経歴
- 1948年 成蹊高等学校(旧制)卒業
- 1949~1956年 早稲田大学第一法学部、同大学院法学研究科修士・博士課程
- 1962年 法学博士(早稲田大学)
- 1962~1964年 ドイツ Max-Planck 外国・国際刑法研究所(1979年も在籍)
- 1967~1998年 早稲田大学教授
- 1970~1978年 司法試験考査委員
- 1972~1976年 早稲田大学法学部長
- 1982~1990年 早稲田大学総長
- 1983~1995年 法務省矯正保護審議会委員、1991年より会長
- 1984~1992年 日本私立大学連盟及び日本私立大学団体連合会副会長、1988年より会長
- 1988年 日中刑事法学術討論会日本側代表(日中刑事法研究会会長)
- 1988~1992年 全私学連合代表
- 1988~1995年 文部省学術審議会委員、1991年より副会長
- 1991~1993年 総務庁第三次臨時行政改革推進審議会(行革審)委員
- 1991~2009年 社団法人青少年育成国民会議副会長、1993年より会長
- 1995~1998年 早稲田大学ヨーロッパセンター(ボン)館長
- 1998~2005年 学校法人国士館理事長
- 2005年 特定非営利活動法人アジア平和貢献センター(現在、一般財団法人)理事長
- 2007年 日中刑事法研究会名誉会長
- 2008年 東京都少林寺拳法連盟会長
- 2009年 社団法人日中協会理事
- 2011年 財団法人(現在、公益財団法人)矯正協会会長、2016年より顧問
- 2015年 東アジア国際法秩序研究協議会座長
- 2019年 ベリーベスト法律事務所 顧問
ご挨拶
このたび、ベリーベスト法律事務所の顧問を仰せつかることになり、大変光栄に存じております。
そこで、少し自己紹介をさせて頂きますと、私は刑法研究者として出発いたしました。1950年代からドイツとの学術交流に参画して来ましたので、今でもマックス・プランク外国国際刑法研究所やアレキサンダー・フォン・フンボルト財団とは特別な関係にあり、伝統のあるドイツの「全刑事法雑誌(ZStW)」の「国際評議員会」には、日本の代表として私の名前が載っております。
1980年代に早稲田大学の総長を勤めたころからアジアとの関係が深くなり、とくに中国では、1988年から発足した日中刑事法学術交流を創始、牽引した者として、おそらく日本の法律家としては最も名前が通っているようです。
昨年2018年には、中国人刑法学者25人が660頁から成る大きな「西原春夫先生卒寿祝賀論文集」を北京大学出版社から発行して下さるなどの栄誉を頂きました。
人間関係を重んずる中国では、そのような人でなければできない仕事があるように思われます。その証拠として、私は数年前から、最近波風の高い東アジアに「国際法秩序」を構築し、軍事衝突を回避し、平和を実現するため、東アジアの国際法学者の組織をつくろうという企画を立て、そこに中国に参加して頂く努力を重ねたのですが、何とそれが実現したのです。
2016年には、上海社会科学院を事務局とする中国国際法学者の組織が結成され、2017年から18年にかけすでに3回、日中国際法学者シンポジウムが開催されました。2019年には、第4回が日本で開催されることになっております。この日中の関係を基礎に、今後は韓国やアセアン主要国の国際法学者の組織化に拡大することを計画中です。
思い返してみますと、私のアジアでの活動の原点には、1945年、あの終戦の経験が横たわっています。当時私はすでに17歳になっていました。日中戦争が始まったのは小学校2年生の時です。愛国少年、軍国少年として育った私にとり、終戦を境とする価値の大転換は大変な衝撃でした。
さらに衝撃的だったのは、戦争中に知らされていなかった事実が、次から次へと明らかになったことです。それを、人生の中で最も多情多感な17歳という時期に味わわされたことが、私にとって運命でした。
当時17歳少年として抱いた決意にはいくつもの事があります。その最大のものは、「戦争ほど愚かなものはない。自衛だろうと何だろうと、戦争は絶対にやってはいけない」というものでした。そして、それと並んで、「日本は周辺の国の『人々』に大変な損害を与えてしまった。その恨みは三代続くと言われる。だから日本人は3代にわたって『償い』を続けなければならない」という事がありました。
今の私には、さすがに「償いのために」行動しているという意識はありません。しかし私の発言や行動のどこかにあの17歳少年の想いが潜んでいて、中国や韓国の人々はそれを鋭く感じ取っているのかもしれません。その全体が今の私なのです。だから、他の人には無い迫力があるのかもしれません。
このような私の想いや公益的活動にご賛同いただいたのが、私と同様に、中国分野に注力しているベリーベスト法律事務所であります。
ベリーベスト法律事務所は、新しく若い法律事務所ですが、やる気に満ち溢れた法律家が多く在籍しております。若い力、チャレンジ精神あふれる法律家こそが、これからの日本、そして、日中両国、ひいては世界をリードすべきであると信じております。
このたび縁あって、私は顧問に就任いたしましたが、私が生涯をかけて実現を目指している「積極的平和貢献」のため、ベリーベスト法律事務所と共に歩んでゆく所存であります。
所属団体・活動等
所属(弁護士会の委員会、外部団体など)
著書・論文
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明治維新の光と影―この歴史から見えてきた日本の役割出版日: 2018年出版社: 万葉舎
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刑法知識的更新与増長―西原春夫教授90歳祝賀論文集(于改之主編)出版日: 2018年出版社: 北京大学出版社
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我的刑法研究(曹菲訳)出版日: 2017年出版社: 北京大学出版社
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私の刑法研究出版日: 2015年出版社: 成文堂
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日本的前途与亜州的未来(宋建軍訳)出版日: 2011年出版社: 中国人民大学出版社
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刑法与道徳的視界交融―西原春夫刑法理論検討(于改之・周長軍編)出版日: 2009年出版社: 中国人民公安大学出版社
