中国人弁護士(律師)コラム

中国民事訴訟100問答(その11)

Q11:管轄が移送られると聞きましたが、本当でしょうか。

A11:「民訴法」では、第36条(管轄間違いに基づく移送)、第38条(上下級の人民法院間の移送)が規定されています。関係司法解釈によると、共同管轄の場合も、管轄権を有する人民法院の間の管轄移送があり得ます。

移送管轄

  • 管轄間違いに基づく移送
    人民法院は、受理した事件につき管轄権を有しないことを発見した場合、管轄権を 有する人民法院に移送しなければなりません。移送を受けた人民法院は受理しなければならず、管轄権を有しないと認めた場合でも、自ら再移送をしてはなりません。この場合、上級の人民法院に管轄の指定を申請することになります。
  • 上下級の人民法院間の移送
    上級の人民法院は、下級の人民法院が管轄する第一審の民事事件を審理する権限を します。すなわち、上級の人民法院は下級の人民法院に対して、当該下級人民法院の管轄を上級へ移送するよう指示することができます。下級の法院は、必要に応じて当該下級人民法院が管轄する第一審の民事事件を上級の人民法院に審理するよう申請することができます。上級の人民法院は、確かに必要がある場合、その上級の人民法院の承認を得た上で下級の人民法院に対して、当該上級人民法院の管轄を下級へ移送することができます(たとえば、中級人民法院が高級人民法院の承認を得て基層人民法院に中級人民法院の管轄を移送する。)。

ちなみに、事件受理後、当事者の住所地及び経常居住地、または人民法院の管轄区が変更されても、訴訟を受理した人民法院の管轄に影響を及びません。また、判決後の上訴及び裁判監督手続による上級人民法院再審(中国語は「提審」)は第一審の人民法院の上級の人民法院が管轄し、第二審の人民法院が差し戻した第一審の改めて審理、または上級の人民法院が命ずる再審は、第一審の人民法院が改めて審理または再審します。

また、実務上、人民法院は受理前の段階で、当該人民法院が管轄権を有しない事件については、原告に管轄権を有する人民法院を告知し、管轄権を有する人民法院への起訴を指導します。

注意点

2つ以上の人民法院が共に管轄権を有する(いわゆる「共同管轄」)の場合、原告は、いずれの人民法院に対して起訴することができます。原告が2つ以上の管轄権を有する人民法院に対して起訴した場合、最初に立件した人民法院が管轄します。立件後、その他の管轄権を有する人民法院により既に先に立件されたことが判明した場合、裁定により先に立件した人民法院に管轄を移送 します。

重要関係司法解釈

「最高人民法院の『民事訴訟法』の適用の若干問題に関する意見」(1992年7月14日施行、法発[92]22号)第1章(管轄)