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労働問題全般の弁護士コラム

会社が就業規則を見せてくれないのは違法? 閲覧したいときの対処法

2023年12月14日
  • 労働問題全般
  • 就業規則
  • 見せてくれない

会社が就業規則を見せてくれないのは違法? 閲覧したいときの対処法

会社は従業員に対して、就業規則を周知する義務を負います。

しかし、従業員が就業規則の閲覧を請求しても、見せてくれない会社があるようです。不当に就業規則の閲覧を拒否されることがあったら、労働基準監督署や弁護士にご相談ください。

本コラムでは、会社が就業規則を見せてくれない場合の違法性や対処法など、ベリーベスト法律事務所の弁護士が解説します。

1、会社が就業規則を見せてくれないのは違法?

会社に就業規則の閲覧を請求しても見せてくれない場合、労働基準法違反の疑いがあります。

  1. (1)就業規則の作成・届出義務がある会社の要件

    常時10人以上の労働者を使用する者(経営者や事業主など)は、就業規則を作成した上で労働基準監督署に届け出をしなければならないという義務を負います(労働基準法第89条)。

    就業規則の作成・届出義務は、常時雇用する労働者の数は「事業場ごと」に判断されます。したがって、常時10人以上の労働者を使用する事業場についてのみ、就業規則の作成・届出義務が生じるという点に注意が必要です。


    • 事業場単位で9人以下である場合
      会社全体として常時10人以上の労働者を使用していても、事業場単位で9人以下であるケースでは就業規則の作成・届出義務は発生しません
    • 繁忙期のみ10人以上になる場合
      また、「常時」10人以上であることが要件なので、繁忙期のみ10人以上雇い入れるようなケースも、就業規則の作成・届出義務は発生しません
    • 一時的に10人を下回る場合
      他方、一時的に10人を下回ることがあっても、常態として10人以上雇用していれば、就業規則の作成・届出義務は発生します
  2. (2)会社は従業員に就業規則を周知させる義務がある

    会社が就業規則を定めた場合、その内容を労働者に周知させる義務を負います(同法第106条)。具体的な周知方法については、同法施行規則で定められています。


    就業規則の周知方法(労働基準法施行規則52条の2)
    • ① 常時各作業場の見やすい場所へ掲示、または備え付ける
    • ② 労働者に対して書面を交付する
    • ③ 記録媒体(磁気テープや磁気ディスクなど)に記録した上で、労働者が当該記録の内容をいつでも確認できる機器を各作業場に設置する

    労働者から「就業規則を見せてほしい」と請求があったら、会社は上記のいずれかにより、就業規則を閲覧させる義務を負います。

    就業規則の閲覧請求を拒否すると、会社は労働基準法違反の責任を問われる可能性があります。

  3. (3)退職後は就業規則の閲覧を請求できない

    会社が就業規則を周知させる義務を負うのは、あくまでも現在雇用している労働者に対してのみです。
    したがって、退職済みの労働者は、原則として就業規則の閲覧を請求できません

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2、会社が就業規則を見せてくれないときの対処法

会社に就業規則の閲覧を請求しても見せてくれないときは、同僚の従業員と閲覧請求する・労働基準監督署に閲覧請求するなどの対処法を考えましょう。

  1. (1)同僚の従業員と協力して閲覧を請求する

    会社に就業規則の閲覧を認めさせるには、同僚の従業員と協力して閲覧請求を行う方法があります。

    複数の従業員から同時に就業規則の閲覧を求められれば、会社としても軽視できなくなる可能性があります
    従業員が労働基準監督署に閲覧拒否の旨を申告すれば、行政指導などを受ける可能性があるからです。

    残業代の未払いや不明確な労働条件など、ご自身の悩みと同じようなことで悩んでいる同僚を見つけ、協力して就業規則の閲覧を求めましょう。

  2. (2)労働基準監督署に閲覧を請求する

    会社がかたくなに就業規則の閲覧を拒む際には、労働基準監督署に対して就業規則の閲覧請求を行うことも検討しましょう。

    就業規則の作成・届出義務がある事業場では、就業規則の内容について労働基準監督署への届出が行われているはずです。
    この場合、労働基準監督署は届出を受けた就業規則を保管しており、下記の要件をいずれも満たす場合は、労働者に就業規則を閲覧させることがあります


    閲覧請求が可能となる要件(基発354号平成13年4月10日)
    • ① 労働基準法にもとづく就業規則の周知義務が、労働者の勤務する事業場で実現していないこと
    • ② 使用者に請求しても就業規則を閲覧できる状況にないと判断されること


    • 退職済みの労働者が、労働基準監督署で就業規則を閲覧したい場合
    • すでに退職済みの労働者も、在職中の状況が上記2つの要件をいずれも満たす場合は、労働基準監督署に就業規則の閲覧を請求できますが、退職済みの労働者と事業場間の権利義務関係に関わる規定に限られる点にご注意ください。

