弁護士コラム

【病名別に解説】アスベスト健康被害とは? 発症する病気と症状

2022年05月19日
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アスベストを吸引すると、石綿肺や肺がん等の健康被害が生じることがあります。これらの健康被害は、長い潜伏期間を経て発症することが多いことに注意が必要です。

過去に工場や建設現場などでアスベストを吸引したおそれがある方は、特に症状がなくても定期的に健康診断を受けることが大切です。もし気になる症状が出た場合は、すぐに検査を受けることをおすすめします。

この記事では、アスベストが原因で発症する可能性のある健康被害の症状を、病名別に解説するとともに、健康被害が生じた方が利用できる救済制度についてもご紹介します。

1、アスベストを吸引したことで発症するおそれがある病気とその症状

アスベストを吸引すると、どのような病気を発症するおそれがあるのでしょうか。健康被害が生じるメカニズムとともに、それぞれの病気の症状をみていきましょう。

  1. (1)アスベストによる健康被害とは

    アスベストとは、天然の鉱物の一種で「石綿(いしわた・せきめん)」とも呼ばれています。耐火性や断熱性、電気絶縁性に優れていること、そして安価なことから、過去にはさまざまな製品や建材などに使用されてきました。

    誤解されがちですが、アスベストそのものが、直ちに健康被害をおこすわけではありません。アスベストの繊維は非常に細かいため製造や建設の工程で飛散しやすく、人が吸入してしまうおそれがあります。吸引されたアスベストの一部は肺の組織内に長く滞留し、これが要因となって健康被害を引き起こすことがあると考えられています。

  2. (2)具体的な病気とその症状

    アスベストを吸引したことによって発症するおそれがある病気について、ひとつずつ確認していきましょう。

    ● 石綿肺
    石綿肺とは、アスベスト(石綿)を大量に吸入することによって肺が繊維化して硬くなり、呼吸機能を損なう病気です。

    初期症状としては、軽い息切れや運動能力の低下、せき、たんがみられるとされています。喫煙者で慢性気管支炎がある場合は、せきや喘鳴(ぜんめい/呼吸時に、ゼーゼー、ヒューヒューなどの音がすること)がみられることもあります。症状が進行すると呼吸が困難になり、日常生活に支障をきたすといわれています。

    ● 肺がん(原発性肺がん)
    肺がんとは、肺の気管や気管支、肺胞を覆う上皮に発生する悪性腫瘍のことです。
    他の部位からの転移による肺がんのことを『続発性(転移性)肺がん』と呼ぶのに対して、肺の器官や気管支、肺胞の一部の細胞が『がん化』した肺がんのことを、原発性肺がんといいます。

    原発性肺がんの発生原因にはアスベストの他にも喫煙など、さまざまなものがあるされていますが、アスベストの吸引と喫煙が重なると、肺がんのリスクが相乗的に高くなるといわれています。

    症状としては、せき、たん、血痰(けったん)がよくみられ、胸の痛みや息苦しさ、発熱などがみられることもあります。ただし、無症状で胸部エックス線等の検査を受けて発見されるケースもあるため注意が必要です。

    ● 悪性中皮腫
    悪性中皮腫とは、肺や心臓、胃、肝臓などの臓器を覆う中皮細胞にできる悪性腫瘍のことです。アスベストの吸引によって胸膜中皮腫を引き起こしやすいといわれていますが、腹膜など他の部位に中皮腫が発生することもあります。

    症状としては、胸膜中皮腫では息切れや胸の痛みが多くみられ、その他にもせき、発熱、全身倦怠(けんたい)感、体重減少などがみられる場合もあるといわれています。無症状で胸部エックス線等の検査を受けて胸水貯留を偶然発見されるケースもあります。腹膜中皮腫では腹痛、おなかの張り、腹水貯留などがみられます。

