10年以上前の話ですが、入所を決めたのは、当時すでに100名を超える規模の事務所だったことが大きかったです。「大きなところだから変なことはないだろう」という安心感がありました。
それから、さまざまな分野を取り扱えるという点にも惹かれました。企業向けの案件もあり、個人のお客さま向けの幅広い分野にも触れられる。当時の私は特にやりたいという分野が決まっていなかったからこそ、いろいろと挑戦できる環境がちょうどいいのかなと思い、入所を決めました。
「さまざまな分野を取り扱える」という点について、実際その通りでした。入所直後から離婚、労働問題、交通事故、刑事事件など、だいたいの分野を経験できましたし、事務所として新しい分野に取り組むときは、積極的に挑戦しました。マネジメント業務なども忙しくなるにつれて担当を絞った部分もありますが、自分の志向に合った業務を幅広く扱えています。
現在、私は労働分野のマネージャー(業務マネージャー)と、東京オフィスの総務マネージャーという役割を担っています。
業務マネージャーは、担当する分野の売り上げを最大化することが使命です。マーケティング担当者とミーティングを行い、問い合わせ数や受任数の改善を図るための施策を検討するなど、分野全体の方針を決めています。
そして、特に力を入れているのが、各弁護士の法律相談スキル向上です。模擬の法律相談を実施してフィードバックを行ったり、法律相談をモニタリングして改善点を伝えたりしています。問い合わせがあっても、法律相談の質が悪ければご依頼に繋がりませんし、ご依頼を受けても対応の質が悪ければお客さまを助けることができません。だからこそ、受任数などの数字を追いながら、一人ひとりの弁護士の成長をサポートしています。こうした業務は、私1人ではなくサブマネージャー3名と協力して行っています。
東京オフィスの総務マネージャーとしては、事務所全体のルール作りや、弁護士の業務量調整、売り上げ管理なども担っています。売り上げ状況を見ながら担当事件数などを調整したり、業務過多になっている方がいれば、各分野のマネージャーと共同で業務量を調整したりと、バランスを取ることも重要な仕事です。
一方、プレーヤー(実務を担当する弁護士)としては、企業の顧問先対応や労働問題を中心に、離婚や交通事故なども扱っています。業務の割合としては、マネジメント4割、プレーヤー6割といったところでしょうか。
マネジメントに集中する道もありますが、私はあえてプレイングマネージャーとして、実務を続けています。その理由として、まず現実的な話をすると、事件対応をして売り上げを上げると、私の報酬が増えるからです。マネジメントの仕事は、間接的に結果を出す必要がありますが、実務は自分の頑張りが成果に直結します。もう一つの理由は、新人弁護士の指導教育です。毎年、ありがたいことにたくさんの新人弁護士に入所いただいています。広い会議室で講義もしますが、一緒に事件処理することを通じて指導しないと、実務上のノウハウはなかなか伝わりません。
私は、マネージャーだから「偉い人」みたいになるのは違うと思っていて、若手の方と関わる機会が欲しいと考えています。そのため、大体の事件は若手弁護士と一緒に指導も兼ねて行っているのです。
私自身の経験を振り返ると、やはり大切なのは「努力と時間を惜しまないこと」です。時間をかけて頑張るというだけなので秘訣とは言えないかもしれませんね。
次に、「声を上げていくこと」です。役職を任されるという点において、弁護士としての成績は大前提ですが、マネジメントで求められる能力は、プレーヤーとして活躍する能力とイコールではありません。バランス感覚、組織全体の最適化を考える能力が求められます。その能力があると認められるためには、会議などの場で積極的に発言して、事務所にとって有益と感じてもらえるような提案をすることが大切です。実際、労働分野のサブマネージャー3名を選出した際は、会議での発言などをきっかけに声をかけました。
黙っていたら目立てません。いい意味で目立つようにする。自分が就きたいポストと親和性のある場面で、自分を売り込んでいくことが大事だと考えています。
私は「こうしたら組織がもっと良くなる」ことを自発的に考えて、遠慮なく実行するタイプです。
たとえば、リーガルネゴシエーション研修。私が弁護士になった頃は、交渉術を教わる機会がないまま、複数の事件処理をしていて「これで本当にいいのかな」と違和感を覚えました。弁護士としての法的知識はあるが、交渉の仕方は誰にも教わっていない。しかし一般の方は、弁護士を「交渉の専門家」だと認識しています。そのギャップを解消すべく、まず独学で勉強しました。
