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アスベストはいつから使用禁止に? アスベスト被害の歴史

2022年09月06日
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アスベストはいつから使用禁止に? アスベスト被害の歴史

かつて、アスベスト(石綿)は私たちの生活の至るところで使用されていました。
しかし、アスベストは人の健康に被害をもたらす危険性があることから、法律で使用が制限されるようになり、現在では全面的に使用等は禁止されています。

しかし、アスベストが関与する疾病は長い潜伏期間を経て発症するため、過去にアスベストを扱う業務に従事していた方は、現在でもアスベストが原因の疾病を発症するおそれがあります。

本コラムでは、アスベストはいつから使用禁止になったのか、健康被害を受けた場合はどうすればよいのかについて解説します。

1、アスベストはどのような場所で使用されていたのか

アスベストの用途は約3000種といわれるほど多種多様であり、数多くの建材製品や工業製品に使用されていました。

  1. (1)アスベストが使用されていた理由

    アスベストは、耐火性、断熱性、防音性、絶縁性(電気を通しにくい性質)などに優れ、酸やアルカリなどの化学薬品にも強いという性質を持っています。それでいて安価で入手できるため、建材製品や工業製品の材料として重宝されてきました。

  2. (2)アスベストが使用されていたとされる場所・もの

    アスベストを含有する建材が使用されていた場所としては、住宅や倉庫では主に外壁、屋根、軒裏、煙突等、ビルや公共施設では鉄骨そのもの、鉄骨の柱や梁(はり)、天井・壁・床の下地、機械室などが挙げられます。
    これらの場所に吹き付け材や成形材、耐火被覆材、断熱材、吸音材などとして使用されていました。

    アスベストが使用されていた工業製品としては、自動車、トースター、冷蔵庫、エアコン、ストーブ、洗濯機、掃除機、こたつ、ドライヤーなど多岐にわたります。主に、ブレーキ(摩擦材)、部品の結合部に用いるパッキンやガスケットなどのシール材、電気が通じる部分の絶縁材などで使用されていました。

    経済産業省が行った調査では、平成17年(2005年)12月28日時点で185社774製品にアスベストが使用されていたことが判明しています。

    〈 参考 〉経済産業省|石綿(アスベスト)を含有する家庭用品の実態把握調査

2、アスベストはいつから使用禁止になった?

国は、昭和35年(1960年)に「じん肺法」を施行し、アスベストによる健康被害の解決に向けた取り組みも行っており、昭和50年(1975年)には一部使用を禁止しました。
しかし、その後アスベストが全面的に禁止されるまでは、30年近い年数がかかっています

この章では、どのような段階をおって全面禁止に至ったのかを解説していきます。

  1. (1)昭和50年(1975年)|5重量%を超える石綿の吹き付けを原則禁止

    特定化学物質等障害予防規則の改正により、石綿含有率が重量の5%を超える建材を用いた吹き付け作業が禁止されました。

  2. (2)平成7年(1995年)|1重量%を超える石綿の吹き付けを原則禁止

    特定化学物質等障害予防規則の改正により、石綿含有量が重量の1%を超える建材を用いた吹き付け作業が禁止されました。また、労働安全衛生法施行令の改正により、アモサイト(茶石綿)、クロシドライト(青石綿)については使用等が禁止されています。

  3. (3)平成16年(2004年)|1重量%を超える石綿含有建材等、10品目の製造等禁止

    労働安全衛生法施行令の改正により、吹き付け作業だけでなく石綿含有量が重量の1%を超える石綿含有建材、摩擦材、接着剤等、10品目の製造や輸入等が禁止されました。

  4. (4)平成18年(2006年)|0.1重量%を超える石綿含有製品を使用禁止(一部、猶予措置あり)

    労働安全衛生法施行令の改正により、石綿含有量が重量の0.1%を超えるものの製造、輸入、譲渡、提供、使用が原則として禁止されました。ただし、一部の製品については、猶予措置がとられています。

    ここまで長い年月がかかったのは、アスベストによる健康被害は潜伏期間が長く、問題が明るみに出るまで時間がかかったことと、これらの健康被害は、もっぱらアスベストを扱う作業に従事する労働者にのみ関わる問題であると考えられていたためです。
    しかし、アスベスト製品を扱っていた工場周辺に住んでいた住民から、アスベストに起因する疾患を発症する人がでてきたことを受け、全面禁止の方向に急速に流れが変わることになったのです。

