建築業者によくある
トラブルと解決方法

建築業者様(工事請負業者、工事施工業者、建築士、設計士他)の方々から多数のご相談をいただいております。
建設業者様が遭遇しやすい建築トラブルの種類と内容、その解決方法について、弁護士が解説いたします。

ベリーベストが建築訴訟で受け付けている内容

訴えられている

  • 施主から工事途中での契約解除を主張されている
  • 建築基準法違反などの設計ミスが発覚し、訴えられそう
  • 新築工事、リフォーム工事の施工ミスが発生し、施主から損害賠償を請求されている
  • 下請けと工事代金の支払いについてもめている

訴えたい

  • 施主が工事代金を滞納しているので、回収したい
  • 追加変更工事を行ったが、頼んでないなどと言われ代金の支払をしてもらえない
  • オフィスビルを建設したところ、地盤工事が不十分で建物が傾いている
  • 自社の建築デザインを他社が盗用しているので、意匠権侵害で訴えたい
  • 施工ミスについて、親事業者と下請事業者の間で求償問題が発生している
  • 元請けから工事代金の支払いがされない

起こりやすい建築トラブル

1.契約不適合責任
(瑕疵担保責任)

完成した建物の外装・内装・耐震性などにつき、契約内容との間で不適合が生じた場合、施工業者は施主に対して「契約不適合責任」を負います。

施工業者が契約不適合責任を負担する場合、不適合部分の修補・代金の減額・損害賠償のいずれかの方法により、施主に発生した損失を補填しなければなりません。
また、不適合が軽微でなく重大なものであったり、修補が不可能な場合でかつ修補ができないのであれば契約をした目的が達成できないときなどには、施主によって工事請負契約が解除されてしまう可能性もあるので要注意です。

契約不適合責任を巡るトラブルは、係争金額が多額に及ぶことも多く、施主と施工業者の間で深刻な紛争に発展する可能性があります。

2.出来形・出来高

何らかの理由で工事請負契約が中途解約された場合には、未完成の建物が土地上に残ってしまいます。このとき、途中まで出来上がった建物を「出来形」、出来形に対応する請負代金を「出来高」と言います。

出来形を引き渡すことによって施主が利益を受ける場合、施工業者は施主に対して出来高の支払いを請求できます(民法第634条)。しかし、出来形・出来高の算定や支払いがトラブルになることもあります。

3.中途解約

施主または施工業者が工事請負契約を中途解約する場合、法的に検討すべき問題が多くあります。

双方の合意により解約するならばよいですが、いずれか一方が債務不履行解除や手付解除を主張している場合、法律・契約上の解除要件を満たしているかどうかを検討しなければなりません。また、出来高や損害賠償(違約金規定により処理されることもあります)の精算など、金銭的にも多くの問題が残るでしょう。

4.追加変更工事

建築工事の着手後に仕様の追加・変更が生じたとき、口頭でのやり取りのみで進めてしまうケースがあります。本来であれば、追加変更工事に関する請負契約書を作成し、工事内容や費用について明確にしておくべきですが、口頭で進めてしまった場合は、建築業法違反になってしまいかねません(建設業法19条2項)。

また、工事内容や金額が曖昧なままで工事が進むと、工事完了予定日に間に合わない、工事内容が施主から伝えられた希望と異なる、費用が施主へ伝わっていない、などのトラブルが生じやすくなってしまいます。

5.雨漏り・漏水

雨漏りや漏水は、新築建物の工事に関して発生する頻度の高いトラブルです。雨漏りや漏水が設計ミスや施工ミスに起因する場合、施工業者は施主に対して契約不適合責任を負います。

多くの場合は修補工事によって対応可能と考えられますが、雨漏りや漏水で注意したいことは、建物居住者の健康や財産を損なうものであるような場合には、建物としての基本的な安全性を欠く瑕疵として、不法行為責任が追及される可能性もあるということです。
契約にもとづく責任であれば、雨水侵入を防止する部分の瑕疵についても、引渡から10年間が瑕疵担保責任をお負担する期間となります(住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項)が、不法行為責任は引渡の時から20年間責任追及が可能です。不法行為責任を追及された場合には、裁判となると、損害賠償請求という金銭の支払が命じられるだけで、法律上修補を求められるということではありませんが、瑕疵が明らかなばあいなどは、積極的に建設業者が補修を行うことで紛争を解決していくことも考えられるでしょう。
雨漏りに限らず、建物としての基本的な安全性を欠く瑕疵(例えば、放置すると建物の崩壊にいたるようなものや、バルコニーの手摺の取り付けが不十分で居住者に転落の危険性があるようなもの)であれば、施工業者には引渡から20年不法行為責任が追及される可能性があるので、ご注意ください。