そして、交渉は「なんとなく」するものではないことを、新人弁護士に伝えたいと思い研修を始めました。講義名を横文字の「リーガルネゴシエーション」にしているのは、字面がかっこいいので、皆が興味持つきっかけになればという狙いがあります。
また、「攻略本」と所内で呼んでいる弁護士向けのノウハウ資料も作りました。別のオフィスの弁護士から「いろいろ教えてほしい」と直接メールが来て、その期待に応えたくて書き始めたことがきっかけです。弁護士としての心構え、受任のノウハウ、売り上げの上げ方など、定期的に加筆し現在30ページを超える内容になっています。現在は入所してすぐに実施される新人研修で配布していますが、活躍する人材が増えて、長く事務所に貢献してほしいという思いで執筆しています。
後輩を育てていく上で、業界がこれからどう変わるかということも意識しています。
特にAIの進展は大きくなっていくでしょう。以前、お客さまから「AIにも聞いてみました」と言われて、そのAIの回答が私の伝えたかったことを適切な文章で書いていて驚いたことがあります。
ただし、AIは気を遣わずにお客さまにとって都合の悪いことも忖度なくバシッと言ってしまいます。一方、人間の弁護士は「どうやって伝えようか」とお客さまの状況や気持ちを配慮して、日々迷いながらも最善となる伝え方を心がけられる。そういった心のこもったコミュニケーションは、人間にしかできないと考えています。特に一般民事では、個人のお客さまとどう付き合っていくかが非常に重要です。
ベリーベストでも自社のAIを開発していますし、便利なツールとして活用しつつ、われわれ弁護士は、人間にしかできない部分を伸ばせるよう、自分自身も研鑽を積み、後輩弁護士にも指導をしていきたいと考えています。
一つは、この大きな組織の中で必要とされている実感です。労働分野のマネージャー、東京オフィスの総務マネージャーとして、所内の多くの方から頼られ、ここにいるからこそ味わえる充実感があります。独立という道を目指す弁護士もいますが、私の場合は、たぶん寂しいのではないかと思うのです。たとえば、今こうやってインタビューを受けて、それがサイトに掲載される。それ自体が私にとってはうれしいことです。独立した場合、こうした“日々の実感”を得られる機会は少なくなるでしょう。
もう一つは、ベリーベストなら自分のやりたい業務や興味のある分野を大切にしながら働ける点です。もし独立するとして、経営を成り立たせるためには、やりたい業務や興味のある分野ばかりをできるとは限りません。そのリスクを負ってまで、今のとても気に入っている環境を捨てる理由がないのです。
ベリーベストでは幅広い分野を取り扱っており、多様な働き方ができるので、多くの方に合う環境だと思っています。
もちろん事務所としては、売り上げをモチベーションにして意欲的に働ける方を求めています。売り上げを上げれば報酬も増えるので、Win-Winな関係を築くことができます。
一方で、「自分のペースを大切にしたい」「ワークライフバランスを重視したい」という方にも合う環境です。コアタイムが10〜17時の7時間で、それ以外の時間の活動は個人の判断に委ねられているので、私も週に数回は家族と晩ご飯を食べる時間を取るように、働く時間を調整していますし、家庭やプライベートと両立しながら働いている弁護士も多くいます。時短勤務をしている方もおり、それぞれが自分に合ったスタイルで活躍することができます。
注意点としては、弁護士1年目から特定分野のみに集中したいという方には向いていないかもしれません。ただし、幅広く経験した上で、専門性を深めていくことは十分可能です。学生時代の興味と実務での適性は異なることがあり、その事件を担当して初めて分かることがよくあります。
多くの選択肢の中から自分に合った道を見つけられるという点は、ベリーベストをおすすめできるポイントだと思います。
実は、『弁護士の一日(東京オフィス 松井剛 編)』という私の1日密着動画があるのですが、「それを見たことが弁護士を目指したきっかけの一つだった」、「松井先生に憧れて入所した」と言われたこともあり、本当に光栄に思っています。ですので、皆さまに動画を一度見ていただきたいですね。
また、先ほどもお伝えした通り、ベリーベストはさまざまな分野を取り扱えますし、風通しのよい環境で働くことができます。ぜひお気軽に説明会や事務所見学にお越しいただければと思います。
皆さまとお会いできる日を楽しみにしています。