  5. (5)平成24年(2012年)|0.1重量%を超える石綿含有製品使用禁止の猶予措置撤廃

    猶予措置が撤廃され、石綿含有量が重量の0.1%を超えるものについてはすべて、製造、輸入、譲渡、提供、使用が禁止されました。これにより、法令上はアスベストの使用等が全面的に禁止されることになりました。

3、アスベストが原因で発症するとされる疾病

アスベストの繊維は非常に細かいため空気中に飛散しやすく、その粉じんを吸い込むと肺の組織内に沈着し、長期間滞留することによってさまざまな疾病を引き起こすとされています。

  1. (1)アスベストとの関連性がある疾病

    アスベストとの関連性があると考えられている代表的な疾病は、以下の5つです。

    ① 石綿肺
    粉じんの吸入により肺が線維化する「じん肺」という疾病のひとつです。初期症状としてはせき、たん、息切れなどがみられ、進行すると重度の息切れや呼吸不全を引き起こすといわれています。アスベストを長期間、大量に吸引ばく露することで発病するとされています。

    ② 肺がん(原発性肺がん)
    肺がんのうち、気管支や肺胞を覆う上皮に発生する悪性の腫瘍を原発性肺がんといいます。せき、たん、血痰(けったん)、胸の痛み、息苦しさなどの症状がみられますが、進行するまではほとんど自覚症状がないこともあります。

    ③ 悪性中皮腫
    胸膜、心膜、腹膜など表面を覆う細胞層にできる悪性腫瘍のことを、悪性中皮腫といいます。症状としては、せきや胸の痛み、呼吸困難、胸部圧迫感のほか、発熱や体重減少がみられることもあります。
    アスベストの吸引以外の原因で発症することもあるとされていますが、まれなケースと考えられます。

    ④ びまん性胸膜肥厚
    肺を覆っている胸膜が線維化し、厚くかつ硬くなっていく病気です。繊維化が進行するにつれて呼吸機能が低下し、息切れなどがみられるようになります。

    ⑤ 良性石綿胸水
    肺の外側とあばら骨の内側などを包む胸膜の炎症により、胸水がたまる病気です。症状は特に現れないことが多く、ほとんどの場合は胸水も自然に消滅するといわれています。
    ただし、胸水が消滅せず、呼吸器障害が残ることもあります。

  2. (2)発症するまでの潜伏期間

    アスベストを吸い込むと、すぐに疾病を発症するわけではありません。アスベスト健康被害は、長い潜伏期間を経て発症するといわれています。

    各疾病が発症するまでの平均的な潜伏期間は、以下のとおりです。


    疾病 潜伏期間
    石綿肺 15~20年
    肺がん 15~40年
    悪性中皮腫 20~50年
    びまん性胸膜肥厚 30~40年
    良性石綿胸水 40年程度

4、アスベストが原因の疾病を発症した場合の対処法

過去にアスベストを取り扱う業務に従事しており、アスベストが原因と考えられる疾病を発症した場合は、労災保険給付または石綿健康被害救済給付金の対象となる可能性があります。
また、国に賠償金や給付金を請求できる可能性もあります

アスベストを扱う工場で働いていた方やそのご遺族の場合、国に対して訴訟を起こした上で和解すれば、和解金として賠償金を受け取れる制度があります。この制度により国から支払われる賠償金額は550万円~1300万円です。病態や病状によって金額は変わります。

建設現場で働いていた方や一定範囲のご遺族の方には、「建設型アスベスト給付金」という制度があります。同制度は、訴訟を提起する必要はなく、要件を満たせば手続きのみで給付金を受け取ることができます。この制度により国から支払われる給付金額は550万~1300万で、賠償金のケースと同様に、病態や病状によって受け取れる金額は変わります。

賠償金や給付金を請求するためには、医師の診断書を始めとしてさまざまな資料を提出する必要があるほか、手続きも複雑です。個人の方が対応するのは難しいため、弁護士に相談することをおすすめします。

ベリーベスト法律事務所では、アスベスト健康被害に関するご相談は無料で承っております。また、賠償金、給付金の対象となる可能性がある場合は、必要書類の収集や調査もお手伝いいたします。
対象になるのかわからないといった場合でも、まずはお気軽にお問い合わせください。

5、まとめ

アスベストの使用は、現在は全面的に禁止されています。しかし、過去には整備されていない環境で大量のアスベストが製造、使用されてきました。アスベストによる健康被害は長い潜伏期間を経て発症するため、今後も被害者は増えると考えられます。

アスベストが原因の疾病を発症した場合は、早めに賠償金、給付金の請求を行うことが大切です。ご自身のことはもちろん、ご家族のことで気になることがある方は、ベリーベスト法律事務所までご相談ください。

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