6.設計過誤

設計の段階で重大な誤りが発生すると、完成した建物にも、必然的に欠陥が生じることになります。
設計ミスにより建物に欠陥が生じた場合、設計者は施主に対して債務不履行責任または不法行為責任を負担します。

その一方で、特に大手のハウスメーカーや工務店などでは、施主に対しては、施工だけではなく設計作業も含めて建物工事を請け負い、設計作業を外部の設計事務所に再委託しているケースが多いです。
この場合には、設計ミスに関しての施主に対する責任は、施主と直接契約関係にあるハウスメーカーや工務店が負いますが、その後設計事務所に対して、再委託した際の契約に基づく求償を行うことになるでしょう。

設計ミスに起因するトラブルにより、自社に深刻な被害が発生することを防ぐためには、再委託先の設計事務所との契約内容を精査しておくことが大切です。
また、ただ漫然と設計に従った施工を行うのではなく、その設計に法令違反はないかなど、きちんと自社で目を光らせておくことも必要になってくるでしょう。

7.構造計算の誤り

設計段階で行う構造計算に誤りがあると、耐力・耐震性基準を満たさずに検査を通過できなかったり、実際に地震が起こった際に建物が倒壊してしまったりするリスクがあります。

構造計算ミスによる耐力不足・耐震性不足は、建物の安全性を脅かす重大・致命的な欠陥です。特に新築住宅の場合、構造耐力不足には10年間の瑕疵担保責任が生じ、契約による短縮は認められません(住宅の品質確保の促進等に関する法律94条1項、2項)。

8.スケルトン工事

「スケルトン工事」とは、基礎部分や柱・梁・外壁・屋根などの構造部分を除いて、建物全体の部材をすべて交換するリフォーム工事です。

スケルトン工事は極めて大規模に及ぶため、それだけ施工ミスが発生するリスクも大きくなります。
施主の中にも、リフォームについてこだわりのある人が多く、小さな施工ミスでもめざとく指摘してくる可能性があります。

上記の点を踏まえると、スケルトン工事を実施する際には、充分注意をする必要がありますし、床を剥がしてみないと、どれだけの工事をしていいか、工事に入る前の外観からの見積だけでは、対応しきれない追加変更工事が必須となる場合もあります。施主には、予めそのような事情をよく説明し、当初の見積代金では対応できなくなったときには、速やかに施主と話し合って、追加変更工事に関する契約や、最低でも新たな見積による発注書・受書といった書類を整えておくべきでしょう。

9.意匠権

「意匠権」とは、デザインを保護する知的財産権です。2020年4月1日より、建築物のデザインが新たに意匠権の保護対象となっています。

象徴的で人々の目を引く建物の外観や内装については、意匠権の登録をしておけば、他社がそのデザインをマネすることを禁止できます。たとえば商業用施設や駅舎の外観、書店や寿司屋の内装などが、すでに意匠登録されています。
意匠登録されている建築物のデザインを他社が無断で模倣した場合、意匠権者は差止めや損害賠償などを請求することが可能です。

施主からの希望で外観や内装を類似させてしまい、結果として意匠権を侵害してしまうケースも考えられるため、注意が必要です。

10.工事代金の未払い

施主や元請け業者などの発注者から工事代金が支払われないケースも、よくあるトラブルのひとつです。契約書の不備や発注者の資金繰り悪化などが理由として挙げられます。特に契約書の作成は建設業法で義務付けられていますが、作成自体をしていないケースも少なくありません。

未払の工事代金を請求する方法としては、交渉による督促・催告や裁判所からの支払督促、訴訟、強制執行などがあります。状況に応じて、適切な回収方法を選択することが大切です。
また、確実に工事代金を回収するために、すぐに行動を起こす必要があります。

建築トラブル発生から解決までの流れ

建築トラブルの発生、現場状況の確認
建築トラブルの発生、現場状況の確認

施主からクレームを受けるなど建築トラブルが発生したら、まず状況を確認します。
現場の写真や動画を撮影して証拠を確保する、トラブルになっている図面を検証する、欠陥等が発生した原因を追究する、などの分析を行いましょう。