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刑法・儒学与亜州和平(西原春夫教授滞華講演集)出版日: 2008年出版社: 山東大学出版社
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日本の進路アジアの将来―未来からのシナリオ出版日: 2006年出版社: 講談社
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調和社会の建設と犯罪予防(中国犯罪学研究会)出版日: 2006年出版社: 成文堂
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犯罪実行行為論(戴波・江溯訳)出版日: 2006年出版社: 北京大学出版社
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危険犯と危険概念(日中刑事法学術討論会報告書10)出版日: 2005年出版社: 成文堂
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日中比較経済犯罪(日中刑事法学術討論会報告書9)出版日: 2004年出版社: 成文堂
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刑法的根基与哲学(顧肖栄等訳)出版日: 2004年出版社: 法律出版社
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共犯理論と組織犯罪(日中刑事法学術討論会報告書8)出版日: 2003年出版社: 成文堂
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21世紀のアジアと日本出版日: 2002年出版社: 成文堂
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日中比較過失論(日中刑事法学術討論会報告書7)出版日: 2001年出版社: 成文堂
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中国刑事法の形成と特色(日中刑事法学術討論会報告書6)出版日: 1999年出版社: 成文堂
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犯罪実行行為論出版日: 1998年出版社: 成文堂
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中国刑事法の形成と特色(日中刑事法学術討論会報告書5)出版日: 1998年出版社: 成文堂
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西原春夫先生古希祝賀論文集(高銘喧等14人の中国学者論文集)出版日: 1998年出版社: 法律出版社
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早稲田の杜よ永遠に―わが師・わが友・わが人生出版日: 1995年出版社: 小学館
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中国刑事法の形成と特色(日中刑事法学術討論会報告書3)出版日: 1995年出版社: 成文堂
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中国刑事法の形成と特色(日中刑事法学術討論会報告書4)出版日: 1995年出版社: 成文堂
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中国刑事法の形成と特色(日中刑事法学術討論会報告書1)出版日: 1992年出版社: 成文堂
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中国刑事法の形成と特色(日中刑事法学術討論会報告書2)出版日: 1991年出版社: 成文堂
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大法廷判決巡歴 刑法Ⅰ出版日: 1982年出版社: 日本評論社
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刑法の根底にあるもの出版日: 1981年出版社: 一粒社〈初版〉、2003年 成文堂〈増補版〉
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刑法総論出版日: 1977年出版社: 成文堂
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交通事故と過失の認定出版日: 1975年出版社: 成文堂
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犯罪各論出版日: 1974年出版社: 筑摩書房
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交通事故と信頼の原則出版日: 1969年出版社: 成文堂
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刑法総論出版日: 1968年出版社: 成文堂
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刑事法研究第1巻、第2巻出版日: 1967年出版社: 成文堂
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間接正犯の理論出版日: 1962年出版社: 成文堂
講演・セミナー
- 2018年12月09日 小平市選挙管理委員会 「世界における日本の役割―武力によらない積極的平和貢献国家こそ日本の生きる道」
- 2018年11月06日 西南政法大学法学院(重慶)「日本における犯罪、刑法、刑法学」
- 2018年10月09日 浙江省検察院 (杭州)「日本の刑法と犯罪の現状」
- 2018年10月08日 上海交通大学法学院 「日本の刑法と刑法学の現状」
- 2018年07月08日 町田稲門会 「シンギュラリティの問題性」
- 2018年06月15日 武漢大学法学院 「日中刑事法学術交流と馬克昌先生」
- 2018年06月13日 北京大学法学院 「シンギュラリティの到来と法律家の課題」
- 2018年03月04日 華東政法大学法学院(上海) 「国際法の存在・順守義務の根拠」