中国人弁護士(律師)コラム

中国民事訴訟100問答(その21)

Q21:外国企業の訴訟代理人への授権委託書については、その外国に駐在する中国大使館または領事館の証明を得なければならないと聞きましたが、本当でしょうか。

A21:「民訴法」第59条によると、他人に訴訟代理を委任した場合、人民法院に対して委任者が署名または捺印した授権委託書を提出しなければなりません。
外国に居住する中国公民が国外から送付し、または委託交付する授権委託書についてはその外国に駐在する中国大使館または領事館の証明を得なければなりません。

外国企業の場合に関しては、「民訴法」の渉外民事訴訟手続の特別規定(第264条)により、中国国内に住所を有しない外国企業が国外から送付し、または委託交付する授権委託書については、その所在国の公証機関の証明を得て、かつ当該国に駐在する中国大使館または領事館の認証を得る必要があるようになっております。
すなわち、正確にいえば、外国企業の訴訟代理人への授権委託書につき公証認証が必要です。

・授権委託書 ・授権委託書には、委託事項及び権限を明記しなければなりません。
・訴訟代理人の権限を変更または解除する場合、当事者が書面により人民法院に報告し、
 かつ人民法院が相手当事者に通知する必要があります。
・訴訟代理人が訴訟請求の承諾、放棄または変更、和解、反訴または上訴を行う場合、当事者の特別授権が必要であります。
・中国国内に住所を有しない外国企業または組織、外国人、無国籍者が国外から送付し、
 または委託交付する授権委託書は、その所在国の公証機関の証明を得て、
 かつ当該所在国に駐在する中国大使館または領事館の認証を得なければなりません。
 たとえば、日本の場合、外務省が授権された公証役場で認証を受け、外務省認証付けの授権委託書を中国領事館で領事認証を受けます。
・中国と当該所在国が締結した関係条約に定める証明手続を履行した場合、効力を有するものとします。
・授権委託書が外国語により作成された場合、中国語の訳文を添付する必要もあります。

ちなみに、当事者は開廷審理の前に、人民法院に授権委託書を送付しなければなりません。

実務上も、人民法院は、当事者の近親者または従業員、当事者の所在する地域自治会、就職先及び関係社会団体が推薦した公民につき、その資格審査が厳しくなっております。

また、中国国内に住所を有する外国当事者、または中国国内に住所を有しないが、中国国内に短期滞在している外国当事者の場合、中国国内において授権委託書を提出するときには、通常、上記の公証認証手続が要求されません。

ただ、実務上、当該外国当事者の身分を特定するために、その身分証明書(たとえば、パスポート、会社の登記簿謄本)の公証認証が要求され、合わせて授権委託書の公証認証も要求される場合がありますので、留意する必要があります。
したがって、公証認証手続が済んだ授権委託書の提出が無難であると考えます。

注意点

具体的な授権内容がなく、「全権代理」のみと記載された授権委託書の場合、訴訟代理人は訴訟請求を承諾し、放棄し、変更し、和解を行い、反訴または上訴を提起する権利が認められません。

重要関係司法解釈

「最高人民法院の『民事訴訟法』の適用の若干問題に関する意見」(1992年7月14日施行、法発[92]22号)第2章(訴訟参加人)