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法令・契約内容の検討
法令・契約内容の検討

発生した欠陥等の内容を踏まえて、自社にどのような責任が生じるのか、あるいは相手方にどのような責任を問えるのかを検討します。
このとき、民法・建築基準法などの法令や、施主と締結した工事請負契約の内容などに照らした、判例を踏まえた精緻な法的分析が求められます。
弁護士にご相談いただいた場合、どのような責任が発生するかについて客観的な視点から検討し、今後の方針についてもアドバイスいたします。

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示談交渉
示談交渉

法的な分析結果を踏まえて、トラブルになっている相手方との示談交渉に臨みます。
欠陥部分の修補やデザインの変更提案など、トラブル解消に向けて慎重かつ適切な対応が必要です。

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建築ADR(裁判外紛争処理)
建築ADR(裁判外紛争処理)

相手側との示談交渉がまとまらない場合には、建築ADRの手続きも利用しましょう。

ADRでは、調停・あっせん・仲裁のいずれかの手続きをもって、紛争の解決を図ります。訴訟よりも簡易・迅速・柔軟な解決を期待できる点が、建築ADRのメリットです。

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訴訟
訴訟

示談交渉が決裂した場合や建築ADRが不調だった場合などは、訴訟に移行することになりますが、当事者間の対立が強く、裁判所という最終的な決定権者に入ってもらわらないと解決の見込みがないようなときには、早期に訴訟という手段を選択するのが良いこともあります。

訴訟は、裁判所が判決によって建築紛争の解決策を示す法的手続きです。両者の主張が大きく乖離している場合には、訴訟による解決が適しています。

裁判になるとどうなる?

裁判所に訴訟を申し立て、裁判所が受理した場合、相手側(被告)には特別送達で訴状が送られます。訴状が被告に送達されたにもかかわらず、呼出状に書かれた期日に被告が出廷しなかった場合は、被告の主張はないものとして扱われ、申し立てた側(原告)の主張がすべて認められることになります(欠席裁判)。

被告が出廷した場合は、両者の主張が検証され、「訴訟上の和解」もしくは「判決」によって終結します。
建築訴訟では、和解で終わる可能性が他の訴訟よりも高いと言われてます。
裁判所には、建築の専門家が調停委員や専門委員として存在しています。裁判所がこうした専門家の知見を活用して、訴訟の途中でも、事件を調停に付して、建築の専門家の調停委員の助言を聞くなどして、判決を下すだけではなく、当事者に納得してもらい和解や調停が成立できないかということを試みることもできるのです。

なお、「訴訟上の和解」では両者が合意したうえで紛争を終結させますが、「判決」は裁判所の出した結論であるため、被告または原告のいずれかに不服がある場合は、さらに裁判が続くことになります。

ベリーベストがお手伝いできること

建築に関するトラブルは、係争金額が極めて高額に及ぶケースも多く、対応の仕方次第で自社に大きな損失が発生するリスクがあります。
そのため、弁護士のサポートを受けながら、十分に法的な理論武装を行って対応することをお勧めいたします。

ベリーベスト法律事務所は、建築紛争に関するご相談を随時受け付けております。クライアント企業に生じる損害を最小限に抑えるため、以下の強みを生かしてサポートいたします。

建築訴訟専門チームによる対応

建築紛争に知見を有する弁護士が、お客さまの問題解決を目指して尽力いたします。

一級建築士との連携

建築の仕組みに詳しい一級建築士と連携して、現地調査や図面・契約書の精査などを行います。

全国73オフィスの弁護士が連携

当事務所は北海道から沖縄まで、全国73箇所にオフィスを構えています。最寄りのオフィスにご来所いただければ、Zoomを通じて建築訴訟専門チームの弁護士へ相談することも可能です。また、トラブルの相手方と所在地が離れていたとしても、全国のオフィスに所属する弁護士と連携し、対応いたしますので、ご安心ください。

弁護士にご依頼いただくことで、建築トラブルによる損害を最小限に食い止められる可能性が高まります。
また、ご担当者さまの時間的・精神的なご負担も軽減できるかと思います。

建築トラブルでお悩みのハウスメーカー・工務店・設計事務所さまは、ぜひお早めにベリーベスト法律事務所へご相談ください。

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