      閲覧請求の要件を満たしていることを示すためには、会社が就業規則を見せてくれないという証拠が必要です。就業規則の閲覧に関するやり取り(メッセージや会話など)を保存しておきましょう。

    • 労働基準監督署に就業規則の届出されていない場合
    • なお、就業規則の作成・届出義務があるにもかかわらず、労働基準監督署に就業規則の届出が行われていなければ、労働基準法違反に当たります。

      この場合は、労働基準監督署に「会社の労働基準法違反」を申告しましょう(同法第104条)。会社に対して行政指導などが行われ、違法状態が是正される可能性があります。


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3、就業規則で定められる事項と労働者の権利

就業規則に定めるべき事項は、労働基準法によって法定化されています
その一方で、もし就業規則に定められていなくても、労働者は労働基準法等にもとづく権利を会社に対して行使することが可能です。

  1. (1)就業規則で定められる事項

    就業規則では、以下の事項を定めなければなりません(労働基準法第89条)。


    必要的記載事項
    必ず定めるべき事項のことです。
    • ① 始業・終業の時刻、休み時間、休暇、休日、就業時転換に関する事項
    • ② 賃金(臨時の賃金等を除く)の決定・計算・支払いの方法、締め切り・支払いの時期、昇給に関する事項
    • ③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

    相対的記載事項
    会社として定める場合は、就業規則に記載すべき事項のことです。
    • ④ 退職手当について、適用される労働者の範囲、決定・計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
    • ⑤ 臨時の賃金等(退職手当を除く)・最低賃金額に関する事項
    • ⑥ 労働者に食費や作業用品その他の負担をさせることに関する事項
    • ⑦ 安全・衛生に関する事項
    • ⑧ 職業訓練に関する事項
    • ⑨ 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
    • ⑩ 表彰・制裁の種類・程度に関する事項
    • ⑪ ①~⑩のほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される事項
  2. (2)労働者の権利|就業規則に規定がなくても認められる

    労働者には、労働基準法その他の法律によって、さまざまな権利が認められています。

    以下に挙げるのは、労働者の権利の一例です。
    これらの権利は、就業規則に定められていないとしても、会社に対して行使できます


    労働者の権利の一例
    • ① 労働時間の制限(労働基準法第32条)
    • ② 休憩時間の確保(同法第34条)
    • ③ 休日の確保(同法第35条)
    • ④ 時間外労働・休日労働・深夜労働の割増賃金(同法第37条)
    • ⑤ 年次有給休暇(同法第39条)
    • ⑥ 産前産後休暇(同法第65条)
    • ⑦ 育児休業・介護休業・介護休暇(育児・介護休業法)
    など
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4、押さえておきたい就業規則に関するQ&A

就業規則に関連して、よくある質問と回答をまとめました。

  1. (1)見せてもらえない就業規則に法的効力はある?

    雇い入れ時に定められた就業規則の内容は、事業場の労働者に係る労働契約の一部として適用されます。

    しかし就業規則が適用されるためには、あくまでも会社が労働者に対して適切に周知をしていることが前提条件です。
    会社が労働者に対して就業規則を閲覧させない場合、その内容は法的効力を生じないと判断される可能性があります。

  2. (2)労働基準法に違反する就業規則の条項は有効? 無効?

    労働基準法で定められた内容は、労働契約(雇用契約)における最低ラインとされています(同法第1条第2項)。

    労働基準法で定める水準に満たない労働条件を定める労働契約は、当該部分について無効となり、労働基準法上の最低ラインに修正されます(同法第13条)。
    就業規則も労働契約の一部を構成するものなので、労働基準法に反して労働者に不利益のある規定が有効となることはありません

  3. (3)入社後に就業規則が一方的に変更されていたらどうすべき?

    会社は、原則として、就業規則の内容を労働者の承諾なく不利益に変更することができません(労働契約法第9条)。

    しかし、以下の要件を満たした場合のみ、労働者の合意なくして変更後の就業規則を労働者に対して適用させることができます(労働契約法第9条、第10条)。


    • 変更後の就業規則を労働者に周知させること
    • 労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則内容の相当性、労働組合等との交渉状況その他就業規則の変更に係る事情に照らして、変更が合理的であること

    上記要件をいずれも満たしていないにもかかわらず、一方的に変更された就業規則の適用を主張された場合には、労働基準監督署または弁護士にご相談ください。

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5、まとめ

会社が就業規則を見せてくれない場合、同僚の従業員と協力して閲覧を請求するか、または労働基準監督署に閲覧を請求しましょう。
会社において悪質な労働基準法違反の行為がなされている場合は、労働基準監督署に申告して行政指導などを求めることも考えられます。

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この記事の監修者
萩原達也

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  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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