    ● びまん性胸膜肥厚
    びまん性胸膜肥厚とは、肺を覆う胸膜が線維化して厚くなってしまう病気のことです。比較的高濃度のアスベストにばく露し続けると発症するといわれています。石綿肺と合併して発症するケースや、良性石綿胸水の後遺症として発症することもあるとされています。

    症状としては、呼吸困難や胸の痛みの他に、呼吸器感染等があげられます。

    ● 良性石綿胸水
    胸水とは、胸腔(きょうこう)内に体液がたまる状態のことです。アスベスト以外の原因でも生じますが、アスベストの吸引によって胸膜炎を発症し、胸水がたまることを良性石綿胸水といいます。

    症状としては、呼吸困難や胸の痛みなどがみられるとされています。

    なお、良性石綿胸水は胸水の消失とともに、平均3~6か月で治癒することが多いといわれています。労災保険給付の対象ですが、診断が非常に困難なことから、労働基準監督署長が厚生労働本省と協議したうえで、認定か否かが判断されます。また、石綿健康被害救済法による給付金の対象とはされていません。

    【アスベスト健康被害の病名別一覧】

    病名 主な症状
    石綿肺 初期:息切れ、せき、喘鳴(ぜんめい)、運動能力の低下
    進行した場合:呼吸困難
    原発性肺がん せき、たん、血痰(けったん)、胸の痛み、息苦しさ、発熱
    悪性中皮腫 胸膜中皮腫:息切れ、胸の痛み、せき、発熱、全身倦怠感、体重減少
    腹膜中皮腫:腹痛、おなかの張り、腹水貯留
    びまん性胸膜肥厚 呼吸困難、反復性の胸の痛み、反復性の呼吸器感染
    良性石綿胸水 呼吸困難、胸の痛み

2、アスベストが原因で発症するおそれのある病気の症状~潜伏期間はどれくらい?

アスベスト健康被害の大きな特徴のひとつとして、原因となるアスベスト吸引後に長い潜伏期間を経て発症することが挙げられます。

  1. (1)病気が進行するまでは無症状のことが多い

    アスベストを吸引しても、すぐに発病するわけではありません。さらに、発病してもすぐには症状が出ず、病気がある程度進行するまで無症状であることが多いといわれています。

    そのため、無症状のまま健康診断等で疾病が見つかることも少なくありません。見つかったときには病気が進行していることもあるので、定期的に健康診断を受けることが大切です。

  2. (2)アスベストによって発症するおそれのある病気の潜伏期間

    次の表は、アスベストを吸引してからの標準的な潜伏期間を病名別にまとめたものです。
    ただし、発症時期には個人差があるほか、ばく露した状況等によっても異なるため、あくまでも参考となる目安の期間です。


    病名 標準的な潜伏期間
    石綿肺 15~20年程度
    原発性肺がん 15年~40年程度
    悪性中皮腫 20年~50年程度
    びまん性胸膜肥厚 30年~40年程度
    良性石綿胸水 40年程度

    〈 参考:厚生労働省|アスベスト(石綿)に関するQ&A 〉
    〈 参考:独立行政法人 環境安全保全機構|アスベスト(石綿)とは? 〉

  3. (3)気になる症状が出たらすぐに検査を

    アスベストを吸引したことが原因の病気は、いったん発症すると治療が難しい症例が少なくありません。過去にアスベスト製造にかかわっていた、アスベストを使用する環境で働いていた、それらの工場などに出入りしていたといった方で、次のような症状が出た場合は、早めに医療機関で検査を受けるようにしましょう。


    • せきやたんがこれまでより増えた
    • たんの色が変わった、血液が混ざった
    • 息切れがひどくなった
    • 激しい動悸(どうき)がする
    • かぜがなかなか治らない
    • 微熱が続く、高熱が出た
    • 顔色が悪い
    • 爪が紫色になった
    • 食欲がなく急に痩せた
    • 横になると息が苦しくなる
    • やたらに眠い

