肺がん・中皮腫、びまん性胸膜肥厚・良性石綿胸水を発症したこと(業務上疾病であること)が認められた場合は、労災保険給付を受けることができます。

  2. (2)石綿健康被害救済給付金

    労災保険の対象とならない方や、時効により労災保険給付の申請ができない方は、石綿健康被害救済法に基づく給付金を受けられる可能性があります。

    給付金の対象となるのは、次の「指定疾病」に該当した場合です。

    • 肺がん
    • 中皮腫
    • 著しい呼吸機能障害を伴う石綿肺
    • 著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚

    ※良性石綿胸水は対象外

    必要書類をそろえて独立行政法人環境再生保全機構、環境省地方環境事務所、保健所等に申請し認定されると、給付を受けることができます。

  3. (3)国からの賠償金(工場型)

    アスベスト製品を取り扱う工場等で働いていた方は、国に対して訴訟を起こし和解することで、国から賠償金を受け取れる可能性があります。
    訴訟で所定の要件を満たすことが確認されると、国から和解金として550万円~1300万円の範囲内で賠償金が支払われます。賠償金額は、疾病や病態によって決まります。

    ただし、国との和解を成立させるためには、次の要件をすべて満たす必要があります。

    • 昭和33年(1958年)5月26日から昭和46年(1971年)4月28日までの間に、局所排気装置を設置すべき石綿工場内において石綿粉じんにばく露する作業に従事したこと
    • 業務に従事した結果、アスベストが原因で、中皮腫、肺がん、石綿肺、びまん性胸膜肥厚などを発症したこと
    • 提訴の時期が損害賠償請求権の期間内であること
  4. (4)国からの給付金(建設型)

    建設現場で働いていた方で一定の要件を満たす場合は、国から給付金(建設アスベスト給付金)を受け取れます。給付金の額は、疾病や病態に応じて550万円~1300万円の範囲内で決まります。

    満たすべき要件は次のとおりです。

    • 昭和50年(1975年)10月1日から平成16年(2004年)9月30日までの間に、一定の屋内作業場で石綿にさらされる建設業務に従事していたこと
      ※石綿吹付作業については昭和47年(1972年)10月1日から昭和50年(1975年)9月30日までが対象
      ※一人親方・中小事業主(家族従事者等を含む)の方も含まれます
    • 業務に従事した結果、石綿肺(じん肺管理区分の管理2~4)、中皮腫、肺がん、著しい呼吸機能障害を伴うびまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水といった石綿関連疾病を発症したこと
    • 石綿関連疾病にかかった旨の医師の診断日か、石綿肺に係るじん肺管理区分の決定日(石綿関連疾病により死亡したときは死亡日)のいずれか遅い方から20年以内であること
  5. (5)企業に対する損害賠償請求

    アスベスト健康被害が広がった背景には、国の責任だけではなく、労働者の安全を確保するための十分な措置を取らずに労働者をアスベストにばく露させた企業や、アスベストの危険性を周知することなくアスベスト含有建材を販売していた建材メーカーにも責任があると考えられます。

    そのため、業務に従事したことが原因でアスベストによる健康被害を受けた場合は、勤務先企業や建材メーカーに対して損害賠償請求を提起することも検討できます

    ただし、国の賠償金や給付金のように、決まった手続きがあるわけではありません。訴訟で賠償金を獲得するためには、健康被害の実態と原因を立証できる証拠を確保した上で請求できる賠償金額を算出し、複雑な訴訟手続きを的確に進める必要があります。
    訴訟手続きは、弁護士のサポートがなければ対応することが難しいため、企業に対する損害賠償請求を検討されている場合は弁護士にご相談ください。

5、まとめ

アスベストが関与する病気は、数十年という長い潜伏期間を経て発症するものです。そのため、アスベストを吸い込んでから健康に過ごしてきた方でも、これから病気を発症する可能性が残念ながらあります。
少しでも体調に不安を感じた場合は、専門の医療機関で検査・診察を受けることをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、アスベスト健康被害の不安がある方からのご相談を無料で承っております。賠償金・給付金を請求できるかどうかの調査もサポートしますので、少しでも不安を抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
適切な補償等を受けられるように、事務所一丸となりサポートします。

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