    〈 参考:厚生労働省|石綿にばく露する業務に従事していた労働者の方へ 〉

3、アスベスト健康被害に対する救済制度と対処法

アスベスト健康被害の被害者となってしまった場合は、国の救済制度を利用することができるほか、損害賠償請求も検討することができます
本章では、各制度の概要をご紹介します。

  1. (1)労災申請

    アスベストにばく露した職場で労災保険に加入している(していた)場合や、労災に特別加入していた場合(個人事業主、一人親方等)、労働に従事したことによってアスベスト健康被害を生じたことが認められれば、労災保険から給付を受けることができます。

    被害者本人だけでなく、遺族が受け取ることができる給付もあります。ただし、時効があるため注意が必要です

  2. (2)アスベスト(石綿)健康被害救済給付金を申請する

    「石綿健康被害救済給付金」とは、労災給付の対象とならない人や、時効により労災給付が受けられなくなった人を救済するために「石綿による健康被害の救済に関する法律」で定められた救済制度です。
    一定の要件を満たす必要がありますが、認定された場合は医療費などが支給されるほか、遺族の方は、弔慰金などを受け取れることもあります。

  3. (3)国とのアスベスト訴訟和解手続き(工場型)

    アスベスト健康被害が拡大したのは、国が適切な規制権限を行使しなかったことが原因のひとつといえます。
    大阪・泉南アスベスト国家賠償訴訟の最高裁判決によって国の責任が認められたことをうけ、アスベスト工場で働いていた人で一定の要件を満たす場合は、国家賠償請求訴訟を提起し和解手続きを行うことで、国から賠償金を受け取ることができます。

    なお、アスベストを製造する工場以外にも、自動車整備会社や電気機械の製造工場などで労働に従事していた方も対象になる可能性があります
    お心当たりのある方は、ベリーベスト法律事務所までお気軽にお問い合わせください。

  4. (4)国の給付金制度(建設型)

    アスベストを使用する建設現場で働いていた方に対しては、令和3年6月に「特定石綿被害建設業務労働者等に対する給付金等の支給に関する法律」が成立したことに伴い、給付金という形で救済制度が設けられています。
    工場型のように国家賠償請求訴訟をおこす必要はなく、一定の手続きを踏むことで給付金を受け取ることができます

  5. (5)企業に対して損害賠償を請求する

    アスベストを使用しながら、対策を講じることを怠ってきた企業も、アスベスト健康被害の加害者といえます。そのため、企業に対して損害賠償を請求することも検討できます。

    ただし、企業側の対応は一律ではないことに加え、具体的な証拠やばく露した状況を立証する必要もあるので、個人で対応するのは難しいでしょう。企業に対して損害賠償請求をしたいと考えている場合は、まずはアスベスト訴訟に関する知見が豊富な弁護士に相談することをおすすめします。

4、アスベストによる健康被害は弁護士に相談を

アスベスト健康被害を受けた場合、さまざまな救済制度もありますが、その手続きは複雑です。そのため、弁護士のサポートを得ながら進めることをおすすめします。

弁護士に依頼することで、具体的には次のようなサポートを受けることができます。

  • 賠償金、給付金の対象になるかの調査
  • 労災、救済法の申請手続きサポート
  • 手続きに必要な資料の収集サポート
  • 訴訟に関する手続き、和解手続きのサポート
  • 企業との交渉や訴訟対応
など

5、まとめ

アスベスト健康被害は、長い潜伏期間を経て発症するという特徴があります。労働に従事していたのが数十年前であっても、この記事で解説したような症状が出た場合は、アスベスト健康被害を生じている可能性があります。

まずは、医療機関で受診して治療に努めることが第一ですが、賠償問題については弁護士にご相談ください

ベリーベスト法律事務所では、弁護士、スタッフが一丸となり、アスベスト健康被害を受けた方が適切な補償を受けられるようサポートします。お問い合わせは無料です。少しでも不安を感じている方は、ぜひご連絡ください。

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